(左)コスモスベルグの上部から見おろす。
古いスキー場ガイドに「シーズン中、車では行けない。アクセスは鉄道のみ。仙山線面白山高原駅からリフトにすぐに乗れる」とあった。「面白山」の名前とともに、車で行けないという点に興味を持っていたが、遠隔地にあたるので足を運べないでいた。そしてその後、2009年度から営業を休止した。営業最後の頃は来場者も少なかった様子で、車で行けないことがデメリットになったのかもしれない。
(左)仙山線・面白山高原駅。(右)一段上がったところから駅を見おろす。
リフト故障を発端として、その後、東日本大震災などを経て営業が再開されないままになっている。営業当時の利用者は、多くは仙台方面からだったようだ。ペアリフト4基が直列に架かり、ロープトゥも設置されていたらしい。駅前からのリフトを1本乗った上がメインゲレンデだったのではないだろうか。最大斜度35度、最長滑走距離2km。かなり奥行きがあるスキー場だったようだ。
(左)券売所・更衣室などを兼ねていた案内所。左奥に第1ペアリフト。(右)草木に埋もれた第1ペア乗場。
東北方面に出かけた際に、時間をみつけて面白山を訪ねてみた。山形から仙山線に乗って30分弱、ずいぶん山深い所に入ってきたと思う頃、面白山高原駅に到着。片面ホームには八角形の待合室がある。意外なことに、登山帰りなのか、ホームには数人の乗降客が見られた。もう少し開けた地形で上部ゲレンデまで見渡せるのではないかと想像していたが、駅周辺は意外と山に閉ざされた雰囲気だ。
(左)第1ペア中間付近。(右)コスモスペア下には数軒の建物。
ホームから階段を登ると、そこにリフト券売場などを兼ねた案内所の建物があり、そのすぐ左にすっかり草木に埋もれている第1ペアリフトの乗場があった。右手の舗装道を進むと、その脇には数軒の宿泊施設。さらに登って行くと、道は搬器をつけたままの第1ペアの下をくぐり、数軒のレストハウスや宿泊施設などの廃墟があるメインゲレンデの下に出た。
(左)コスモスペアの下から見上げる。(右)荒廃したコスモスペア乗場。
「コスモスベルグ」の看板があり、季節にはコスモスの花が咲き乱れると思われる斜面が広がっていた。ここがメインゲレンデだったのだろうか。右手には崩れかけた小屋の脇にコスモスペアの乗場がある。コスモスペアも樹林の中に埋もれ気味で、途中までしかその姿を見通せない。コスモスベルグの上部まで登ってみたが、その先はこの季節ではゲレンデらしき痕跡をはっきり見通すことはできなかった。
(左)コスモスベルグの下から見上げる。(右)コスモスペア中間部分。
今日は残念ながら、この先、ゲレンデ最上部までたどってみる時間はない。上部の第2・第3ペアとそれに沿うゲレンデのようすは、樹林に埋もれていて、ここからではよくわからなかった。営業休止から数10年という時の流れを感じざるをえない。最上部の木々の間に微かに第3リフトを認めることができた程度。あきらめて駅まで下り、次の仙山線の列車に乗り込んだ。
(左)コスモスベルグの最上部から上部の斜面を見上げる。右奥のピークあたりがゲレンデ最上部だろうか。(右)木々の間から上部の第3ペアの支柱。