2013年04月30日

上大谷スキー場(新潟県加茂市)

kamiooDSC_0078.JPG kamiooDSC_0092.JPG
(左)「上大谷スキー場」バス停。(右)バス停の周辺には春の花が咲き、石仏が並んでいる。前方の杉林のあたりとその向こう側がゲレンデだったらしい。

新潟県の市町村ごとの地図を眺めていたときのこと。ふと目に飛び込んできたのは「上大谷スキー場」というバス停の名前だった。バス路線やバス停の名前までが掲載された詳細な地図だったが、しかし、バス停の名に「スキー場」とあるものの、近くにスキー場がある様子はない。加茂市東部の山間地であり、すぐ北東にある小さな峠を越えれば五泉市(旧村松町)という場所である。それ以来、このバス停はずっと心の片隅にひっかかっていた。

一度、阿賀方面からの帰路にその場所を車で通ったことがあった。思ったより狭い道で対向車が来ると、すれ違いに少々緊張を要するほどの道である。そして、山沿いの小さな集落の中の三叉路に「上大谷スキー場」というバス停は確かに立っていた。その支柱に付いている時刻表を見ると、加茂市役所から戸倉の間を結ぶバスが1日7往復走っていることがわかった。しかし、案の定、周囲を見てもスキー場らしき場所は見あたらない。通りかかった人にでも聞こうと思ったが、あいにくと季節と時間帯が悪くて人の姿は皆無だった。

帰ってからインターネットで調べてみると、確かに加茂市営市民バスが運行されているようだ。あらためて地図を見ると、周囲の地形から推測して、バス停南側にある丘陵の北斜面あたりにスキー場があったのではないかと推測できた。バス停周辺の人々が畑仕事に外に出てくる季節を狙って再訪しようと考えた。

kamiooDSC_0079.JPG kamiooDSC_0081.JPG
(左)ゲレンデがあったと思われる斜面を見上げる。(右)道路際から見る。前方の竹林の向こう側がゲレンデ。

4月下旬の休日、あらためて上大谷スキー場バス停を訪れた。周囲には春の花が咲き、バス停の立つ三叉路には石仏や石標がいくつもあって、古くから人の往来があった道であることをうかがわせた。バス停の前の家からちょうど出てきた小父さんに話をうかがう。バス停の南側、山に向かってやや右手にある畑地のあたりがゲレンデだったようだ。その左手にある杉林のあたりにも当時はゲレンデが広がっていたらしい。畑や杉林となっているためゲレンデのイメージはいまひとつつかめないが、快適な中斜面を思わせる斜度ではなかろうか。小父さんの記憶によると、50年ほど前には加茂のスキークラブの練習ゲレンデとして賑わっていたという。リフトやロープトウなどの施設はなかったと話してくれた。

数10年前には、おそらくスキー場としての機能は果たさなくなっていたのではないかと思われる。それでありながら、なぜいまだにバス停に名前を残しているのか、詳しい事情はわからない。しかし、この土地の歴史の一端を残しておいてくれるような気がして、なんだかしみじみと嬉しく感じた。(現地訪問:2013年4月)

2013年04月21日

下条中峰スキー場(新潟県十日町市)

gejoDSC_0101.JPG gejoDSC_0102.JPG
Tバーリフトが動いていた2010年1月の訪問時のようす。

2013年3月14日の十日町新聞によれば、「中峰スキー場感謝とお礼の会が3月17日、午前10時半から同スキー場で開催される。中峰スキー場は下条地区の身近なスキー場として幼児、児童、生徒を中心に40年間にわたって親しまれてきたが、諸般の事情からスキー場機能を停止し、下条地区振興会(長谷川肇会長)が中心となって感謝とお礼の会を開くもの。今後は有効活用出来る方法を研究協議することにしている。当日は設立時の有志に感謝状の贈呈や、下条小・中学校の児童生徒の感謝の言葉を述べ、全員参加の宝探しやゲームが行われる。」と報道された。「十日町市民」さんからも、本ブログのコメント欄に「今年の3月いっぱいをもって閉鎖」という投稿があった。

長く地域の力によって運営されてきたスキー場だった。どのような経緯で廃止となったのか詳細はわからないが、地元の負担もそれなりに重いものになっていたのだろうか。数年前からは、地元では負担しきれない部分もあるため、スキー場の位置づけを明確にして、行政などにいっそうの負担を依頼しようという動きもあったようだ。なお、同じ新潟県内の魚沼市(旧入広瀬村)にも中峰スキー場(入広瀬中峰)があったため、区別するために「下条中峰」とも呼ばれる。

2010年1月の休日、この下条中峯スキー場を訪れたことがある。十日町周辺のこのような小さなスキー場のようすを、丹念に調べはじめようとしていた頃のこと。ゲレンデに到着した頃は1本だけあるTバーリフトも止まっていたが、やがて地元のボランティアと思われる小父さんが何処からともなくあらわれて動かし始めた。そうすると、雪が降りしきる悪天候であったが、地元の子どもたちが5〜6人滑りはじめた。まさに地元の子どもたちのためのスキー場だった。

gejoDSC_0055.JPG gejoDSC_0056.JPG
(左)スキー場手前には案内掲示がまだ掲げられていた。(右)ゲレンデ下から見上げる。

閉鎖のニュースを聞いて、現地を再訪してみた。十日町の中心部から北に位置する下条の集落。そこから信濃川支流の貝ノ川に沿って東の山中にわずかに進んだところ。東京ではサクラもとうに散った季節だが、このあたりではこれから春がはじまろうという気配である。ゲレンデ手前には「中峰スキー場」の案内看板がまだ掲げられていた。ゲレンデ下には10数台は駐車できそうなスペース。ゲレンデ沿いにはロッヂも建ち、ひととおりの施設は備えている様子。快適に滑れそうな緩斜面のゲレンデにはまだ雪が残っており、傍らには圧雪車が置かれたまま。そして、Tバーリフトもそのままになっていた。

近くで何かを燃やしているらしく煙が漂っている。そんな埃っぽい雰囲気も、春らしいといえなくもない。しかし、このゲレンデに再び歓声があがる日はこないのかもしれない。(現地訪問:2013年4月)

gejoDSC_0058.JPG gejoDSC_0064.JPG
(左)Tバーリフトはそのまま残されていた。(右)ゲレンデ中腹のロッヂ付近から見おろす。