2016年05月24日

比良山スキー場(その2)(滋賀県大津市)

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(左)比良ロッジの跡は広場になっていた。(右)広々として展望が広がる北比良峠。

前回に続いて、比良山スキー場のレポート。ロープウェイ釈迦岳駅の脇からさらに登山道をたどる。右に釈迦岳へ直接登る道を分け、左への長い斜上トラバースで稜線に出る。稜線近くになると落葉樹林が広がり気持ちがよい。道脇には電柱が点々とあり、開発された山だと感じる。電波塔のあるカラ岳にたどり着くと、木の間ごしに比良山スキー場のゲレンデが見えた。その先は気持ちよい稜線歩きのあと、下り気味に進んで比良ロッジがあった広場に出る。ようやく、ゲレンデの一角にだどりついた。

まずは比良ロッジ跡から西へ、途中ヤセ尾根の崩壊地を過ぎて北比良峠の広場にへと向かう。北比良峠は比良山系登山路のポイントとなる地点で、大きな広場になっている。この広場の東側あたりにロープウェイ山上駅があったはずだが、ここも痕跡はほとんどない。遠く釈迦岳中腹まで、樹林の切開きの跡が認められる。南には琵琶湖を見下ろす大展望、北には比良山スキー場のゲレンデ跡の向こうに比良山系最高峰の武奈ヶ岳が見える。あわよくば二百名山に数えられる武奈ヶ岳にも登りたいと思っていたが、今日は時間的に難しい。広場にある地図には、スキー場やロープウェイが記されたままになっていた。

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(左)ロープウェイ山上駅があったあたりから琵琶湖を見下ろす。前方に樹林の切開きの跡が見える。(右)北比良峠にあった地図には、スキー場やロープウェイの案内もまだ入ったまま。

再び比良ロッジ跡まで戻り、いよいよスキー場中心部へと下っていく。ロープウェイ山上駅からスキー場まで徒歩1キロあったという。ロッジ跡の広場から少し八雲ヶ原に下ったあたりに、第1ペアリフト(約250m)の降場があったと思うが痕跡はない。スキー場からの帰路には、この第1ペアに乗って登り返し、ロープウェイ駅まで歩き、下りロープウェイに乗る必要があった。林道のような道はすぐに幅が広がり、八雲ゲレンデの跡地となる。初級者用の気持ちよい緩斜面が前方に見える八雲ヶ原に向かって下っていた。

八雲ゲレンデを下ったところがスキー場の中心で、リフト券売場・管理事務所・八雲ロッジなどがあったようだ。いまは建物もなく、広い平地に八雲ヶ原湿原が広がっている。かつては「関西の尾瀬」と呼ばれる美しい湿原だったというが、スキー場によって一部損なわれたとも聞いた。木道の敷かれた池塘も点在し、水芭蕉の花も咲いていた。関西にこのような湿原があると知らなかったので、これほど自然豊かな場所だったのかと少々驚いた。登山道各方向の道標が立てられていて、数組の登山者が武奈ヶ岳方面へと足早に通り過ぎていった。(現地訪問:2016年4月)

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(左)八雲ゲレンデから前方にスキー場全体を俯瞰できる。(右)湿原が点在する八雲ヶ原。

→次回、「比良山スキー場(その3)」につづく

→こちらもご覧ください「比良山スキー場(その1)

2016年05月04日

比良山スキー場(その1)(滋賀県大津市)

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(左)湖西線比良駅付近から見た比良山系。右のピークが釈迦岳。釈迦岳の左下中腹にかすかにリフトの跡が見える。

琵琶湖西岸の山稜にはびわ湖バレイ・朽木・箱館山・マキノなどのスキー場があるけれど、比良山スキー場はひときわ野趣あふれる個性的な存在だったようだ。山麓からの独特のアプローチなど興味の尽きない老舗スキー場だったが、残念ながら訪れる機会はなかった。スキー場の開業は1962年。2004年3月にクローズとなってしまったこのスキー場跡地をいつか訪ねてみたいと考えていた。ちょうど関西で所用があったので、その帰路に1日を費やしてスキー場探索を兼ねた比良山系の登山が実現した。数回に分けてレポートしたい。

「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には以下のように紹介されている。「比良山系の標高900〜1000mに位置し、豊富な積雪と粉雪、森の中をぬって滑る独特の雰囲気と大パノラマにファンも多い。コブ斜面もある。親子スキー教室・中高年スキー教室などのスクールがさかん」。ゲレンデ内にはペア2基、シングル1基の施設があった。

アクセスは「湖西線比良駅から比良リフト前行バスで15分」となっている。ただそれは山麓のリフト乗場までのアクセスに過ぎない。スキーを手に持ったまま登山リフト(所要15分)とロープウェイ(1,260m・7分)を乗り継ぎ、さらに歩いてゲレンデにようやく到達するといった具合であった。登山リフトは開業当時は日本一の長さだったという。

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(左)登山リフト乗場跡には2階建の建物が残っている。(右)登山リフト乗場跡。

湖西線比良駅で下車。駅のホームからも比良山系の山並みが見渡せる。登山口のイン谷口までのバスは土日だけなので、今回は比良駅から1時間弱歩く。イン谷口からの道沿いには路側帯のような駐車スペース。その車道も左手に2階建ての建物があるリフト乗場跡で終わり。ここが比良山スキー場の玄関口で、登山リフトの乗場だった。スキー用具は手で抱えて乗車したという。リフト乗場には両側に階段があって、下山でも使われたため乗降分離されている。機器や支柱・ワイヤーなどはすべてきれいに撤去されている。前方の山腹を見上げると切開きの跡がはっきりわかる。

ここからは概ねリフト下を交差しながらの登山道となる。リフト下を横切る場所には、コンクリート壁や石垣が残る箇所も。やがて前方に山腹を固めた巨大なコンクリートの壁があらわれれば、そこが登山リフト終点跡(釈迦岳駅)。登山道側は枕木でガードされて入れないようになっているが、巨大な要塞のようにも見える。

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(左)登山道がリフト下に交差する場所には、コンクリートの壁も。(右)下から見上げた登山リフトの終点。

ロ―プウェイ釈迦岳駅はほぼ完全に撤去され痕跡がわかりにくいが、リフト降場の西側に隣接していた。西側の北比良峠方面に向かって切開きの跡も見える。ロープウェイの定員は当初21人から後に31人に更新されたというから、それなりの設備投資も続けられたのだろう。登山道をひと登りすれば、コンクリートの擁壁の上に出て、登行リフト降場の全体像と遠く琵琶湖の広がりを見下ろすことができる。コンクリートの床には、降りた後の方向を示すペンキの矢印が残っていた。スキー客がリフトを降りてロープウェイに進む姿が脳裏に浮かんだ。(現地訪問:2016年4月)

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(左)登山リフト終点。前方にロープウェイ駅があったと思われる。(右)登山リフト終点を上部の登山道から見おろす。

→次回、「比良山スキー場(その2)」につづく

「比良山スキー場(その3)」

[参考資料]
「失われたロープウェイ」を参考にさせていただきました。

[登山記録(参考まで)]
JR湖西線・比良駅740−820イン谷口−830リフト乗場跡835−935ロープウェイ駅(釈迦岳駅)跡955−1042カラ岳1049−1109比良ロッジ跡−1120北比良峠1140−1150比良ロッジ跡1200−1210八雲が原(周辺探索)1300−1315北比良峠1320−(ダケ道)1350カモシカ平1355−1425大山口1430−1450イン谷口−1530比良駅