2017年11月29日

山中温泉スキー場(石川県加賀市)

いつも参考にさせていただいている「失われたロープウェイ」に、石川県山中温泉ロープウェイについての記載があった。そのロープウェイで上った山頂部に、かつて山中温泉スキー場が開かれていたらしい。いつか訪れなくてはならないとずっと思っていた。

山中温泉は歴史ある温泉地である。その西側の裏山のような水無山に、1959年山中町(当時)により山中温泉ロープウェイが架設され、同時にスキー場も開設されたようだ。山頂部には遊園地・展望台・レストランなどの施設もあり昭和30年代にはかなりの賑わいを見せていたという。

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(左)医王寺の前から水無山を見上げる。(右)医王寺境内にある水無山登山口。

スキー場も比較的早い年代の開業であり、当初の集客は順調だったようだ。しかし、周辺に新たな観光施設やスキー場ができるとそちらに利用者が流れ、1978年10月にロープウェイは運休、スキー場も休業となった。

水無山についてはネット上で登山の記録をいくつか探ることができた。山頂まで1時間もかからないようだが、一応登山の準備をして出かける。山際の医王寺の前に車をとめ、境内から「水無山登山口」の案内標に従って登りはじめる。道脇の岩には穴が穿たれ、石仏が祀られている。

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(左)山頂部に登りつくと草原が広がっている。左前方に展望台がある。(右)廃墟と化しつつある展望台。

大きく九十九折りを繰り返すと鉄塔のある尾根上に出て、あとは北側から樹林帯の尾根を登っていく。適度に登山者用の案内板もある。右手から別の道を合わせるとほどなく山頂台地の一角に到達し、樹林が切れて草原状になる。登りはじめて40分弱である。

前方左手には廃墟と化しつつある展望台が見える。数日間続いた雨のせいだろうか、水の滴る音が絶え間なく響き、別に廃墟マニアではないので薄気味悪くてちょっと立ち入る気にならない。展望台から下る階段があって、それはロープウェイの駅に通じていたようだが、深いやぶに覆われていて往時の様子はよくわからない。

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(左)展望台からかつてのロープウェイ乗場へと階段が続いていたと思われる。(右)木の間からは加賀平野が見下ろせる。

展望台の右手の草原の中を道はさらに続いている。左手にコンクリート製の何かの遺構があったが、スキー関係のものだろうか。さらに進んだアンテナ施設のあるあたりが、山頂(349m標高点)と思われるが何の表示もない。ここから展望台の少し下あたりまで、現在は草原が続いていて、その間がゲレンデだったのだろうか。

「'76オールスキー場完全ガイド(立風書房)」には以下のように紹介されている。「標高300mの薬師寺山頂(=水無山)までは、ロープウェイで登れる。最大斜度25度とそれほどきびしい斜面はないので、上級者には少しものたりない。しかし、初中級者なら白山・加賀平野・加賀温泉郷を眼下にしながらの滑降は、このうえなく楽しい。観光気分で訪れ、ついでにスキーをという人には絶好。リフト1基(220m)。ローブウェイもある。ナイター、スキー学校なし」

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(左)最高地点(349m標高点)にはアンテナ施設がある。(右)アンテナ施設から展望台方面を見る。こちらの方向にゲレンデが広がっていたのではないか。

この間の斜度はごく緩やかなので、初級者向けのスキー場といった感じではなかったか。リフトが220mなので滑走距離もごく短かったようだ。リフトは斜面の西側に付けられていたようだが、その痕跡はまったく見出すことができなかった。今日は白山も加賀平野も木の間越し程度にしか見えないけれど、スキー場だった時には雄大な展望が開けていたことが想像できた。

温泉街にさらに魅力を加えるためのスキー場だったのだろう。いまとなっては身近な里山に戻ったというべきだろうか。(現地訪問:2017年11月)

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(左)山麓の医王寺近くにある石段。ロープウェイ乗場に通じていたものか。
posted by 急行野沢 at 22:00| Comment(0) | 石川県 営業休止のスキー場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする