2019年05月18日

鹿野沢スキー場(群馬県みなかみ町)

水上駅のごく近くにあったのが鹿野沢スキー場。「ゲレンデとツアーコース(1961年1月・朋文堂)」には、「初級者向き、水上駅より1km15分。水上駅からは最も近いゲレンデである。緩斜面で入門初級者のゲレンデである」と案内されていた。駅から近いゲレンデとして、自動車による交通網がいまほど発達していなかった時代にはかなりの集客があったようだ。

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(左)ゲレンデ下の道脇にある建物は、レストハウスだったのだろうか。(右)ゲレンデを見上げる。

おそらくはしばらく前までは、ロープトウくらいは稼働していたのではないだろうか。しかし、近年はそれもなく、たまに子ども連れがソリ遊びをするくらいのことはあるらしいが、スキー場としての使命は果たしていないようす。そこで、本稿に取り上げてもいいのではないかと思った。

3月初旬、現地を訪れてみる。宝台樹や奥利根に向かう国道291号とは、利根川を挟んだ対岸。水上駅から北東へ、上越線の踏切を越えて進んだ先にある。利根川に鉄道や国道が寄り添う、隘路のような地形である。北側に広がる緩やかな斜面に雪はまだ残っているものの、スキーやソリで滑った跡もなく、ゲレンデの役割は終えたものと感じられた。周囲を通る人の姿もない。

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(左)ゲレンデをやや横から見る。前方の樹林帯の手前にロープトウがあったようだ。左上部に小屋がある。

ゲレンデトップに向かって右手には、ロープトウのための小屋など残り、その痕跡が見て取れた。ごく小規模な緩斜面であり、滑走距離も短かっただろう。ゲレンデ下を通る道路に面して、レストハウスやロッジだったと思われる建物が2軒。それらしき風情を残していた。(現地訪問:2019年3月)