(左)猪苗代リゾートの案内板。(右)アクセス路手前からスキー場を俯瞰する。
猪苗代リゾートスキー場が2021~2022シーズンにかけ、2期連続して休業中である。猪苗代リゾートホテルも含めて、廃止が濃厚と考えられる。すでにホームページは削除されているが、2020年4月時点では「新型コロナウィルスには全国的に感染防止の為、当社も休館休業となります。(中略)再開に向けてガンバリます!」と掲載されていたのだが。
猪苗代リゾートスキー場は、バブル初期の1985年に京急と猪苗代町の共同出資により設立。その運営会社は2003年に解散し、以後、運営は次々と別会社に引き継がれた。猪苗代湖に向かって滑り込むようなダウンヒルが売り物であった。「湖に向かって滑る」といえば、同じく休業となった京急系の青木湖スキー場(長野県大町市)も連想してしまう。
(左)除雪されておらず進入できなかった地点。(右)アクセス路分岐付近から、ホテルとゴンドラ、第1ペア。
「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には「猪苗代湖を見下ろす磐梯山南西斜面に位置する。1730mの6人乗りゴンドラとスノーボード全面滑走可のスキー場。ゲレンデ下のリゾートホテルも洗練された雰囲気の都会派ホテルで、ラウンジバーも華やかなムードをもつ。温泉を引いたパブリックバスもあり、ナイターはオレンジ色のナトリウム照明で、金・土曜日は21時まで営業」と紹介がある。
「都会派ホテル」「ラウンジバー」など、バブル期を彷彿とさせるワードがいまとなっては郷愁を誘う。ゴンドラとそれに平行する3本のペアリフトを設置。最長滑走距離3,800m、最大斜度40度。上級から初級まで各レベルのコースが用意されていた。ネット上で見かけた、最終営業2020シーズンの訪問記録によると、経営難のためか、ゲレンデ整備や施設内の清掃も行き届いていないと書かれていた。
(左)別ルートから駐車場下までは入れたが。(右)ホテルやゴンドラ前にも駐車場があったらしい。深雪でそちらには進めず。
猪苗代・磐梯周辺のスキー場の中で、ここだけは営業中に足を運ぶ機会に恵まれなかった。今回、会津方面訪問のついでに訪れた。県道から「猪苗代リゾート」の案内板で北側に曲がり、磐梯山の山麓に向かって上って行く。予想していたが、案内板がある右折箇所から先は除雪されておらず進入不可。それならばと、少し先から回りこむ道は除雪されていて、駐車場下まで進むことができた。
しかし、そこからホテルやゴンドラ乗場までは距離があり、深い雪の中、ツボ足では進めそうもない。諦めて山麓を走る道路まで戻り、遠目にゲレンデの様子を眺めるにとどめた。ゲレンデ内の施設に変化はないようすで、静かに雪の中に埋もれていた。アルツ磐梯・猪苗代など周辺に大規模なスキー場も多い。このまま廃止ということになってしまうのだろうか。(現地訪問:2022年3月)
(左)山麓の猪苗代町内から遠望。
[追記]
2023年9月27日、同社の破産申請が報じられた(富木島民友ニュース)
「福島県猪苗代町で宿泊施設「グランドサンピア猪苗代」(旧猪苗代リゾートホテル)などを運営する同町の猪苗代リゾートは26日までに東京地裁に破産を申請し、保全管理命令を受けた。負債総額は約2億円。所有施設を利用した事業譲渡の交渉を現在続けており、これから引受先などが選定される見通し。」