

(左)レストハウス (右)残っていたリフトの基礎コンクリート部分
国道142号は和田峠のはるか下の深いところを、長い新和田トンネルで貫いてしまっている。旧道の和田トンネル北側から分岐してビーナスラインに上りつき、合流した目の前にこの和田峠スキー場のゲレンデが広がる。このゲレンデの上部を旧中山道は越えていて、中山道の道中では最大の難所だったようだ。以前、八島湿原から鷲ヶ峰を越えてこの和田峠に至り、三峰山、そして美ヶ原までを歩きとおす山行をしたことがあったが、スキー場は1998年の営業を最後に営業を休止していて、営業期間に訪れたことはなかった。
ゲレンデ上部に向かって、右下にレストハウスやスキー学校が入っていた建物が残っている。左側にシングルリフトが一本あり、そのリフト乗場のコンクリートの残骸が見られるが、途中の鉄塔などは撤去されている。このリフト沿いは見上げるような斜面で、ここに最大28度の上級コース(Aコース)があったのだろう。そこから右にB・C・Dの各コースがあり、少しずつ斜度はゆるやかになっているようだ。ちなみに、古くはゲレンデ右側にもリフトがあったようだ。
「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」には「和田峠(標高1,531m)に連なる丘陵の北東斜面に5.3haと小規模ながら、初級者から上級者までの4コースが設定されている。家族ぐるみで楽しめるスキー場をモットーに、コースは独立分離した安全設計となっており、ゲレンデ下部にミニリフトを架設し、ファミリー向きに2コースがレイアウトされている。交通の便は良いのだが、周囲に大きなスキー場があるせいか、休日でもすいており、リフト待ち10分の穴場でもある」と紹介されている。現在ではリフト待ちのあるスキー場など、ほとんどなくなっているが。開設は1977年。最大斜度27度。第1リフト392m。
訪れたのは6月下旬で、ちょうどレンゲツツジが満開の季節。往時、中山道を行く旅人も、花に彩られた風景を見ながら歩を進めたのだろうか。(現地訪問:2009年6月)


こちらもご覧ください → 「和田峠スキー場(その2)」
→ 「和田峠スキー場(その3)」