(左)ゲレンデ下部から見上げる。(右)「スキー天国にいがた」を参考に作図。
小千谷という名には、雪深い越後の小都市を思い起こさせる響きがある。その地名から連想するのは、「小千谷縮(ちぢみ)」と布海苔をつなぎに使った「へぎそば」だろうか。市街は信濃川の左岸(西岸)に開けているが、上越線の駅は東岸にあり中心地から少し離れている。その小千谷駅から、徒歩5分の東側丘陵に開設されていたのが小千谷スキー場。開設は1962年。「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」には「西斜面に10haのゲレンデ面積。初級者からベテランまで充分楽しめ家族連れ、グループで安心して楽しめるスキー場として人気がある」と記載されている。
また、「スキー天国にいがた(1975年12月)」には、「初心者からベテランまで、家族揃って楽しめる。変化に富んだゲレンデと、リフトで山頂に登れて眼下には信濃川の流れが見渡せる展望のよさで賑わっている」と案内されている。ナイター設備もあり交通の便も良かったため、各種大会が催されていたようだ。いろいろな資料から推測すると1999シーズンを最後に営業をやめたと思われる。小千谷市は2004年の中越地震で震度6強を記録し大きな被害を受けたが、その前に役割を終えていたらしい。なお新潟県スキー連盟の記録によると、同連盟の事務局が一時このスキー場にあったようだ。
上越線小千谷駅。かつては在来線「特急とき」も何本か停車した駅だが、上越新幹線開業後は普通列車だけが停車。普通列車の編成は短いため、長いホームのごく一部しか雪かきがされていないのが寂しさを感じさせる。その小千谷駅の東側の住宅地をつなぐ道から見上げると、リフトの残骸が見て取れた。除雪されていないゲレンデへの坂道をツボ足で登っていけば、ワイヤーをはずされたシングルリフトの鉄塔が残るゲレンデの最下部にたどりつく。
かたわらには、おそらくセンターハウスの役割を果たしていたと思われる木造三角屋根の建物がある。見上げるゲレンデはトップに向かって右に1本、左に2~3本のコースがあったようすがわかる。最大斜度32度、最長滑走距離500m。斜面には一部潅木が生長し始めているようだった。周囲には住宅地が広がり、スキー場に関連する建物などはあまり見あたらない。
(左)一段下の駐車スペースからリフトの残骸を見上げる。(右)遠景から見たゲレンデ全体。
在来線の鉄道の駅から至近距離にあるゲレンデがかつては多く見られたが、それらには営業をやめているものが多い。地方では新幹線などを除き、鉄道がいまや交通手段の主役ではなくなったことを象徴しているようで、やむをえないことではあるが寂しさを感じさせる。(現地訪問:2009年12月)
ラベル:小千谷スキー場
誰か覚えていませんか?
この正月も帰省したのですが、市街地から見えるゲレンデを目にし「もう一度滑りたいな」と思いました。
小千谷は元々スキーの盛んな土地なのですが、いまでは市内からスキー場もなくなり寂しい限りです。
急行野沢さん、掲載していただきありがとうございます。改めて故郷の良さや思い出を大切にしようと思いました。
なので、友達と日曜日には電車に乗って、駅に降り、スキーをかついで15分位?歩いて、通ったものです。
小千谷市は白山運動公園や山本山でクロスカントリーも盛んなのですが、昔はアルペンと言えばここでしたね。市のアルペンスキー大会の会場でもありました。ちなみに、現在も新潟県スキー連盟の事務局は小千谷市にあります。