(左)ゲレンデ全体 (右)リフト乗場。椅子ははずされて並べられていた。
信濃には八十の高山ありといへど女の神山の蓼科われは 伊藤左千夫
蓼科山はどこから見てもそれとわかる円頂をもたげ、長い裾野を延ばしている。名山だと思う。その東側の高原に位置していたのが蓼科アソシエイツ。
他のサイトでもいろいろ取り上げられていて、今更という感じもするので気がすすまない。長野県内にありながら結局、営業中に滑りに行く機会も逸している。白樺高原方面からのアクセスを考えがちだが、この季節は大河原峠方面からはまだ冬期閉鎖中。正しい(?)アプローチは佐久市内の国道141号沿いから。「蓼科仙境都市」「大河原峠」を指し示す標識が西側の山間に向かう方向を示しているが、以前はその脇に「蓼科アソシエイツスキー場」の名も見られた。蓼科東麓の山深いところに会員制のリゾート地をつくり、スキー場もつくってしまったが、現在のような経済情勢になりスキー場は廃止、リゾート地としてもほとんど稼動していないのではないだろうか。
国道141号からの「蓼科スカイライン」は思っていたよりも良い道。やがて稜線上を走るようになるので展望も良く、この眺望や道沿いの美しい樹林を見れば、この地にリゾート開発をしようとした気持ちも何となくわかる。間もなく仙境都市の中心に着くという直前にゲレンデ下を車道はかすめる。わずかな距離を歩いてゲレンデ下部まで行って見ると、1基だけあったペアリフトの乗場があった。ワイヤーは付いたままで、椅子ははずされて綺麗に並べられている。屋根が破損したプレハブが2棟。事務所と休憩所だったようだ。ワックスマシンと圧雪車の格納庫。見上げるゲレンデは、最大斜度35度と結構そそられる傾斜だが、潅木が斜面を覆い始めている。
(左)ゲレンデを見おろすと、正面に浅間山が見える。
「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」によれば「佐久平や浅間山が広がりコンパクトながら景観バツグン。初中級向きの第1コースと、35度のカベをもつ上級者向きの第2コースの一枚バーン。ゲレンデ内にあるバーデンホテルは食事等の利用も可。ナイター・スクール・レンタルあり。2000年シーズンは営業未定」とある。小山泰弘「長野県における休廃止スキー場の実態とその後の植生変化」によると、最終営業年は1997年となっている。2005年には廃止となったようだ。90年代にも人は少なかったが、スクールはそれなりの定評があったらしい。
車道をさらに上って行くと、仙境都市の中核と思われるセンターフロントやホテルのある場所に着く。人影は無く閑散としているが、その広場の脇から奥にすすむとゲレンデの最上部に出ることができた。ナイター照明の施設もゲレンデに沿って設けられている。リフトの降り場から斜面を見下ろすと、噴煙をなびかせる浅間山の姿が正面に見えた。景観は素晴らしいところだと思う。(現地訪問:2010年4月)
ラベル:蓼科アソシエイツスキー場
昨日の時点ではプレハブは撤去済み、ナイター照明を下部から撤去中、リフト搬器を搬出中で、リフト本体はまだ残っていました。すでに植林されたカラマツが成長しているので、構築物が無くなればスキー場だった痕跡は判らなくなりそうですね…