
(左)左手の樹林帯が布滝ゲレンデ。左手奥に布滝リフトが見える。(右)「'86 SKI GUIDE」ほかを参考に作図。
越後は雪国といわれる。しかし、県都新潟市は信濃川の河口に位置し、スキー場が立地する山岳までには少々距離があるように思える。そんな新潟市街から最も近いスキー場のひとつであったのが、五頭高原スキー場。越後の平野も東に尽きるあたりに位置する。
「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」によれば、「五頭山(標高912M)の西斜面から南西斜面に広がる12haにリフト4基が架設され、上中級者向き布滝ゲレンデ、中級者向き五葉ゲレンデ、中初級者向き扇ゲレンデ、初級者向きファミリーゲレンデ、中初級者向き林間コース・高原コースとなって展開し、面的・線的両方を兼ねそなえ、新潟市から一番近い本格的スキー場として人気がある。扇ゲレンデ・五葉ゲレンデからは日本海・越後平野を望め景観も素晴らしい」と紹介されている。スキー場開設は1975年(昭和50)。営業休止年月を記した資料をまだ見つけていないが、1990年代初め頃ではないかと推測される。
新潟市街から国道49号をたどる。阿賀野市の中心となった水原から東に向かう県道に入り、国道290号に出たところが村杉温泉。ちょっとした温泉街が形成され、日帰り温泉施設もある。その温泉街の北側にある安野川に沿う道を東に進めば、「県民の森」などが山麓に整備されている。その先の「普通車1日800円」などと書かれた看板が室内に放置されている小屋は、おそらくスキー場入口で駐車料金を徴収していたものだろう。そこから左右にひな壇状にいくつもの駐車スペースが広がっている。ゲレンデはその先、川を越えたところから上部の斜面にあったようだ。
(左)ゲレンデ直下のリフト乗場。(右)ゲレンデ下のパトロール・スクール・貸スキーが入った建物。
ゲレンデ最下部には、錆付いたリフト乗場の残骸が2基。布滝ゲレンデのリフトと思われる。椅子ははずされているが、鉄柱に支えられたワイヤーが斜面を駆け上っている。その傍らには「WELCOME」と掲示された貸スキー・スクールとパトロールが入っていたと思われる廃墟。その先で車道を進むことはできなくなっている。数年前から植林が進められているようで、その旨の掲示も立てられている。斜面は再び木々が覆いつくそうとしている。ここは五頭山への登山口にあたるようで、あたりを歩き回っているうちにも何組かの登山者が下山してきたところだった。(現地訪問:2010年7月)
ラベル:五頭高原
新潟市内からほど近く、施設もわりと充実していましたが、とにかく雪が降らず、当時から幻のスキー場といわれていました。(雪不足で開設されない年が続いていたので)
改めて、閉鎖と聞くと残念ですね。
私は新潟県の大学院で里山と廃スキー場の関係について研究しています。このブログの内容は廃スキー場の場所などを知る上で、勝手に参考にさせていただいております。
また、全国の廃スキー場を巡っている急行野沢さんにもお話を伺いたく、連絡させていただきました。
お時間がありましたら返信をいただけないでしょうか。
どこに書き込めばいいか分からず、つい地元の廃スキー場の場所を選んでしまいました。全然関係のないコメントをして、申し訳ありません。
五頭高原スキー場ですが、1991年までは営業をしてはいましたが、積雪がなかったため、実質的な営業は1990年までのようです。現在はリフトは撤去されています。