(左)メインゲレンデの下から。(右)ゲレンデを少し登ったところから、駐車場方面を振り返る。
上越国境北側の山深いところにあった三国。苗場のエスケープゲレンデであるかのように位置づけられていたのが、不幸だったと思っている。もう少し立地が違っていたら、独自のカラーで売り出すことのできるスキー場になっていたのではないだろうか。
私は1990年3月に一度だけ滑りに来たことがある。そのときは、他のスキー場のついでにというものではなく、この三国だけを目指してやってきた。もちろん大規模なゲレンデというわけではないけれど、雪質も良く中級レベルを中心としたコース構成が楽しく、十分満足のいくものだったと記憶している。一連の西武系スキー場の整理の中で、2004シーズンを最後に営業をとりやめた。
「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」によれば、「苗場スキー場から、3.5km。上越国境の山々に囲まれた谷あいにあり、43haのゲレンデは豊富な積雪に恵まれ12月初旬から5月上旬まで滑走でき、美しいブナ林に囲まれた独特な雰囲気をもっている。ゲレンデにはセパレートされた7コースが設定されており、初級者から上級者まで自分の技術に応じたコース選定ができ、安心して滑走できるようになっている」と紹介されている。
苗場プリンスホテル宿泊のスキーヤーには、無料送迎バスが運行されていた。標高1,120~1,548m。開設は1980年。最大斜度30度。苗場と同様、国土計画によってつくられた西武系のスキー場だった。リフトはペア2基、シングル1基。最長滑走距離2,500m。

(左)ちょうちん岩コースの下から見上げる。
国道17号の苗場スキー場前から国道353号を南下すれば到達することがわかっていながら、なかなか足を運ぶ機会がなかった。ちなみにこの国道353号はけっこう凄いルートをとっていて、群馬県桐生市から赤城山の南麓、吾妻渓谷、魚沼の山稜などを縫って走り、新潟県柏崎市まで通じている。その途中にある、上越国境を挟む群馬県四万温泉とこの三国スキー場の間は開通していない。
9月初旬のまだ真夏のように暑い一日、苗場スキー場の前から狭い道幅の国道353号を進む。苗場スキー場からは3.5kmとあるが、あらためてその道をたどるとずいぶんと距離を感じる。終点は広い三国スキー場の駐車場となっていて、その右手前方の斜面に何本ものゲレンデが開かれていた。西武系の閉鎖スキー場に共通に見られるようにリフトやレストランなどの施設はきれいに撤去され、斜面を自然の植生にもどそうとしている。
ゲレンデの跡は背の高いススキなどに覆われているが、まだコースのかたちははっきりしている。少しゲレンデを登って振り返れば、谷川連峰の山々が雄々しい姿をもたげているのが見えた。国道終点の少し手前には、ちょうちん岩コースの最下部も跡をはっきり認めることができた。下界では35度という猛暑が続いているが、ここまで来るとさすがに涼しい風が吹いていた。風に揺れるススキが、こんな猛暑の夏にも、秋が着実に忍びよっていることを語っているようだった。(現地訪問:2010年9月)
ラベル:三国スキー場
その後調査に行ったときは苗場からテクテクと徒歩で。
まだその頃はリフトもあったのですが、さすが国土、原状回復はさすがですね。
1度行ったきりでしたがそろそろ紅葉の季節なので、機会があったらちょうちん岩まで見に行こうかな…。