(左)大谷温泉の建物の背後にある斜面にスキー場は開かれていた。(右)ロープトウがあった斜面。
大谷温泉スキー場は富山県内で最も海に近く、富山平野と日本海の眺望が楽しめるスキー場だった。北陸自動車道魚津ICからクルマ5分。魚津市街地に近かったため、ナイター施設もあるシティゲレンデであり、多くの家族連れでにぎわった時期もあるようだ。温泉をあわせたプラニングも可能だっただろう。平成に入り利用客が減少し閉鎖となった。「スキー場開き1月10日(予定)」とある資料を見たことがあるから、滑走期間はさすがにあまり長くはなかったようだ。
「'92全国スキー場ガイド(山と渓谷社)」によれば、「立山連峰のひとつ、僧ヶ岳をバックに遠く能登半島を望む雄大な自然に囲まれたスキー場。コースは平均斜度17度の初中級向きが2本と、最大斜度35度の上級向きの急斜面がある」と紹介されている。施設はロープトゥ2基、最長滑走距離620m。
蜃気楼で有名な魚津市街から山側に上っていく。その道沿いには大谷温泉の案内標識がまったくなかったのだが、1本北側の魚津ICからの道には大谷温泉を示す案内があり、北陸道からのアクセスが便利であることを感じさせた。市街地の背後に迫る丘陵の入口のような場所に大谷温泉はあったが、あまり人の姿も見えず静かな雰囲気だった。
そのあたりをうろうろしていたら、大谷温泉のご主人と思われる方に「何かここに用か」と不審げな顔で声をかけられた。ご主人の話によれば、阪神大震災の前の年(1994年)にご自身がスキー場の整備をしているときに脚を怪我されて、それでスキー場の営業をやめたとのこと。魚津市街から近かったためで最盛期にはたいへんな賑わいだったようだが、高速道路ができてよくなると思ったが、みんな大きなスキー場に行ってしまうようになり、マイナスだったと語ってくれた。大谷温泉の建物の裏の斜面にJバーリフトがあり、それに沿った急斜面と右に迂回するコースがあったという。
斜面にはわずかに切り開きの跡がわかるものの、草木に覆われて痕跡は消え去ろうとしている。ゲレンデ上部に回りこむようにつけられている車道をたどれば、迂回コースの跡を見おろすこともできた。その向こうは富山湾までの展望を得るができた。山国に生活する者にとっては、スキー場から海が見えるという感覚はちょっと異質なものに思えた。(現地訪問:2010年10月)
(左)上部からゲレンデを見おろす。かなたに富山湾が見える。
ラベル:大谷温泉
毎回興味深く拝見しております。
私は富山出身 北海道在住の30代会社員です。
小学校のころアルペンをやっていまして、
シーズン中、土日に草大会を転戦していました。
当時、こちらのスキー場をベースに練習している
魚津ジュニアレーシンングチームがめちゃくちゃ強くて、
いつも上位入賞を何人も出していたことを思い出して、
現在の状況とのギャップに少し寂しくなっちゃいました。
(因に90年代後半、ワールドカップにダウンヒルで出ていた林 護選手もこのチームにいました)
かつてのスキー場の賑わいもひとえに風の前の塵に同じ、ということでしょうか。。
しかし、当時を過ごした大勢の人の記憶から色あせることなく、スキー場の思い出は残り続けることでしょう。
沢山の人が私と同様、このブログを楽しみにしている事と思います。
急行野沢様の今後の活躍を祈念しております。
PS 富山には他にも私の”追憶のゲレンデ”がありますよ!!
富山市山田の牛岳温泉スキー場の裏ゲレンデ 原山スキー場なんてご存知でしょうか?
原山スキー場のことは知りませんでした。牛岳温泉の裏とは、どのあたりにあったのでしょうか。
原山スキー場はかつての牛岳温泉スキー場のユートピアゲレンデです。
昔は別のスキー場でしたが、ロープウェイでつなぎ、同じスキー場の中の1エリアとして扱われていました。
しかし現在では、ロープウェイの廃止とセットでゲレンデ閉鎖になってしまいました。
シングルリフトが2基あり、中~急斜面で構成されている割とテクニカルなゲレンデで、よく大会や検定が開催されてましたよ。
今はアクセスする道路が雪に飲み込まれていると思いますので、なかなか近づけないと思いますが、いずれ取り上げていただけましたらとても嬉しです。
牛岳温泉スキー場の裏というのは、現在廃止になったロープウェイで谷を渡ったパラダイスゲレンデのことだと思います。
http://maps.google.co.jp/?ie=UTF8&ll=36.55081,137.056847&spn=0.031924,0.06197&t=h&z=14&brcurrent=3,0x5ff7f20918176af5:0x6d5abf97791f1de3,1
もちろんこちらも廃止になっていますが、牛岳登頂に使われているとか。
まとめた方のブログを見つけました。
http://blogs.yahoo.co.jp/hiro0425kawachi/41403635.html
冬季は除雪されていない林道を鍋谷集落から牛岳山頂までバックカントリーする人もいるそうですが、夏場ならば山頂まで林道が続いているようです。
やはり場所がわからず、大谷温泉のご主人に話を伺ったところも同じです。
山頂の電波施設までいく道が積雪のため移動できず、結局場所を確認することができなかったのですが。
Google Map で見る、林道の北側の斜面がそうなんでしょうか。
富山の観光情報とは向きが逆みたいですが。
http://www.atcm.ne.jp/atcm/sky/ootani/ootani.htm
その隣の千鳥スキー場跡は地元の人に聞きながら行ったのですが、アクセスもよく、滑車などもそのままあっていい感じでした。
こちらを廃止したのはもったいない気がします。
懐かしいゲレンデが出ていましたので、書き込みいたします。
富山在住の40半ばのモノですが、中学時代スキー部に所属していて、冬は毎日通いました。
路面に雪がないときには自転車で大谷温泉まで行っていました。スキー道具は大谷温泉さんのご厚意でボイラー室に預かって頂いていました。
今から30年前の話になりますが、非常に懐かしいです。