2011年09月18日

入笠山スキー場(富士見町)

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(左)鹿よけのネットの中にお花畑。その斜面がスキー場だった。(右)入笠山登山道からゲレンデを見おろす。

入笠山は古くから多くのハイカーに愛されてきた山だ。その魅力は八ヶ岳や南アルプスを間近に見る展望と湿原を彩る花々、そしてそれらを包み込む森林。首都圏からも適度な距離にある。現在では混雑期にマイカー規制がされるようになったが、その時期をのぞけば山頂直下の御所平駐車場まで車で入ることができ、30分の登りで展望の素晴らしい山頂に立つことができる。ただ、それだからといってこの山の魅力が損なわれたわけではない。小雨のぱらつく今日も、家族連れなどのハイカーを多く見かけた。ますます身近な山として親しまれていると思う。MTBのコースもあるし、冬期にも富士見パノラマスキー場のゴンドラを使い、一帯のスノーハイクするようすも、さまざまなサイトで確認することができる。廃止となった入笠スキー場の跡地を滑る人もいるようだ。

マナスル山荘などがある御所平から入笠山への登山道をたどれば、左手にはお花畑が広がる。多くの人がその地形から想像するとおり、ここはスキー場だった。見上げる斜面は夏はお花畑となる。鹿よけのネットがいまは張り巡らされているが、所定の入口から入って散策すれば、旧盆を過ぎたこの時期にもクルマユリを初めとする花々が咲いていた。見上げるゲレンデは適度な斜面で楽しい滑走だ楽しめそうだ。かつてはTバーリフトが設置されていたようだが、施設の痕跡はわからない。

もう一箇所、入笠湿原近くにもゲレンデがあった。山彦荘の前に広がる樹林のない斜面がそのゲレンデの跡。こちらも適度な中斜面だ。左手上部には、富士見パノラマのゴンドラ山頂駅があるはずだが樹林に遮られて見ることはできない。山彦荘で聞くと、こちらもTバーリフトを設置していたという。富士見パノラマスキー場が近くまでゴンドラを伸ばした時期と前後して、営業をやめたという。このほかにも、入笠牧場の斜面などを使ってスキーが楽しまれていたのだろうと思われる。そのような形態なので、スキー場の開設年月を特定することは難しいのではないかと思う。小山泰弘「長野県における休廃止スキー場の実態とその後の植生変化」によれば、入笠山スキー場の最終営業年は1999年となっている。富士見パノラマの山頂ゴンドラ設置はその何年か前だったと記憶している。

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(左)ゲレンデに咲いていたクルマユリ。(右)山彦荘の前、入笠湿原に隣接していたゲレンデ。

せっかくなので小雨の中、入笠山山頂まで登ってみる。当然のことながら一面の雲に隠れて展望は得られない。過去、何回か家族でも訪れているが、その都度360度の展望に恵まれた。しかし、小雨に濡れた樹林帯や湿原もしっとりした緑を描き出し、なかなか捨てがたいと感じた。(現地訪問:2011年8月)
ラベル:入笠山
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