(左)中禅寺湖。正面奥が菖蒲ヶ浜。(右)戦場ヶ原の冬景色。
世界遺産に登録された日光の二社一寺、そして背後には中禅寺湖・男体山・戦場ヶ原という豊かな自然。日光はやはり日本を代表する観光地だと思う。しかし、伊豆箱根・富士五湖・那須高原などの首都圏を取り巻く他の観光地にくらべると、いまひとつ渋い感じがするのはなぜだろうか。
そんな中禅寺湖北岸にあった日光プリンスホテルに併設されていたのが日光菖蒲ヶ浜スキー場。1993年12月に開業、2006シーズンから休業し、2008年にはホテルも営業終了となった。
真冬には閑散としているのではないかと思ったが、いろは坂を上って行く車はそれなりの台数があった。後でのぞいたら、日光湯元スキー場もファミリーを中心にそれなりに賑わっていたし、スノーシューを履いて戦場ヶ原の散策を楽しんでいる人も多い様子だった。一般の観光の延長で日光からここまで足を延ばしている人も多い。中禅寺湖畔や戦場ヶ原の冬の景観も素晴らしいと思う。
(左)雪に埋もれた旧日光プリンスホテル。(右)ゲレンデ下から斜面を見上げる。
中禅寺湖東岸を走り、竜頭の滝の下から左に入る。日光プリンスホテルの建物前までは除雪されていたが、休業後そのままになっているホテルの建物は、ただ雪に埋もれているだけだった。そのホテルの右手に隣接して菖蒲ヶ浜スキー場の跡地があった。非常になだらかな斜面が一面の単純なゲレンデ。斜度は平均7度、最大14度。完全に初心者や子ども向けのファミリーゲレンデであったようだ。ここにトリプルリフトが架かっていたはずだが、斜面の規模からは不釣合いな感じがする。リフトは撤去され、斜面には雪が降り積もり立ち入ることはできなかった。
西武系のスキー場であったので、ひと通りの設備は揃っていたようで、ゲレンデ脇には食堂もあった。そしてゲレンデからは男体山の雄姿を真正面に望むことができた。小さな子どもを連れてホテルに一泊し、奥日光の冬の風景を満喫しながら、歴史遺産も見学する。そんな冬のプランに組込むとすれば、利用価値は高かったのではないだろうか。スキーだけを目的とするのではきびしいと思われるが。(現地訪問:2012年2月)
(左)日光プリンスホテル前からゲレンデ方面を見る。ゲレンデは前方の木々の向こう側。
ラベル:日光菖蒲ヶ浜スキー場
ところで戦前と思われる日光スキーパンフレットに今では想像のつかないゲレンデ名の記載がありました。「男体山スキ-場」「涸沼ゲレンデ」リフトが設置される大昔の事でしょうが、ご存知ですか?また昭文社の96年版登山ガイドに茶ノ木平山頂付近に「スキー場」の表記がありました。89年厳冬期に茶ノ木平は登山しましたが、そのような形跡はなかったと記憶してます。80才の実父は「若い頃はリフトなんぞなく、自分で登ったもんさ」と言ってたので、リフトなしのゲレンデはかなりの数あったんでしょうね?