(左)国道158号沿いには登山者の車。左奥にロッジの建物があるが、進入路は除雪されていない。(右)ゲレンデ下にはトイレと登山案内。右手奥にもリフトと上級コースがあった。
深田久弥が著した日本百名山のひとつ、荒島岳。百名山に名を連ねる山々の中では幾分地味な感じがする。しかし、白山の他にもうひとつ故郷の石川県加賀市に近い山を入れたいという気持ちがあったのだろう。福井県唯一の百名山である。その荒島岳への登山ガイドは、必ずといってよいほどこの勝原スキー場のゲレンデを登ることから始まっている。
福井の平野をうるおす九頭竜川が、大野の盆地に流れ出す直前の谷間。その北斜面に位置していたのが勝原スキー場。1963年に開設。2009シーズンを最後に営業を休止し、2010年春には廃業となった。他のスキー場との競争やスキー人口の減少のほか、雪不足にも悩まされたようだ。ペアリフト2基を備えたファミリー向けの日帰りスキー場という位置づけだったのだろう。最盛期には金・土曜日にナイター営業もあった。
福井ICから35km、大野市街からは10kmほどなのでアクセスは楽だったはずだ。一方、JR越美北線勝原駅には「勝原スキー場徒歩10分」という掲示があるが、1日上下各5本しか列車がないローカル線ではスキーに出かけるのには使えなかっただろう。以前は越美南線(現・長良川鉄道)と結び、東海と北陸をつなぐはずだった路線だが。
(左)ゲレンデ下から第1ペアと初級コースを見上げる。(右)ゲレンデ中腹から第1ペア乗場を見おろす。
快晴の3月の休日。勝原スキー場直下の国道158号沿いには10台以上の車がとめられていた。雪の荒島岳への登山者のものだろう。駐車場への侵入路は除雪されておらず、ツボ足で進んでみる。左手の一段上にはロッジの建物が廃墟のようになっている。ゲレンデ下にはスキー場の案内ではなく、荒島岳登山者への注意書きと登山地図、そしておもに登山者の使用を想定していると思われるトイレの建物。
右手には第1ペアの乗場と支柱が残り、なだらかな斜面が広がっている。ファミリーには最適なゲレンデだっただろう。さらに右手奥にはもう1本ペアリフトがあり30度の壁がある上級コースがあったはずだが、そちらは一足先に廃止されていたようだ。そうしているうちにもゲレンデ下から歩き始めた登山グループがあった。(現地訪問:2012年3月)
(左)越美北線・勝原駅には勝原スキー場の案内が。
こちらもご覧ください → 勝原スキー場(その2)
[追記 2014年12月2日]
「荒島岳に登ったときにリフトの滑車跡らしきものを撮ってきました」とコメントをお寄せいただいた市橋さんから、その画像が届きましたので掲載いたします。


ラベル:勝原スキー場
夏はここのレストハウスがやっている流しそうめんが定番レジャー。楽しかった美味しかった思い出しかありません。
レポありがとうございました。
勝原スキー場のレポートありがとうございます。平成2年の正月休みに開催されたSAJの準指導員試験対策の2日間の実技講習、平成3年のテクニカルプライズ試験受験の計3日間しか滑走経験はないスキー場ですが、一時期運行していた右手奥の上級者コースからの滑り出しと景色はなかなか快適であった覚えがあります。今から思うとこのような講習会やプライズ試験をやっていたのが信じられないほどのマイナーなスキー場であったように思いますが、当時はスキーブームでまだスキージャムもなく、かなりのお客さんがいたんですね。ちなみに準指導員試験は受験直前にインフルエンザにかかり受験できず、テクニカルプライズもあえなく撃沈されました。私にとってはたった3日間の滑走経験ですが、思い出深いスキー場です。
たしか銀嶺荘っていう建物があったような。
福井のスキー場ではスキージャムへのトンネルの上にあった雁が原第3ゲレンデのリフトが撤去されていました(今やトンネルは無用の長物になっています)。
雁が原は勝原より街から近いので頑張ってほしいです。