(左)福島市郊外から、満開の桃畑の向こうに吾妻連峰。(右)磐梯吾妻スカイライン沿いに建つ吾妻ロッジ。
ゲレンデガイドを開くたびに、このスキー場のことは気になっていた。縦長に4本のリフトが配置されたコースレイアウト。しみじみとしたローカル・ゲレンデの雰囲気が漂っているように感じられた。上部と下部のリフトが別の経営主体だった時期もあったと記憶しているが、そんな煩雑さにも興味をもった。ロコ的な魅力に抗いきれず、1998年3月に東京から長躯日帰りで滑りに出かけた。
高湯温泉の先から磐梯吾妻スカイラインに入るのだが、冬期はこのスキー場の中心部にある吾妻ロッジまで通じているだけで、その先は通行止め。そのときは吾妻ロッジの前に車をとめたが、当時、すでにずいぶん歴史を感じさせる建物になっていたように思う。あいにくその日は雪が降り続き視界が開けることはなかったが、樹林の中に続くコースを楽しく滑ることができた。
もっぱら上部の石楠花第1・第2リフト沿いで滑ったが、混雑というにはほど遠いけれど、それなりに賑わっていたと記憶している。ポニーリフトと乗り継いで高湯温泉街からアクセスするための、最下部の湯花沢リフト(シングル)は当時既に稼働していなかったし、白樺平リフトは稼働していたものの、ほとんど乗っている人はいなかった。晴れていれば展望が素晴らしいところだとわかっていたので再訪を期していたが、2006年3月末をもって営業を終了した。福島西ICから18km、福島市内に位置する唯一のスキー場で、福島市民のホームゲレンデのようなものではなかっただろうか。
(左)しゃくなげ第1リフト乗場から見上げる。(右)白樺平リフトの上部から見おろす。
「オールスキー場完全ガイド2000」(立風書房)には、「磐梯吾妻スカイラインに沿ってコースがタテ長に並ぶ。ベース部は奥州三高湯と呼ばれる人気の高湯温泉。『汗をかいてひと風呂』には最高のロケーションだ。スクールが有名で基礎派が多いが、最近ではスノーボーダーにも県屈指の人気」と記されている。最大斜度36度、最長滑走距離3,500m、ペアリフト3基、シングルリフト1基。最後の頃にはハーフパイプも設置されていた。
いつかは再訪しなければと思っていたが、ようやく連休のさなかに1日の時間をひねり出した。福島市の郊外では桃の花が満開で、その向こうには残雪をいただく吾妻連峰が輝いている。ラジオのローカルニュースでは福島県内各地の放射線量が告げられていた。硫黄の香漂う高湯温泉を過ぎて、磐梯吾妻スカイラインへ。この日は無料開放されていて、首都圏ナンバーの車も多い。ゲレンデはその道に沿っているので、廃スキー場めぐりとしても訪問はしやすい。やがて見えてきた吾妻ロッジは、破損が目立つ姿をさらしていた。
吾妻ロッジの横には白樺平リフトの降り場、下方には石楠花第1リフトの乗場が見えるが、いずれのリフトも椅子をはずされただけで営業時そのままのように見える。上部を見上げると石楠花ゲレンデにはまだ残雪が十分残り、コースのありかを示しているようだ。白樺平ゲレンデにはナイター照明の設備もそのままの姿で立ちつくし、一段下がった場所のヒュッテの建物も残されている。少し早く廃止になっていた湯花沢リフトの錆びついた姿もその下に見えた。春の晴天のもと、福島市街を中心とする信達平野を一望することができた。(現地訪問:2012年4月)
(左)左奥に白樺平リフト乗場、右に湯花沢リフトの降り場。
学生時代に一度だけ後輩と滑ったときは、ゲレンデの上下でリフト券が異なる不思議なスキー場だったと記憶しています。共通券が無く、もちろん両社の券など買わず、上部ゲレンデだけ滑っていました。
福島市内がやたらと良く見え、鳥になったような気がするゲレンデでした。こんな規模の廃ゲレンデは今や、東日本中にあふれています。
この夏、高湯温泉までは来たのですが、大雨の中だったので、スキー場跡巡りはしませんでした。
そんな時に某雑誌抽選で見事リフト券をゲット!
ようやく念願がかない、日帰りで強行しました。
ちょうど10年前でしょうか、お隣りのあだたら高原に比べると施設も古びた感じで、かなり閑散としてましたね。午前中は殆ど滑走してる人はいませんでしたね。
コースは圧雪が行き届いておらずコンデションは今ひとつ?深々と雪が降っており視界もなく幼少の頃に味わった景色も見れずじまいでちょっと期待はずれ。
でも福島の高緯度で尚且つ標高も比較的高いところにあるので植生が関東近郊のゲレンデとは異なり高山的雰囲気もあったのがGoodでしたね。
ここのゲレンデトップから一切経山方面に行く冬山登山者とかに重宝されてたのですかね?