2012年06月17日

四万温泉スキー場(群馬県中之条町)

shimaP1100830.JPG shimaP1100831.JPG
(左)四万温泉の共同浴場「河原の湯」。(右)新湯の温泉街。スキー場への道は左。

群馬県には知名度の高い温泉が多いという印象がある。草津をはじめ、万座・水上・伊香保などは誰でも知っている温泉だろう。そんな中で四万温泉は、トップクラスの知名度があるとはいえないけれど、知る人ぞ知るといった温泉地ではないかと思っていた。

四半世紀ほど前、友人と二人で四万温泉を訪れ、ゆずりは荘(現在も存続)に宿泊した記憶がある。なぜ、こんな温泉地を訪れることになったのか、理由ははっきり記憶していないが、天邪鬼な我々であったからメジャーとはいえない温泉地を目指したことは間違いない。ひっそりとした温泉地であった記憶がある。今般、四万を久しぶりに訪れてみて、少々イメージを覆された。温泉口・山口・新湯・やずりは・日向見というエリアに分かれた大温泉地であり、レトロな雰囲気の家族経営のような宿から高級温泉旅館まで、宿の種類や数もかなり多い。

この四万温泉からほど近いところにスキー場があった。開設・休止年月についてはまだ調査がおよんでいない。廣嶋英雄「全国スキー場案内(スキー場とツアーコース)」(創元社・昭和35年12月)には「四万温泉の西方にある北面のスキー場で、標高700~800mの高原にあるため。雪質は良く、積雪量も多く、スロープも豊富にあります」と記載されている。実は現在、かつてのスキー場跡は野外スポーツ林となっているが、関東森林管理局「第2次国有林野施業実施計画」には、「四万温泉の西方1.5kmに位置し、標高約700~800mで高低差の少ない初心者向きのスキー場である。夏季にはテニスコート運動広場として温泉利用者、地域の小中学生に利用されている」との記載がある。

shimaP1100838.JPG shimaP1100839.JPG
(左)温泉街の案内板には「スキー場へ」の文字が残っていた。(右)四万野外スポーツ林の入口。

新緑の5月に久しぶりに四万温泉を訪れた。新湯温泉街にある案内板には「スキー場へ」という文字も残っていた。新湯の中央通りの始まるあたりから左に分岐する道をたどる。「小倉の滝」と同じ方向へと四万川支流の新湯川の上流に向かい、途中、国道353の新道と交差してさらに西へ進む。ほどなく左に「四万野外スポーツ林」の標識があり、グランド・テニスコートなどの施設が広がる。ここがスキー場の跡地のようだ。現在、グランドとして整地されているところも含め、その南側の北面斜面がゲレンデだったのではないだろうか。山腹には樹林が繁り、ゲレンデだった様子をうかがい知ることは難しい。周囲ではちょうど八重桜が満開だった。

少し温泉街に向けてもどったところで、一軒の家の前にいたお爺さんに聞いてみる。「スキー場がなくなったのはもうずいぶん前のこと。雪も少なくて、スキーをやりに来るという場所でもなかったし、それよりも今のような施設の方が良いということになったのでしょう。当時のことだから、リフトやロープトウもなかったようだ」という話だった。地元の人や温泉に来た人がスキーを楽しむという程度のゲレンデだったのではないだろうか。(現地訪問:2012年5月)

shimaP1100841.JPG shimaP1100840.JPG
(左) 八重桜咲くグランドからその先の斜面にかけてがゲレンデだったのではないだろうか。(右)野外スポーツ林は、テニスコートなどもある施設。右手山腹がスキー場だったと思われる。
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック