2013年12月04日

ファミリースキー場オース(福井県福井市)

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(左)スキー場へのアクセス道。幅は狭いが滑り止めの凹凸がある。(右)斜面下には休憩舎。

このスキー場は厳密にいえば「追憶のゲレンデ」として取り上げるべきではないのかも知れない。というのも、一度もスキー場としての役割を果たしていないから、ここでスキーを楽しんだ追憶をもつ人もいないからだ。

「ファミリースキー場オース」は豪雪地帯の振興を図る旧国土庁の「雪国快適環境総合整備事業」の一環として、福井市と合併した旧美山町が総工費2億5500万円をかけ92年に着工。13,000平米を整備し94年に完成した。しかし、スキー場へのアクセス道路が幅4メートルしかなく、冬季に通行できなくなるなどの理由で開業できず、一度も利用されることなく2007年3月に廃止となった。その後、福井市は2007年8月27日に国・県に補助金への返納を発表。当然ながら無計画かつ無駄な公共事業の典型として批判をあびた。スキー場の設備として用意されたのは、ロープトウ1基、照明施設4基、20台分の駐車場。コースは全長180mであった。

過去に訪れた人のネット上の記録なども参考にして、晩秋の一日、現地を訪ねた。所在地は福井市所谷町。国道158号の旧道から越美南線小和清水駅付近で左折、芦見川に沿う谷を東に進み「リズムの森」を目指す。「リズムの森」というアスレチック・キャンプ場などを備えた施設の1本南側の東西に走る山際のか細い道、ここから南に向かって谷を登って行く舗装道を進む。途中の分岐は右へ。滑り止めのための凹凸のついた舗装道がスキー場斜面下まで導いてくれた。

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(左)斜面の下から見上げる。(右)ゲレンデ脇に用意されていた駐車場。

到着して驚いたことに、スキー場の斜面はオフロードバイクのコースと化していた。斜面を数台のバイクが轟音を立てて走り回っていた。斜面下には「休憩所」と看板が下げられた建物。その前で車をとめると、場違いな奴がやってきたと思われたのか、つなぎ姿の青年が近づいてきた。彼に尋ねると、確かにここがスキー場の跡地のようだった。しかし、「いまは私有地であり、何より危ないからあの斜面に立ち入ってはいけないよ」といわれた。もとより、バイクが走り回っている場所に立ち入るつもりはないのだが。

見上げる斜面はローブトウ1本架けるにはちょうどいいくらいの規模で北東向き。斜面下の建物はスキー場の休憩所として建てられたものだろうか。少し下って脇にはいると20台ほどの駐車場のスペースがあった。そして、その脇からも横向きに斜面を見ることができた。ナイター照明の支柱が空しく立っているのが印象的だった。適度な斜度で、ゲレンデとしては小規模であるがファミリー向けなら悪くないと思った。問題はやはりアクセス道だろうか。狭くて急で積雪時には厳しい道になるだろうと思われた。(現地訪問:2013年11月)

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(左)斜面の横から見上げる。ナイター照明の支柱が立っている。(右)「リズムの森」の前から。右手の山中にゲレンデがある。
posted by 急行野沢 at 23:35| Comment(1) | TrackBack(0) | 福井県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
せっかく整備したのにオープンできなかったなんてもったいないですね。
Posted by セキティ at 2013年12月05日 07:36
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