(左)二合目の上から一合目・二合目ゲレンデと遠景に琵琶湖を見下ろす。(右)ゴンドラ乗場に掲示されていたゲレンデマップ。読み取れない箇所も多い。
連休の一日、懸案だった伊吹山に出かけた。百名山登山にあわせて、廃スキー場探索もできるという一石二鳥。伊吹山は古くから人々に親しまれた山であるが、いまでは山頂近くまで「伊吹山ドライブウェイ」で上ることができる。しかしスキー場は山腹に設けられていたので、もちろん下から歩いて登らなければならない。なお、登山としての記録はこちらへ。
そんな伊吹山の南斜面に開かれた伊吹山スキー場は、この地域での老舗的なゲレンデ。1952年開設。2008年以降休業し、2010年にはリフトなどの施設が撤去されて閉鎖となった。駐車場係の小父さんは「スキー場は何年も前に廃止になった。雪が少なくなってしまってね」と話してくれた。しかし、登山道に沿ってスキー場の痕跡をいまも随所に見ることができた。
(左)登山口の脇にあった山麓リフトの乗場跡。(右)ゴンドラ乗場へのゲート。
登山協力金(300円)を徴収している小屋のすぐ先に、登山道入口がある。その右手に一段高くコンクリートの擁壁があり、脇の草に覆われた階段を登るとその上が山麓リフトの乗場だったようだ。コンクリート部分が残っているだけだが、上部に向けてリフトの切り開きの跡も見て取ることができた。
登山道に入らずに林道を進む。西武カラー(最終盤は経営主体は西武ではなかったが)の「伊吹山ゴンドラ」というゲートの前を過ぎると、すぐにゴンドラ乗場前の駐車場に出る。乗場の大きな建物はシャッターを閉ざしていたが、ワイヤーは上部に向かって張られたままで、搬器を取り付ければ再稼働も可能な様子。スキー場廃止後も、ゴンドラは2010年まで夏山用として稼働していた。
(左)ゴンドラ乗場。シャッターが閉まっている。(右)一合目にある山麓リフトの降場跡。
登山口にもどり登山開始。杉林をぬけると一合目。いったん舗装道に出る。すぐ右手に山麓リフトの降場のコンクリートの痕跡がある。その上には何軒かのロッジが建ち並び、前方に一合目ゲレンデが広がっている。幅広で快適な斜度に見える。登山者用トイレの脇には、一合目ロマンスリフトの乗場のコンクリートの痕跡が残っていたが、リフトの支柱などはすべて撤去されている。パラグライダーで飛び立とうとする人たちで賑わっていた。
一合目ゲレンデの左脇を登って二合目に至ると、左手(西側)には一段高く一合目ロマンスリフトの降場と思えるスペース。その右手には「旅館・食堂」と壁面に書かれた建物が廃墟となっている。そのさらに奥には二合目A・B線のリフト乗場の小屋が残っていた。ここもリフトの支柱などはすべて撤去されているが、リフトの切り開きの跡ははっきりわかった。その左には二合目コースの急斜面で広がっていた。
(左)一合目ロマンスリフトの乗場の痕跡。一合目ゲレンデを見上げる。(右)二合目付近には食堂・旅館の廃墟。中央奥の樹林の中には二合目A・B線の乗場の小屋が残っていた。その左は二合目ゲレンデ。
ゲレンデ内にはさまざまな建物がいまもあって、スキー場開設時の賑わいを感じることができた。振り向くと広い一合目ゲレンデと近江の平野、そして琵琶湖がその向こうに広がっていた。
(三合目から上部のレポートは、次回に続く → 「伊吹山スキー場(その2)(2015年5月22日)」)
(現地訪問:2015年5月)