(左)松之山温泉街。(右)資料などから推測した千の坂スキー場の位置。
松之山温泉は、草津温泉・有馬温泉とともに日本三大薬湯といわれている。その泉質はホウ酸含有量日本一で塩分濃度も高い。温泉地ではあるものの歓楽的な雰囲気は少なく、里山の自然美を色濃く残している。山深い豪雪地であり、小正月に松之山の新婦を娶った新郎を雪の中に放り投げる「婿投げ」という奇祭が行われることでも知られている。
それほどの豪雪地であるから、温泉とスキーをセットにした集客も当然考えられ、現在もペアリフト2基の松之山温泉スキー場が営業を続けている。松之山温泉街から南へ1kmほどの場所である。この松之山温泉スキー場は1983年の開設であるが、それ以前に松之山にあったのがここで紹介する千の坂スキー場である。
「スキー天国にいがた(1975年、新潟日報事業社)」には以下のように紹介されている。「松之山温泉から徒歩5~15分のところにあり、主に初心者向けのコース。スロープは400~500mで小規模スキー場である。(後略)」。また、「松之山町史(1991年)」には以下のように記されている。「早くから大松山周辺がスキー場として利用されてきたが、温泉場付近にスキー場がほしいという観光客の要望にこたえて、昭和39(1964)年に千ノ坂スキー場がオープンした。51年には津南町で使用されていたロープトウが設置され、無料休憩所もできた」。しかし、その後さらに本格的なスキー場建設が必要とされ、現在の松之山温泉スキー場が登場することになるのである。
(左)木造三階建の堂々とした凌雲閣。(右)古いプールの向こうがゲレンデだったと教えられた。
小雨降る9月の午後、松之山を訪れる。「スキー天国にいがた」にあった地図から、温泉旅館・凌雲閣の近くではないかと考えていた。松之山温泉街への入口から少し南下した場所に凌雲閣は位置している。年月を経た木造三階の建物は存在感を放っていた。その窓口でスキー場について聞いてみると、「その脇の道を行くとプールがあって、その向こうがゲレンデでした」と教えていただけた。
駐車場の脇の道を進むと使われていないようすのプールがあって、その向こうに右上(西)から左下(東)への斜面があった。手前の部分(北側)はススキが繁っていて、向こう側は棚田が並んでいる。その中を温泉街上部の不動滝へ通ずる車道が通っている。どのあたりまでがゲレンデだったのかははっきりしないが、この斜面だったことは間違いないだろう。ロープトウが架けられていたらしいが、スキー場の痕跡は何も残っていない。しかし、スキーをするのには程よい傾斜のように思えた。棚田の稲穂は収穫を前に首を垂れはじめていた。(現地訪問:2015年9月)
(左)下部から斜面を見上げる。(右)谷を挟んだ東側から見た斜面全体。
ちなみに私は、松之山温泉の泉質は新潟一…と
信じています。温泉街の鷹の湯も良いですが、ナステビューで半日ほげ~としますと、身心にたまった悪い澱がすべてどこかへ消え失せ、活力が湧いてきます。他の地方の皆さん、ぜひお越しください。冬が特に良いですよ!