(左)山麓部から見た獅子吼高原全体。(右)ゴンドラ乗場から山頂部を見上げる。
鶴来町は手取川扇状地の扇頂に位置し、白山麓への玄関口として加賀国一宮・白山比咩神社も立地する歴史ある土地。現在は白山市の一部となっている。そんな鶴来の町の裏にある獅子吼高原は、手取川扇状地を俯瞰できる景勝地である。後高(しりたか)山には古くからロープウェイ・ゴンドラが架けられ、観光地として、またスキー場として人気を集めてきた。近年は積雪が減少し営業ゲレンデも縮小されてきて、先行きを心配していた。その心配のとおり、本年11月になって獅子吼高原のホームページに今季の営業中止が発表された。
「『スカイ獅子吼冬季営業についてのお知らせ』諸般の事情により今年度のゲレンデ(スキー場)営業を中止させていただくこととなりました。ゲレンデ営業を楽しみにされている方々にはご迷惑をおかけしますが何卒ご理解いただきますようお願い致します。(後略)」なお、他の観光・スポーツの諸施設の営業は継続される。総合的なレジャー施設として運営されていて、スキー場はごくその一部という位置づけだったのだろう。山頂部からの展望を楽しむだけでも、価値のあるところだと思う。
(左)ゴンドラ乗場前の施設案内図。(右)ゴンドラ乗場入口にスキー場営業中止の案内。
「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」では、「スカイ獅子吼」を以下のように案内している。「獅子吼高原の通年型スキー・スノーボードゲレンデ。ゲレンデには人工スノーマット『リンクロン』を敷きつめてあり、冬は天然雪に変身。ソリ専用ゲレンデ、ナイター、レンタルあり。ベースの鶴来町は古い温泉町。リフト:ゴンドラ1基、ペア1基。スノーボード:全日・全コース滑走可能。レンタル、スクール、ハーフパイプあり。鉄道:北陸鉄道加賀一の宮駅(現在は廃止)から徒歩。車:北陸道金沢西ICから(中略)20km30分」。
直近まで冬季営業を続けていたのは山頂部(スカイ獅子吼)にあるゲレンデ。多くのゲレンデがあった時期には「南沢ゲレンデ」と呼ばれていたところ。獅子吼高原は、現在、山麓部の「パーク獅子吼」と山頂部の「スカイ獅子吼」に分かれている。山麓部にはバーベキュー広場や獅子頭・木彫・造り物の展示館などがある。ゲレンデの様子を知るため山頂部のスカイ獅子吼に行くには、ゴンドラに乗車しなければならない(登山道もある)。
12月初旬の晴天の一日、獅子吼高原を訪れる。駐車場脇のゴンドラ乗場への入口には「ゲレンデ営業中止」の案内掲示があった。往復1,100円のチケットを買い、ゴンドラに数分間乗車してスカイ獅子吼へ。手取川に沿う平野とその向こうに日本海までの素晴らしい展望が開ける。山頂部にはセンターハウス・カート・アスレチック・バンガロー・ソリゲレンデなどの諸設備がある。ゴンドラ山頂駅に隣接した場所から、パラグライダーが次々と飛び立っていった。
(左)ゴンドラで山頂部に上がると素晴らしい展望。パラグライダーの発進拠点にもなっている。(右)センターハウス前には、ペアリフトの降場。右手は人工芝のソリゲレンデ。
ゴンドラ山頂駅に連続するセンターハウスを出ると、目の前には直近まで営業していたゲレンデ(旧南沢ゲレンデ)のリフト降場。見おろすとリフト乗場、ゲレンデ最下部が見える。斜面中央に架かっているペアリフトはチェアもつけられたままの状態で、雪さえあればすぐにでも営業開始できそうだ。リフト両側にハーフパイプやさまざまなアイテムの痕跡が見られ、ボーダー中心だったことがうかがえる。隣接して人工芝のソリゲレンデも設けられていた。
ゲレンデは南斜面。パラグライダー発信地とは反対側で、日本海の眺望は得られない。かわりに遠く白山方面の山並を正面に見ながら滑ることができたはずだ。平均15度ほどで一定の緩斜面は基礎練習には最適だったと思われる。暖冬とはいえ周囲の山並みには雪の気配はなく、近年では積雪に難があったのだろうと思われた。(現地訪問:2015年12月)
(左)下部から見上げたゲレンデ。この上部にゴンドラ山頂駅とセンターハウスがある。(右)上部から見下ろしたゲレンデ。遠く前方は白山方面の山並み。
こちらもご覧ください → 「獅子吼高原スキー場[日本海コース]」
「獅子吼高原スキー場[北沢ゲレンデ]」