(左)案内板には大川寺遊園駅の表示。(右)常願寺川東岸から対岸の段丘が見える。
常願寺川に架かる立山橋の東側から対岸を見ると、富山地鉄の鉄橋越しに一段高い台地を見ることができる。この段丘上に、1996年まで大川寺遊園という遊園地があり、その一角にはスキー場もあったという。古刹の大川寺東側の一帯がその敷地だったようだ。現在の大川寺駅も遊園地があった頃は、大川寺公園駅(さらにそれ以前は上滝公園下駅)という名前だった。
大正年間からスキー場として整備され大会なども開催されたようだが、再整備されて1958年に大川寺公園として開園した。ジェットコースターなどさまざまな遊具があり、その一角にスキー場もあった。地形図で見るとさほどの斜度ではないと思えるが、ロープトウが設置されていたようだ。1996年に客足の減少などにより閉園となり、スキー場も同時に姿を消した。
(左)大川寺駅。(右)かつての遊園地への入口か。
大川寺駅の脇から段丘上へと登る道をたどり、途中、大川禅寺の案内板で左折して、かつての遊園地の入口と思われる場所に行ってみる。立入禁止と書かれたゲートがあり、その先に立ち入ることはできない。脇には入場料徴収のためのものだろうか、小屋がある。脇から見ると敷地内は平坦で、灌木が茂るがままになっているようだ。
段丘上部にまわってみる。スキー場の上部にあたるはずである。農道を歩いていくと左手の樹林の中に四阿が建っていた。この四阿あたりがスキー場の上部で、そこから南側へとゲレンデが下っていたと推測される。いまは、樹林が生い茂り、当時の様子を思い起こすことは難しかった。段丘の上からは立山連峰が眺望できたのではなかろうか。(現地訪問:2019年11月)
(左)ゲレンデ上部であったと思われる四阿。(右)雲に霞んでいる立山方面の展望。
こちらのゲレンデは初級者向けの丘と、その下の初心者向け緩斜面で構成されていて、ロープトウもそれぞれ1基づつ、計2基ありました。
通常のロープトウは金属製のワイヤーにハンドルを引っ掛けて登りますが、ここのロープは恐らく綱引き用の綱を使用し、それを両手で掴んで登るという変わりダネで、それこそ子供でも容易に使用できる形態でした。
冬期休業となる遊園地の冬場凌ぎくらいに思っていたのですが、スキー場の方が古く、しかも大正年間の開業と知り驚いています。
今や地元民ですら知る人が少なくなった懐かしい名前の登場に、ついコメントしてしまいました。
これからも、楽しく切なく遣る瀬ない追憶を期待しております(笑)
なお、蛇足ながら大山寺ではなく大川寺です(^^;