(左・右)メインゲレンデ(いずれも2013年1月訪問時)
このスキー場で滑ったのは過去2回。最初は「スポーツ振興石打」の名前だった1991年2月。スキー人口が多かった時代で、ここもそれなりに賑わっていたと記憶している。2回目は、グランビューと名前を変えた後の2013年1月。その頃には、もうずいぶんさびれていて「怖いもの見たさ」のような感じで訪問した。そのときから、もう10年も経過している。
2013年訪問時の記憶は鮮明。連絡リフト的な宮野下リフトの乗場の小屋でリフト券を買おうとしたら、窓口にいたのは赤ちゃんを寝かしつけている若いお母さん。渡されたリフト券は使い古したものの再利用。連絡リフトに乗って上ったところがメインゲレンデ。しかし、そこで稼働していたのは、第6・第3の古びたシングルリフト2本だけだった。
(左)連絡リフト乗り場。(右)手渡されたリフト券。(いずれも2013年1月)
メインゲレンデ沿いにロッジが点在していて、ヨーロピアンテイストのスキー場というのが最盛期にはウリだった。しかし、2013年に訪問したときには、そのロッジの多くは廃業し、壁が崩れたり窓が割れたりしていて、悲しい気持ちになった。ゲレンデ整備もいまひとつ。日曜日なのに、滑っていたのも数人に過ぎなかった。
グランビューというだけあってゲレンデからの展望は素晴らしかった。適度な中斜面で、整備が行き届いていれば、中級者以上には快適に滑れるゲレンデだと思った。しかし、状況を見ると、あとどのくらい維持できるのかと思わざるを得なかったが、その後意外と長く続いていた。しかし、どうやら2024シーズンの営業は休止となったようで、新潟県観光協会のサイト「にいがた観光ナビ」にその旨が掲示されている。
(左)第6リフト終点と上部の第3リフト。(2013年1月)
「スポーツ振興石打」の時代には、スキー場ガイドに以下のように掲載されていた。「夏越山山頂からは八海山・谷川岳・当間山を一望でき、眺望はバツグン。スキー場全体は山頂部が広大なビギナー向き、その下が林間の中・上級者向きという構成。(中略)ゲレンデ内に多くのロッジが点在し、宿泊にも休憩にも便利なホノボノムードの穴場的スキー場」(立風書房「オールスキー場ガイド2000」)
最盛期にはシングルリフト8基を備えていた。最長滑走距離3,000m、最大斜度32度。塩沢石打ICから3kmとアクセスは悪くない。石打大和~スポーツ振興石打~Mt.グランビューと名前を変えているが、施設などはほとんど刷新されることなく、いまだにシングルリフトだけしかない稀有なスキー場でもあった。
(左)連絡リフト乗り場。(右)乗場前の事務所らしき建物。
気の早いスキー場はもうオープンしはじめた11月の終わりに、あらためてグランビューを訪れた。10年前と印象は変わらない。駐車場などへの明確な案内板は少ない。やや廃墟化した木造の事務所らしい建物の前を過ぎると連絡リフトの乗場。搬器を外したシングルリフトが架かっている。まだ、積雪のない道を車で上がって、メインゲレンデの下に行ってみる。
(左)メインゲレンデ。左側にシングルリフト。(右)連絡リフト降場。
メインゲレンデ左手には搬器をはずしたシングルリフト。ゲレンデボトムにある、このゲレンデの中心的な存在のホテルなど、全体的に少し整備し直した雰囲気も感じられる。しかし、シーズンに向けて準備をしている雰囲気は見られず、圧雪車も所在なさげに見えた。見上げるゲレンデは、幅広で気持ちのよさそうな斜度。折しも雪が激しく降ってきたため、自慢のグランビューは楽しむことができなかった。(現地訪問:2013年11月)
(左)メインゲレンデ下のホテルなど。(右)メインゲレンデを見上げる。
SnowJapanHistoryのアンドリューです。
近くに住んでいるMt Granviewですけど、最盛期にはシングルリフト12基もあったそうです!それを知ってとても驚きました。
リフト券も最終年では乗り場も無人で上がったところにあるホテルでの販売になっていました。乗り場が無人って、保安が満たされていないのはどうなのかと思った覚えがあります。誰もいないところでボロボロの古いリフトが黙々と動いているのは人類が滅びた後に残された文明のようでシュールでした。
ここのウェブサイトもまだ残っていますが、元々がほとんど更新されていないところで、そもそも運営主体があまり動いていないところだったんでしょう。
シーズン券が1万円くらいで、これも湯沢の国道沿いにあって潰れたレストランに大きく広告が出ていましたが、はてさてどれくらいの人が買っていたんでしょうね。
ここ数年は湯沢もインバウンド増加もあって2月3連休があるとどこも相当な混雑で、そういう時はいいエスケープゲレンデだったので、ちょっと残念ですね。実際、整備をすればそうでなくてもそれなりに集客が見込めるレイアウトだったと思いますが。まぁ、ここに投資するところがあるかどうかはキビシイでしょうけれども。
いや、無責任な立場からするとちょっと惜しいところでしたね。しかし生き残っていたゲレンデのホテルはどうなるんでしょうねぇ。