2013年01月12日

六呂師高原スキー場(福井県大野市)

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(左)広い駐車場の向こうにゲレンデ。(右)ゲレンデ下部には、ペアリフト乗場のほか六呂師ハイランドホテル・うらら館の建物。

昨年末に六呂師高原スキー場の経営破綻が伝えられた。安全祈願祭も済ませ、スキー場オープン数日前になっての事業停止という例は他に聞いたことがない。年末年始には約100人のホテル宿泊予約があったがすべてキャンセルをしたという。2月には大野市民総合体育大会も予定されていた。

昨年12月26日の新聞報道によれば「福井県大野市南六呂師の六呂師高原スキー場や隣接する六呂師ハイランドホテルなどを運営する六呂師高原協業組合が事業を停止し25日、福井地裁に自己破産を申請したことが分かった」と報じられた。事業停止したのはスキー場、ホテル、隣接する温浴施設「うらら館」、ミニ動物園を持つ円山公園、六呂師高原サン・フィッシュランド。六呂師高原スキー場は1924年ごろ地元青年会が整備。3コース(最長滑走距離約1800メートル)を設置し、ファミリー向けゲレンデとして親しまれてきた。当初はスキー場のみを経営していたが、通年型リゾート施設を目指しホテルをオープンさせていた。

ピークにあたる1996シーズンには来場者数は約13万人に上っていたが、後発のスキー場との競争激化やリフト・ホテル設備の老朽化の影響などで、2007年以降の来場者数は年間2万人を割り込んでいた。「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には「六呂師ハイランドホテルをベースにしたリゾート型スキー場で、日曜日は早朝5時30分から、週末はナイター営業が24時まで延長される。日帰りスキーヤーにはスキー場内にトロン温泉『うらら館』の露天風呂がある」と紹介されている。この時代にはペア1基・シングル2基のリフト施設があった。

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(左)1基だけ稼働していたペアリフト。(右)ホテル前から見たリフト乗場。左奥には妻平ヒュッテ。

経営破綻が伝えられた直後の年末、現地を訪れてみた。大野と勝山の東側丘陵を走る県道26号からスキー場へのアクセス道に入る。広い駐車場を取り囲むように、ヒュッテ・ハイランドホテル・うらら館などの施設が配置されている。最後まで稼働していた1基のペアリフトはチェアもそのままに、すぐにでも動き出しそうだ。見上げるゲレンデは適度な斜度の広い1枚バーンで、快適な滑走が楽しめそうだ。良い意味でのローカルな雰囲気を残す一方で、リゾートホテルなどの新しい施設も混在している。ゲレンデの右手中腹にはハーフパイプが設置されていた。青少年自然の家や自然保護センターなどの立派な施設も隣接している。

スキー場だけでは厳しいとの判断から、リゾートホテルをつくり通年型リゾートを目指したのだというが、ファミリー主体の大規模とはいえないゲレンデの雰囲気にあった運営の仕方があったのではないかと邪推してしまう。広い駐車場には車の姿はなく、片隅に置かれた圧雪車が所在なさげに見えた。(現地訪問:2012年12月)

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(左)ゲレンデ中腹にはスノーボードパークがあった。(右)「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」を参考に作図。

【続報】
コメント欄に情報をお寄せいただいた通り、新聞報道によれば、限定的ではあるものの本年12月から再開される。現在すでにリフトは撤去されているが、「スキー体験施設」として緩斜面に簡易リフト(Tバー)2基も設置。ゲレンデに隣接していた温浴施設「うらら館」も営業再開する。また、グラススキーも可能とし、通年型スポーツ施設となる計画だ。再開されたら、ぜひ訪問してレポートしてみたい。(2016年10月)

【追記】
2022シーズンについては、2021年4月に営業休止が発表された。2023シーズン以降は未定。

こちらもご覧ください → 六呂師高原スキー場[その2」
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2012年03月21日

森山高原スキー場(福井県大野市)

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(左)遠景から見たスキー場全体。(右)ゲレンデ下からゆるやかな斜面を見上げる。

昔ながらの風情や町並を残し「小京都」と呼ばれるような町は、平野部から一歩内陸に分け入った小盆地に位置することが多いように思う。福井県大野市もそうした町のひとつ。大野城の城下町であり、北陸の小京都と呼ばれ、寺町通りや武家屋敷など歴史ある町並を残している。また、町内の至るところに名水が湧いていることでも知られている。

大野盆地を取り囲む山並には、スキージャム勝山・雁が原・六呂師・九頭竜などのスキー場が林立している。それらの中で、盆地の南端に位置していた森山高原スキー場はひときわ地味な存在だったと思う。現在までの調査では開設・営業休止の年月ははっきりしない。2000シーズンのスキー場ガイドには掲載があるから、営業休止は直近10年以内と思われる。

シングルリフト1基とポニーリフト1基、初級コース主体の緩斜面が1枚。「スキーヤー100%」という表示のあるガイドブックを見たことがあるから、スキーヤーオンリーをウリにした時期もあったのかもしれない。混雑とは無縁の初級者の練習用ゲレンデであったようだ。地元の学校の授業でも使用されていたらしい。

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(左)ゲレンデ下には除雪をしたと思われる重機。レストハウスの建物は健在。

大野市郊外の小集落の裏手のような場所。スキー場直下までの道は除雪され、その除雪をしたであろう重機が置き去りにされていた。ゲレンデ下のレストハウスの建物はそのままだったが、リフトはきれいに撤去されていた。見上げるゲレンデは緩やかで均一な斜面。ゲレンデ下部からは目の前の杉林が視界を閉ざしているが、上部からは大野盆地とそれを取り囲む山々の眺望が楽しめたことだろう。(現地訪問:2012年3月)
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2012年03月10日

勝原スキー場(その1)(福井県大野市)

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(左)国道158号沿いには登山者の車。左奥にロッジの建物があるが、進入路は除雪されていない。(右)ゲレンデ下にはトイレと登山案内。右手奥にもリフトと上級コースがあった。

深田久弥が著した日本百名山のひとつ、荒島岳。百名山に名を連ねる山々の中では幾分地味な感じがする。しかし、白山の他にもうひとつ故郷の石川県加賀市に近い山を入れたいという気持ちがあったのだろう。福井県唯一の百名山である。その荒島岳への登山ガイドは、必ずといってよいほどこの勝原スキー場のゲレンデを登ることから始まっている。

福井の平野をうるおす九頭竜川が、大野の盆地に流れ出す直前の谷間。その北斜面に位置していたのが勝原スキー場。1963年に開設。2009シーズンを最後に営業を休止し、2010年春には廃業となった。他のスキー場との競争やスキー人口の減少のほか、雪不足にも悩まされたようだ。ペアリフト2基を備えたファミリー向けの日帰りスキー場という位置づけだったのだろう。最盛期には金・土曜日にナイター営業もあった。

福井ICから35km、大野市街からは10kmほどなのでアクセスは楽だったはずだ。一方、JR越美北線勝原駅には「勝原スキー場徒歩10分」という掲示があるが、1日上下各5本しか列車がないローカル線ではスキーに出かけるのには使えなかっただろう。以前は越美南線(現・長良川鉄道)と結び、東海と北陸をつなぐはずだった路線だが。

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(左)ゲレンデ下から第1ペアと初級コースを見上げる。(右)ゲレンデ中腹から第1ペア乗場を見おろす。

快晴の3月の休日。勝原スキー場直下の国道158号沿いには10台以上の車がとめられていた。雪の荒島岳への登山者のものだろう。駐車場への侵入路は除雪されておらず、ツボ足で進んでみる。左手の一段上にはロッジの建物が廃墟のようになっている。ゲレンデ下にはスキー場の案内ではなく、荒島岳登山者への注意書きと登山地図、そしておもに登山者の使用を想定していると思われるトイレの建物。

右手には第1ペアの乗場と支柱が残り、なだらかな斜面が広がっている。ファミリーには最適なゲレンデだっただろう。さらに右手奥にはもう1本ペアリフトがあり30度の壁がある上級コースがあったはずだが、そちらは一足先に廃止されていたようだ。そうしているうちにもゲレンデ下から歩き始めた登山グループがあった。(現地訪問:2012年3月)

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(左)越美北線・勝原駅には勝原スキー場の案内が。

こちらもご覧ください → 勝原スキー場(その2)

[追記 2014年12月2日]
「荒島岳に登ったときにリフトの滑車跡らしきものを撮ってきました」とコメントをお寄せいただいた市橋さんから、その画像が届きましたので掲載いたします。

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ラベル:勝原スキー場
posted by 急行野沢 at 01:00| Comment(7) | TrackBack(0) | 福井県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする