2012年10月03日

表万座スノーパーク(その2)(群馬県嬬恋村)

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(左)広い駐車場の奥に各種施設。(右)レストランの建物。その左に更衣室、さらにペアリスト。

昨シーズンから営業を休止した表万座。前回のレポートでは、冬期でもあったので、万座ハイウェイからの入口付近に立っただけだった。残暑厳しい8月下旬の1日、万座ハイウェイからアクセス道を歩いてゲレンデ下まで行ってみようと思い立った。「表万座スノーパーク」の看板がいまも立ち、クサリで閉ざされているスキー場入口からアクセス道を歩く。その道は「嬬恋牧場本白根山歩道」という遊歩道にもなっていることを示す掲示が道の途中にあった。だらだらとした登り坂の車道を20~30分も歩くと広い駐車場の入口に到達する。その正面奥には、レストラン、更衣室、リフト券売場、スキースクールなどの建物が点在している。左手に第1ペアリフト、右手にはクワッドの乗場がある。駐車場右奥には圧雪車が留め置かれていた。

ちょっと奇異に感じたのは、レストランの入口がゲレンデ側だけに向いていて、駐車場側にはないこと。バブル期にできたスキー場には、立派なセンターハウスの中を通らないとゲレンデに出られないようなのものが多かったが、そんなつくりは好ましいものではないと思っていた。ここ表万座は駐車場からはレストランに直接入れず、左右のリフトにすぐ乗れるようなかたちになっている。何はともあれ、最初にスキーヤーを商業施設に導くような配置ではないことに、なんとなくほっとする。

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(左)椅子をはずされた第1ペアリフト。(右)クワッド乗場からゲレンデを見上げる。

左手の第1ペアリフト乗場は背の高い草に覆われ始めているが、椅子をはずされただけで整備次第ですぐに稼働できるように見える。レストラン右手にはクワッド乗場。建屋はシャッターを閉ざしているが、こちらも破損などしている様子はない。

レストランの脇を回りこんで、ゲレンデ側の入口から中をのぞき込んでみる。テーブルにはシートがかけられてしっかり管理されている。復活の日が来ることを信じているかのようだ。ゲレンデを少し歩いて登ってみる。クルマユリやヤナギランがゲレンデに咲き乱れている。見上げるとクワッドの終点が見える。休止されていても、すべての施設は再稼働が可能なように管理されているようすがわかった。遠くで雷鳴が聞こえた。最近の天候は急変しやすい。雷雨にならないうちにと、ゲレンデを後にした。(現地訪問:2012年8月)

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(左)クルマユリ咲くゲレンデ中腹から、最下部のレストランを見おろす。

こちらもご覧ください → 2012年2月19日 表万座スノーパーク(その1)(群馬県嬬恋村)

2012年06月17日

四万温泉スキー場(群馬県中之条町)

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(左)四万温泉の共同浴場「河原の湯」。(右)新湯の温泉街。スキー場への道は左。

群馬県には知名度の高い温泉が多いという印象がある。草津をはじめ、万座・水上・伊香保などは誰でも知っている温泉だろう。そんな中で四万温泉は、トップクラスの知名度があるとはいえないけれど、知る人ぞ知るといった温泉地ではないかと思っていた。

四半世紀ほど前、友人と二人で四万温泉を訪れ、ゆずりは荘(現在も存続)に宿泊した記憶がある。なぜ、こんな温泉地を訪れることになったのか、理由ははっきり記憶していないが、天邪鬼な我々であったからメジャーとはいえない温泉地を目指したことは間違いない。ひっそりとした温泉地であった記憶がある。今般、四万を久しぶりに訪れてみて、少々イメージを覆された。温泉口・山口・新湯・やずりは・日向見というエリアに分かれた大温泉地であり、レトロな雰囲気の家族経営のような宿から高級温泉旅館まで、宿の種類や数もかなり多い。

この四万温泉からほど近いところにスキー場があった。開設・休止年月についてはまだ調査がおよんでいない。廣嶋英雄「全国スキー場案内(スキー場とツアーコース)」(創元社・昭和35年12月)には「四万温泉の西方にある北面のスキー場で、標高700~800mの高原にあるため。雪質は良く、積雪量も多く、スロープも豊富にあります」と記載されている。実は現在、かつてのスキー場跡は野外スポーツ林となっているが、関東森林管理局「第2次国有林野施業実施計画」には、「四万温泉の西方1.5kmに位置し、標高約700~800mで高低差の少ない初心者向きのスキー場である。夏季にはテニスコート運動広場として温泉利用者、地域の小中学生に利用されている」との記載がある。

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(左)温泉街の案内板には「スキー場へ」の文字が残っていた。(右)四万野外スポーツ林の入口。

新緑の5月に久しぶりに四万温泉を訪れた。新湯温泉街にある案内板には「スキー場へ」という文字も残っていた。新湯の中央通りの始まるあたりから左に分岐する道をたどる。「小倉の滝」と同じ方向へと四万川支流の新湯川の上流に向かい、途中、国道353の新道と交差してさらに西へ進む。ほどなく左に「四万野外スポーツ林」の標識があり、グランド・テニスコートなどの施設が広がる。ここがスキー場の跡地のようだ。現在、グランドとして整地されているところも含め、その南側の北面斜面がゲレンデだったのではないだろうか。山腹には樹林が繁り、ゲレンデだった様子をうかがい知ることは難しい。周囲ではちょうど八重桜が満開だった。

少し温泉街に向けてもどったところで、一軒の家の前にいたお爺さんに聞いてみる。「スキー場がなくなったのはもうずいぶん前のこと。雪も少なくて、スキーをやりに来るという場所でもなかったし、それよりも今のような施設の方が良いということになったのでしょう。当時のことだから、リフトやロープトウもなかったようだ」という話だった。地元の人や温泉に来た人がスキーを楽しむという程度のゲレンデだったのではないだろうか。(現地訪問:2012年5月)

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(左) 八重桜咲くグランドからその先の斜面にかけてがゲレンデだったのではないだろうか。(右)野外スポーツ林は、テニスコートなどもある施設。右手山腹がスキー場だったと思われる。

2012年04月01日

浅間高原ファミリースキー場(群馬県長野原町)

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(左)浅間火山博物館への道。右手は火山博物館の建物。奥の駐車場の向こうにゲレンデ。(右)ゲレンデ下には無料休憩所。背後には浅間山が大きい。

中軽井沢のあたりでは日陰にわずかに残る程度だった雪も、国道146号を北に向かい浅間山の東麓を上っていくと道の両側に次第に高くなってきた。快晴の3月の休日。廃スキー場の探索に出かけたはずだったが、残雪に輝く浅間山の姿に見とれるばかりとなった。群馬県側から見た浅間山も、長野県側より少し締まった感じの姿が好きである。そんな浅間山の雄姿を常に背にしながら滑ることができたのが、浅間高原ファミリースキー場だった。

「'91skier日本のスキー場東日本編(山と渓谷社)」には「那須火山帯の最南端に位置する浅間山の中腹・北斜面に開かれたスキー場。1783年の大噴火の時に流れ出た溶岩の凝結地帯・鬼押出しで知られている」と記されている。「鬼押出し浅間園」の敷地内に付属するようなゲレンデだったようだ。ポニーリフト1基が備えられていて、最大斜度17度、最長滑走距離250m。データから見ても、小さな子どもとファミリーで楽しむのに適したスキー場だったのだろう。いままでの調査では開設・営業休止の年月はわかっていないが、現地で雪かきをしていた浅間園の従業員に聞いた話も総合すると、営業休止は10年ほど前ではないかと推測している。

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(左)園内にあった地図にはゲレンデの場所は「ピクニック広場」となっていたが、「スキー場」の文字を消した跡がはっきりわかる。(右)ゲレンデ下部にあったポニーリフト乗場の施設跡と小屋。

鬼押出しは馴染みの深い場所で、小学校時代に学校で出かけたり、その後も家族で出かけたり。浅間山はいまだ噴煙を上げ続けているが、自然災害が頻発している昨今では、鬼押出しも自然の脅威を知るための生きた教材になると思う。その鬼押出しには、西武系・嬬恋村の運営する「鬼押出し園」と長野原町による「鬼押出し浅間園(浅間火山博物館などを併設)」の2つの施設がある。ゲレンデ所在地は地図上では嬬恋村と思えるが、「鬼押出し浅間園」の敷地内にあるので長野原町になるようだ。

峰の茶屋から鬼押ハイウェーを走れば、鬼押出し園の直前に左折・浅間火山博物館の案内板。それに従えば自然と火山博物館の駐車場に導かれる。右手に博物館のいくつかの建物があり、その向こうに鬼押出しの溶岩などを見るための遊歩道があるはずだが、3月末までは冬期休館中。各施設はまだ雪に覆われている。駐車場の奥には無料休憩所があり、その向こうに緩やかな斜面が広がっている。ゲレンデ下右手にはポニーリフトの施設跡、そして監視小屋も残されている。背後には白銀に輝く浅間山が大きい。振り返れば、草津・白根の山々。この風景の中に身を置くだけでも、雄大な自然を満喫できる場所だと思う。(現地訪問:2012年3月)

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(左)ゲレンデ下から見上げる。(右)ゲレンデ中腹から見おろすと、正面に草津白根山をはじめとする山々の眺望が広がる。
ラベル:浅間高原

2012年02月19日

表万座スノーパーク(群馬県嬬恋村)

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(左)万座ハイウェー沿いには案内看板が残る。(右)クワット終点を遠望。

万座の手前にあった西武系の表万座スキー場(表万座スノーパーク)が今シーズンの営業を休止している。ホームページにも「表万座スノーパークにつきましては、2012シーズン(2011年12月~2012年3月)から一時営業休止をさせて頂きたく……」と掲載されている。「環境が好転次第営業再開すべく、メンテナンス等を維持し準備を続けてまいりたく存じます」と記されているが、環境(経済情勢やスキーをめぐる状況)がすぐに好転することは考えにくく、このまま閉鎖となる可能性も高いのではないかと考えられる。

標高2,130mのゲレンデトップから約3kmの滑走を楽しむことができた。針葉樹林に囲まれたムーディな林間コースを備える一方、周囲に遮るものがないので浅間山をはじめとする眺望にもすぐれたスキー場だった。女性の人気も高かったのではないかと思う。私は何回も滑った記憶があったが、調べてみると1989年、1999年の2回訪れただけだった。バブル直前の1984年開業。最大斜度は29度。リフトがどれも長く、風の強い場所でもあるので、とにかく寒かったことが記憶に残っている。メインゲレンデは第3ロマンス沿いのパノラマゲレンデだが、冷たい風が吹きつけてアイスバーンになることも多かった。人工降雪機も備えていた。

駐車場のキャパに限界があった万座のエスケープゲレンデの位置づけでもあった。レストラン(西武系なので当然、アリエスカ)・売店・化粧室などの施設はゲレンデ最下部にしかなく、当初は朝や昼食後の時間には一番下の第1ロマンスが大混雑となっていた。当時のことなので、リフト待ち20分などというのはあたりまえのことだった。その後、平行してクワッドが架けられた。また、万座ハイウェーの通行料もデメリットとなっていた。リフト券を購入すると帰路は無料となったが、負担感があったと思う。

営業休止のニュースを聞いて、万座ハイウェーを通って表万座の入口まで行ってみた。「表万座スノーパーク」の看板は健在だが、アクセス道路への入口には鎖があり除雪もされていない。ツボ足で少し歩き始めてみたが、吹き溜まりとなった雪道をゲレンデ下まで進むには、冬山の装備が必要と思われた。遠くクワッドの降場付近を見ることができたが、リフト施設はそのまま維持されているようであった。雪解けの季節を待って、再訪したいと思う。(現地訪問:2012年1月)

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こちらもご覧ください → 2012年10月3日 表万座スノーパーク(その2)(群馬県嬬恋村)
ラベル:表万座

2012年01月27日

万座温泉スキー場・朝日山ゲレンデ(群馬県嬬恋村)

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(左)第2高速リフトから見た朝日山ゲレンデ全景。

万座は好きなスキー場のひとつ。私などのレベルにとっては、ちょうどよい中斜面が揃っているからだと思う。温泉の歴史は古代からという説もありはっきりしないらしいが、それほど歴史ある温泉地でもあり、そのせいか西武系でありながらあまり西武カラーを強くは感じない。そういえばバブル期を象徴する「私をスキーに連れてって」もこの万座が舞台のひとつになっていた。

その万座温泉スキー場の朝日山ゲレンデが今シーズンから営業休止となっている。同スキー場のゲレンデ案内にも「今シーズンより朝日山エリアの営業を休止します」と明記されている。復活しない可能性が大きいこともうかがわせる。

朝日山ゲレンデは、メインのプリンスゲレンデや万座山ゲレンデから谷をひとつ隔てた東側に位置している。万座山方面から熊四郎コースという連絡コースがあったが、幅が狭く「ビギナーはシャトルバスで移動を」とスキー場ガイドにも書かれていた。万座に来ても多くの人は朝日山ゲレンデには足を向けなかったのではないだろうか。ペアリフトが2基架かり、最大斜度27度。中上級者のトレーニングには適度な斜面だったと思う。

万座には何回も滑りに来ているが、1988年に朝日山ゲレンデ直下の温泉旅館に宿泊した時のことが印象深い。職場の仲間で、目の前のゲレンデで2日間楽しく滑ることができた。ときにプリンス側に遠征したりもしたが、そのときは滑り応えはプリンス側よりも朝日山ゲレンデの方があると感じた。そして、滑った後の白濁の温泉はなんともいえず、からだの芯まで溶けてしまいそうだった。

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(左)プリンスホテル脇から見た朝日山ゲレンデ。(右)朝日山第2ロマンスリフト乗場と朝日山ゲレンデ。

年始の休暇を利用し、万座ハイウェーのスノードライブを楽しみながら万座温泉スキー場に出かけた。滑りを楽しんだ後、朝日山ゲレンデをのぞいてみた。リフト周辺も除雪され、リフト施設はそのまま残されていた。斜面には土や草が出ているところがあり、整備されていないこともあろうが、風で雪がつきにくい斜面だったのかもしれない。プリンスゲレンデがそれなりの賑わいをみせていたので、いっそう寂しさを感じた。(現地訪問:2012年1月)

こちらもご覧ください → 「万座温泉スキー場・朝日山ゲレンデ[その2]」
ラベル:万座温泉