
(左)三峰山(聖高原スキー場最上部)から見た1308mピーク。山腹にゲレンデの跡がなんとなくわかる(撮影:2010年5月)。(右)すずらん湖畔。スキー場跡地は前方の山林の中。
聖高原すずらん湖近くにあった聖高原第2スキー場については、本ブログで7年ほど前に取り上げた。しかし、いま見るとずんぶん雑なレポートの仕方であり、もう一度やり直さなければと考えていた。
当時の資料もみつけた。「信州聖高原 麻績ガイド(昭和50年9月)」に聖高原第2スキー場(すずらんゲレンデ)の案内が掲載されていた。同誌の記載によれば「バスで聖高原からさらに15分。国民宿舎ホテルシャングリラで下車すると、ホテルの西側下にあるすずらん湖のすぐ上からすずらん第2ゲレンデが始まっている。ここには上方に550mの第2リフトが、下方には270mの第3リフトがかかっており、第3リフトから第2リフトへ乗り継げるようになっている。」なお、第1リフトは現在も営業を続ける聖高原(第1)スキー場にあるため、こちらを第2・第3としたのであろう。
「第2リフト付近はかなりの急傾斜で上級者向きのコースである。直滑降1,300mを一気に滑り下りる味が素晴らしい。リフト料金1回90円、往復160円。第3リフト付近は初級・中級向きのB・Cコースでゲレンデの長さは500m。すずらん第2ゲレンデまではバスが来ているが本数が少ない(スキーシーズン中でも日に3本)ので、ここまで足を延ばそうと考えている人は気をつけたい。」

(左)緩斜面の最下部。第3リフト乗場があったと思われる。(右)第3リフト中間部付近から下部を見る。季節には水芭蕉が咲く。
下部の第3リフト沿いの緩斜面と上部の第2リフト沿いの急斜面で構成されていた。いまではバスが通うような場所とは思えないが、かつては日に3本とはいえバスが運行されていたことがかえって驚きでもある。当時は国民宿舎もすずらん湖畔にあり、聖高原観光のひとつの核ともいえる場所だったのだろう。1968年営業開始、少なくとも1993シーズンには営業を中止していた。
あらためて現地を訪問する。聖湖から旧大岡村(聖山パノラマホテル)方面に進み、すずらん湖畔へと左折する。左折する箇所にある広場は、かつてのホテル跡ではないかと推測される。すずらん湖畔を左側から半周した対岸には水芭蕉園の案内看板があり、そこが第3リフト最下部と思われるがリフト乗場などの痕跡は残っていない。第3リフトがあった緩斜面が水芭蕉園となっているのは前回レポートの通り。周囲には数日前に降ったと思われる雪が20cmほど積もっている。整備された遊歩道も雪に埋もれている。見上げる森林の中には別荘らしき建物が点在しているが、季節も季節なので人影はない。

(左)第3リフト終点および第2リフト起点と思われるあたり。前方の1308m峰に向けて第2リフトが架けられていた。(右)第2リフト終点。1308m峰のピーク直下。
水芭蕉園の遊歩道最上部は、右から迂回してくる林道終点部の広場にもなっている。そのあたりが第3リフトの終点および第2リフト起点だったと思われるが、そこにもリフトの痕跡はない。正面の1308m峰に向けて第2リフトが架けられていたのだろう。前方斜面も草木に埋もれ、ゲレンデの雰囲気もあまりよくわからない。
ゲレンデ上部の様子も知りたくて、三和峠に車を置いて聖山へと続く登山道を歩き1308m峰まで登る。意外と急峻な勾配で、積雪もあるので手こずらされる。ピーク直下のヤブの中に少々の平地があり、そこにリフト降場があったようだ。見おろす斜面は樹林に埋もれ、ゲレンデだった様子は消え去っている。前方には、いまも営業を続ける聖高原スキー場のある三峰山、さらにずっと向こうには菅平方面の山並が広がるはずだ。いまは木の間越しではあるが、この展望がゲレンデから眺められたらなかなかのものだと思う。(現地訪問:2016年3月)

(左)第2リフト終点付近からの展望。前方に三峰山方面が見渡せる。
こちらもご覧ください→「
聖高原第2スキー場(その1)(2009年4月26日)」