2016年08月25日

大平スキー場(その2)(中野市/旧豊田村)

上信越道・豊田飯山IC近くにあった大平スキー場。本ブログでは7年ほど前に取り上げた。その後、近くを車で通ることはよくあるものの、立ち寄ることがなかった。

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(左)コンクリート部分だけが残されたリフトの痕跡。(右)リフト下からゲレンデがあった斜面を見上げる。

先日、通りすがりに立ち寄ってみると、リフトの痕跡がコンクリート部分だけになっていて驚いた。以前は機器類やワイヤーなども残っていたけれど、それらは撤去されたようだ。いつかヤブ漕ぎをして上部の様子も知りたいと思っていたが、草木の生い茂るこの季節にはそれも難しかった。

前回も触れた伯父の遺品の中から、豊田村にあった大平・涌井両スキー場の案内書を発見した。「今冬開設される…」と記載されているから、開設年の1968年につくられたものと思われる。

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(大平スキー場・涌井スキー場の案内書から)

案内書によれば、大平スキー場へは飯山線+バスにより長野駅から40分でアクセスできる。とすれば長野駅から最も近いスキー場ということになる。積雪さえ確保できれば、長期にわたり長野市街に近い便利なスキー場となっていただろう。

なお、案内書には同村内にあった涌井スキー場についても掲載されている。涌井スキー場にはトロイカ1基があったが、「未開のスキー場です」と書かれているのが面白い。こちらの方が大平スキー場よりも先に閉鎖されることとなった。

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(大平スキー場・涌井スキー場の案内書から)

立派な案内書もつくられていて、豊田村としては観光集客の目玉として力を入れていた様子がうかがえる。農林業以外にはさしたる産業もなかったと思われる地域にとっては、スキー客による冬期の収入は非常に大きなものだったと思われる。(現地訪問:2016年7月)

こちらもご覧ください→「大平スキー場(その1)」

2016年03月17日

聖高原第2スキー場(その2)(麻績村)

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(左)三峰山(聖高原スキー場最上部)から見た1308mピーク。山腹にゲレンデの跡がなんとなくわかる(撮影:2010年5月)。(右)すずらん湖畔。スキー場跡地は前方の山林の中。

聖高原すずらん湖近くにあった聖高原第2スキー場については、本ブログで7年ほど前に取り上げた。しかし、いま見るとずんぶん雑なレポートの仕方であり、もう一度やり直さなければと考えていた。

当時の資料もみつけた。「信州聖高原 麻績ガイド(昭和50年9月)」に聖高原第2スキー場(すずらんゲレンデ)の案内が掲載されていた。同誌の記載によれば「バスで聖高原からさらに15分。国民宿舎ホテルシャングリラで下車すると、ホテルの西側下にあるすずらん湖のすぐ上からすずらん第2ゲレンデが始まっている。ここには上方に550mの第2リフトが、下方には270mの第3リフトがかかっており、第3リフトから第2リフトへ乗り継げるようになっている。」なお、第1リフトは現在も営業を続ける聖高原(第1)スキー場にあるため、こちらを第2・第3としたのであろう。

「第2リフト付近はかなりの急傾斜で上級者向きのコースである。直滑降1,300mを一気に滑り下りる味が素晴らしい。リフト料金1回90円、往復160円。第3リフト付近は初級・中級向きのB・Cコースでゲレンデの長さは500m。すずらん第2ゲレンデまではバスが来ているが本数が少ない(スキーシーズン中でも日に3本)ので、ここまで足を延ばそうと考えている人は気をつけたい。」

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(左)緩斜面の最下部。第3リフト乗場があったと思われる。(右)第3リフト中間部付近から下部を見る。季節には水芭蕉が咲く。

下部の第3リフト沿いの緩斜面と上部の第2リフト沿いの急斜面で構成されていた。いまではバスが通うような場所とは思えないが、かつては日に3本とはいえバスが運行されていたことがかえって驚きでもある。当時は国民宿舎もすずらん湖畔にあり、聖高原観光のひとつの核ともいえる場所だったのだろう。1968年営業開始、少なくとも1993シーズンには営業を中止していた。

あらためて現地を訪問する。聖湖から旧大岡村(聖山パノラマホテル)方面に進み、すずらん湖畔へと左折する。左折する箇所にある広場は、かつてのホテル跡ではないかと推測される。すずらん湖畔を左側から半周した対岸には水芭蕉園の案内看板があり、そこが第3リフト最下部と思われるがリフト乗場などの痕跡は残っていない。第3リフトがあった緩斜面が水芭蕉園となっているのは前回レポートの通り。周囲には数日前に降ったと思われる雪が20cmほど積もっている。整備された遊歩道も雪に埋もれている。見上げる森林の中には別荘らしき建物が点在しているが、季節も季節なので人影はない。

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(左)第3リフト終点および第2リフト起点と思われるあたり。前方の1308m峰に向けて第2リフトが架けられていた。(右)第2リフト終点。1308m峰のピーク直下。

水芭蕉園の遊歩道最上部は、右から迂回してくる林道終点部の広場にもなっている。そのあたりが第3リフトの終点および第2リフト起点だったと思われるが、そこにもリフトの痕跡はない。正面の1308m峰に向けて第2リフトが架けられていたのだろう。前方斜面も草木に埋もれ、ゲレンデの雰囲気もあまりよくわからない。

ゲレンデ上部の様子も知りたくて、三和峠に車を置いて聖山へと続く登山道を歩き1308m峰まで登る。意外と急峻な勾配で、積雪もあるので手こずらされる。ピーク直下のヤブの中に少々の平地があり、そこにリフト降場があったようだ。見おろす斜面は樹林に埋もれ、ゲレンデだった様子は消え去っている。前方には、いまも営業を続ける聖高原スキー場のある三峰山、さらにずっと向こうには菅平方面の山並が広がるはずだ。いまは木の間越しではあるが、この展望がゲレンデから眺められたらなかなかのものだと思う。(現地訪問:2016年3月)

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(左)第2リフト終点付近からの展望。前方に三峰山方面が見渡せる。

こちらもご覧ください→「聖高原第2スキー場(その1)(2009年4月26日)」

2016年02月11日

北竜温泉ファミリースキー場 第2ゲレンデ(飯山市)

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(左)2003年版パンフレットより。(右)遠景から見た第2ゲレンデ全景。

北竜湖スキー場(北竜温泉ファミリースキー場)の第2ゲレンデが営業を取りやめている。5年ほど前、小菅山に登山した帰路に北竜湖畔を通りがかった時にはリフトが健在だったのだが、ここ数年の中で休止状態になったらしい。(休止は今シーズンからとのこと……コメント欄ご参照ください。)

スキー場は、ベースとなる文化北竜館に隣接する第2ゲレンデと、少し離れた第1ゲレンデから構成されていた。以前からもっぱらメインだったのは第1ゲレンデ。ペアリフト沿いに上級コースがあり、迂回するような中級コース・初級コースがある。これに対して、第2ゲレンデはシングルリフト沿いに初中級コースがある一枚バーンだった。滑走距離630m、最大斜度20度、最小斜度10度。こちらの方がロケーション的には有利なような気がしていたが。

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(左)第2ゲレンデ下部。前方の林の向こうがゲレンデ最下部。(右)ゲレンデ上部から見下ろす。

近辺のスキー場で滑った帰り道に立ち寄ってみた。下部のゲレンデ入口には「第2ゲレンデ」と書かれた案内板がいまも立てられていた。しかし、アクセス路は除雪されていないので、ゲレンデ直下まで近づくことはできず、木の間越しにゲレンデを見上げることしかできなかった。

次に南側から迂回して、車で文化北竜館まで行ってみる。その本館の南側には第2リフトの降場があったはずだが見あたらない。どうやら撤去されたようだ。ゲレンデを見下ろすと、リフトの鉄塔が点々と残されているが、ワイヤーとチェアも取り外されている。もう何年も前から営業を取りやめているようにさえ感じられるようすだ。

野沢温泉という全国区のビッグゲレンデが間近にあるけれど、ファミリーや講習会にはこのようなこじんまりとしたゲレンデが適していると思う。「SKI GUIDE'86(山と溪谷社)」では「標高が低いので気象の激変もなく、野沢温泉スキー場が近くにあるせいか混雑もなく、気楽に気安く滑れる穴場」と紹介されている。(現地訪問:2016年2月)

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(左)スキー場のベースとなる文化北竜館。北竜湖畔にあり宿泊・温泉入浴ができる。(右)営業を続けている第1ゲレンデ。

2014年03月21日

軽井沢スケートリンク・スノーボードパーク(軽井沢町)

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(左)千ヶ滝温泉の駐車場から。右手にスケート場のさまざまな施設があり、その先にボードパークなどがあった。(右)東側から見る。手前は建物の屋根。その向こう左手に白樺コース、右手奥にから松コース。

数年前に軽井沢スケートリンクが廃止となった。そのスケートリンクに併設というかたちで、スノーボード・ゲレンデと雪遊び広場があった。

軽井沢スケートリンク(室内リンク)は1956年に開業。西武の軽井沢開発における中心的なポジションを占めていて、その後、屋外の400mリンクや千ヶ滝温泉、ホテル、テニスクラブなどを次々と開業させていった。軽井沢でスケートをするというのが一種のステータスとなった時代であり、これをきっかけに西武は全国的にスキー場やゴルフ場を次々と開発していった。このスケートセンターが西武グループによるレジャー産業のベースであったといってもよい。しかし1997年11月に屋外の400mリンクは廃止され、その跡地にスノーボードパークと雪遊び広場が開設された。2009年3月には、このボードパーク・雪遊び広場も含めスケート場全体が廃止となっている。

なぜボードパークを開設したのかは知らないが、スノボ人口の増加に目をつけたのかもしれない。過去の記録を調べてみると、スケートリンクなど諸設備の北側に雪遊び広場があり、そこから左手(西側)に「白樺コース」、右手(東側)に「から松コース」があった。両コースにはスノーエスカレータが設置されていた。「白樺コース」は90m×40mでスノーボード・ショートスキー専用。「無理なくスノーボードデビュー!」といううたい文句。「から松コース」は120m×50mでスノーチュービング・ソリ専用。土休日の入場料金はおとな1,500円、こども1,000円であった。

現在、営業を続けているのは日帰り温泉施設としての千ヶ滝温泉だけである。全国的な大雪が降った翌週、千ヶ滝温泉を目指す。ふだんあまり積雪が多くない軽井沢にも大雪が降り積もり、車の行き違いに苦労する箇所もまだのこっていた。長野方面からは中軽井沢駅前を左折して、星野リゾートを過ぎたあたりを左折する。その先、千ヶ滝温泉の駐車場には、まだ午後早い時間帯のせいか数台の車がとまっているだけだった。

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(左)から松コース側から見る。途中、右手にある斜面が白樺コース。

スケートセンターの施設があった敷地には厳重に「立入禁止」の標識が立っていて、何よりまだ雪が深くて立ち入ることができない状況だ。東側や北側の道沿いから、かつてのボードパークの様子をうかがい知ることしかできない。しかし、建物越しや木の間越しに見ると、雪をまとった白樺コースやから松コースのようすを見ることができた。距離や斜度はわずかなものではあるけれど、スノーボードデビューには十分だったのだろうか。見上げると雪をまとった浅間山が美しい姿をみせていた。(現地訪問:2014年2月)

2012年11月29日

赤城山第3スキー場(群馬県前橋市)

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(左)ビジターセンターにあった地図にも第1~3スキー場が明記されていた。(右)下部のビジターセンター駐車場から見上げた第3スキー場。

もうずいぶん前にオープンしたスキー場もある季節。いまさらながら、ゲレンデで滑ることより、廃スキー場の記録にいそしんでいるのもいかがかと疑問も感じる。

深田久弥の『日本百名山』(1964年)には「赤城ほど人に親しまれてきた山も少ない。と言っても、宗教とか信仰とかの古くさい日本的な山ではなく、高原と湖と牧場の洋画的風景が近代人の嗜好に応じたのであろう」と記されている。赤城山の山上一帯の景観を支配しているのは大沼(おの)のように見えるし最高峰は黒檜山だけれど、印象強いのは覚満淵の風景ではないかと思う。

その覚満淵は赤城公園ビジターセンターの広い駐車場に車を置けば、30分ほどで一周することができ、湿原の植物が出迎えてくれる。残念ながらこの季節は、ノアザミやマツムシソウなども色合いを失った頃。ノコンギクが秋の訪れを告げているようだった。そのビジターセンターの駐車場から南西方向に登っている斜面に赤城山第3スキー場がある。見上げる斜面は上部にいくにしたがって斜度がきつくなっているが、ファミリーには楽しめるゲレンデに見える。

かつてはTバーリフトを備えていた。現在は撤去されていてその痕跡は見出せなかったけれど、斜面の右側にあったのではないかと思う。Tバーリフトの乗場があったと思われるあたりには小屋があって、中にはスキー用具が保管されているのが見えた。ゲレンデやや左寄りに木立があって、その左側にもゲレンデがあり、そちら側にもロープトゥが設置されていた時期もあったようだ。ビジターセンターの窓口で聞いてみると「Tバーリフトは撤去しましたけれど、小さいお子さんたちがソリ遊びに来られます」とのことだった。実は今シーズンのゲレンデガイドにも、この赤城山第3スキー場が掲載されているものがあって(もちろんリフトなどの施設はないとした上での記載だが)、このプログに掲載するのは少々ためらわれた。

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(左)第3スキー場のゲレンデ中腹から下部を見おろす。(右)ゲレンデ右下にあった小屋にはスキーの道具などがあった。

「日本のスキー場・東日本編('91)」(山と渓谷社)によれば「地蔵岳の斜面と沼平の麓にある3つのゲレンデのひとつ。平均10度のスロープは初級。初心者向き。近くのキャンプ場やフィールドアスレチックがあり、楽しみ方いろいろ。最大斜度25度。最長滑走距離300m」と紹介されている。かつてはスキーリゾートとして開発された時期もあった赤城山周辺。スキー人口の減少やレジャーの多様化などによって、スキーリゾートに人々が訪れる時代は終わった。この地も、子どもたちのための、身の丈にあった場所に戻ろうとしているように感じた。(現地訪問:2012年9月)