2024年03月06日

赤沢スキー場(群馬県みなかみ町)

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(左)第1リフト下。雪不足のため、雪を運んでいた。(右)そり広場とロッジ。

今シーズン限りで廃止されることが決まっているみなかみ町営赤沢スキー場。すでに同スキー場のホームページには、廃止を惜しむ声が数多く書き込まれていて、いまさらこのブログで取り上げるのもはばかられるほど。かつて(みなかみ町合併前)は「新治村営赤沢スキー場」を名乗っていた。

一度だけ、2001年1月に滑りに来たことがある。マイナーなローカルゲレンデに出かけてみようかという魂胆だったと思う。静かなスキー場だったというぼんやりした記憶しかないけれど、20本以上滑ったと記録にあるから、それなりの滑りごたえは感じたのだと思う。帰路には国道17号沿いの温泉施設「テルメ国境」に立ち寄ったが、こちらもずいぶん前に閉館となっている。

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(左)ロープトウのあるゲレンデ。(右)ロープトウのゲレンデ上部から。

スキー場ガイドブックには以下のように紹介されている。「新潟県との県境三国峠の手前に位置する。シングル2基に、初級者向きから最大33度の上級者向き斜面までの4コースを備える。近くに法師温泉や猿ヶ京温泉などがあり、落ち着いた静かな景観」。シングルリフト2基の他にポーラーリフト(ロープトウ)1基。(「オールスキー場完全ガイド2000」立風書房)

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(左)第1リフト。(右)第2リフト乗場と上級コース。

最後の営業シーズンに一度足を運ばなければと思っていたが、2月中旬から雪不足のために休業となってしまった。3月初旬に営業再開となったのであわてて出かけた。稼働しているのはロープトウと第1リフトだけで、第2リフトは動いていない。しかし、いつまた休業になるかわからないので贅沢はいっていられない。

国道17号から左折して法師温泉に向かう。途中、「赤沢スキー場 営業中」の看板があり安心する。ゲレンデ下の駐車場には20数台の車があってそれなりの人が訪れているようだ。駐車場から見上げると、左に第1・第2リフト沿いのゲレンデ、その右に食堂や券売所などか入ったロッジとそり広場、さらにその右にロープトウがあるゲレンデ。ロープトウを使うときは、久しぶりなので少々緊張した。

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(左)第1リフト上部から。(右)第2リフト乗場。

ロープ沿いと第1リフト沿いの斜面を数本滑ったが、ちょっと距離が短すぎる。やはり第2リフトにも乗りたかった。第1リフトで滑っているのは5人ほど。その他50人ほどは家族連れで、ロープトウでのスキーの基礎練習やそり遊びに興じていた。小さな子ども連れのためのゲレンデという側面が大きい。ソリ広場の脇にカマクラもつくられていたけれど、それもローカルゲレンデならでは。

こんな静かなローカルゲレンデは好ましく感じられるが、営業的には成立しないのだろう。場内の各所に「44年間のご利用、ありがとうございました」と掲示されていた。44年という歴史は老舗スキー場などに比べるとさほど長くはないと感じられるが、地域産業振興に寄与するために開発され地域に根ざしたスキー場であった。多くの人々の記憶に残り続けるのだと思う。(現地訪問:2024年3月)

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(左)食堂内。(右)パンフレットのゲレンデマップ。

*3月10日(日)が最終営業日となり、44年の歴史に幕を下ろした。
 なお、3月9日・10日は雪も降り、第2リフトも稼働したとのこと。

2019年05月18日

鹿野沢スキー場(群馬県みなかみ町)

水上駅のごく近くにあったのが鹿野沢スキー場。「ゲレンデとツアーコース(1961年1月・朋文堂)」には、「初級者向き、水上駅より1km15分。水上駅からは最も近いゲレンデである。緩斜面で入門初級者のゲレンデである」と案内されていた。駅から近いゲレンデとして、自動車による交通網がいまほど発達していなかった時代にはかなりの集客があったようだ。

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(左)ゲレンデ下の道脇にある建物は、レストハウスだったのだろうか。(右)ゲレンデを見上げる。

おそらくはしばらく前までは、ロープトウくらいは稼働していたのではないだろうか。しかし、近年はそれもなく、たまに子ども連れがソリ遊びをするくらいのことはあるらしいが、スキー場としての使命は果たしていないようす。そこで、本稿に取り上げてもいいのではないかと思った。

3月初旬、現地を訪れてみる。宝台樹や奥利根に向かう国道291号とは、利根川を挟んだ対岸。水上駅から北東へ、上越線の踏切を越えて進んだ先にある。利根川に鉄道や国道が寄り添う、隘路のような地形である。北側に広がる緩やかな斜面に雪はまだ残っているものの、スキーやソリで滑った跡もなく、ゲレンデの役割は終えたものと感じられた。周囲を通る人の姿もない。

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(左)ゲレンデをやや横から見る。前方の樹林帯の手前にロープトウがあったようだ。左上部に小屋がある。

ゲレンデトップに向かって右手には、ロープトウのための小屋など残り、その痕跡が見て取れた。ごく小規模な緩斜面であり、滑走距離も短かっただろう。ゲレンデ下を通る道路に面して、レストハウスやロッジだったと思われる建物が2軒。それらしき風情を残していた。(現地訪問:2019年3月)

2019年04月05日

大穴スキー場(群馬県みなかみ町)

大穴スキー場では1996年1月に1回だけ滑ったことがある。近隣のスキー場に出かけた帰路に「ちょっと面白そうだから何本か滑ってみようか」という感じだった。ゲレンデの状態があまりよくなかったせいか、滑りごたえはいまひとつだった記憶がある。急斜面と緩斜面の差が激しいのは、ローカルゲレンデでよく経験すること。古い歴史を誇るスキー場であったが、その歴史に幕を閉じることになった。

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(左)ゲレンデ下。(右)中央ゲレンデとその右に第2リフト。

昨年12月には「みなかみの大穴スキー場 老朽化や集客減で営業今季限りに」と新聞報道があった(上毛新聞)。「施設の老朽化や入り込み客数の減少が主な原因。昭和初期に開設された、群馬県内でも草分け的存在のスキー場閉鎖に、地元住民や観光関係者から惜しむ声が上がっている」と書かれていた。なお、営業終了後は太陽光パネルの設置が検討されているようだ。

1931(昭和6)年の開設。首都圏からも近く、各種大会の会場にもなった。最盛期には年間5万人ほどの利用者があったという。リフト2本だけであったが、小規模ながらも老舗スキー場というポジションだったと思う。周囲のスキー場にくらべ.ると、ファミリー向けの小規模ゲレンデという位置づけになっていたと感じる。

3月初旬、営業期間も残りわずかになった週末に現地を訪問。3月は週末のみ営業。駐車場へのアクセスが細道でわかりにくい。今年は雪が少なく、すでに土が出ている箇所もあり、コンディションは良いとはいえない。しかし、家族連れを中心として意外に多くの人が訪れていた。といっても、滑っている人数を数えられるくらいなのだが。

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(左)第3ペアリフト。

ゲレンデ下で地元の人らしい小父さんに「今年で終わりだそうですね」と声をかけると「寂しくなるけど、仕方ないねえ」という答えが返ってきた。3月21日まで営業の予定であったが、雪が少なく、結局3月10日で営業終了。Twitterでも「今シーズンを最後に大穴スキー場は閉鎖となります。いままでご来場頂きました全てのお客様に、心より御礼申し上げます」と告げられている。

「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には以下のように紹介されていた。「水上温泉から15分の距離にあり、古くから開けた老舗スキー場。オールドファンも多い。湯檜曽温泉も近い。最大斜度37度の上級者向け北原ゲレンデと中級者向けの中央ゲレンデ。子ども用広場があり、ファミリーに最適。コースは3本」(現地訪問:2019年3月)

2018年11月04日

高原千葉村スキー場(群馬県みなかみ町)

群馬県みなかみ町にある高原千葉村は千葉市が運営する保養施設。1973年にオープン、41haの敷地を持っている。猿ヶ京温泉に近く、自然豊かなところである。市民ロッジ・青少年自然の家・林間キャンプ場(ログハウス付き)・テニスコートなどがあり、温泉も湧出。千葉市民以外も利用可能だが、利用料金は割高になる。この高原千葉村はその一角にはスキー場もつくられていた。

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(左)案内板。(右)ゲレンデ下。

本年2月には「千葉市保養施設『高原千葉村』を廃止へ」と報道された。施設の老朽化や利用者の低迷により、平成30(2018)年度末(2019年3月)に千葉市の施設としての運営を終了、廃止となるということである。みなかみ町に売却されるものの、その後はキャンプ場メインの運営方針とされ、スキー場は廃止されるものと推測されていた。

しかし、それに先立って2017年9月にはホームページ上でロープトウの廃止が告げられていた。「スキー場のロープトウについては、故障により使用を中止しておりましたが、古い型式であることから復旧のメドが立たず、利用者の安全に配慮した結果、平成28年度をもちましてロープトウを廃止することといたました」。ただし、ロープトウを使用しないで、スキーやソリ遊びをすることは可能である。

スキー場だけを日帰りで利用することはできず、施設への宿泊が前提となるようである。あくまでも高原千葉村のためのゲレンデという位置づけ。千葉市の小中学生が団体で訪れて、スキー教室が開かれ賑わうということもあったようだ。

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(左)ゲレンデ下から見上げる。中央の小屋がロープトウ乗場。

アクセスする県道の少し奥にあるゲレンデは緩やかな斜面で、初めてスキーをする子どもたちの練習にはうってつけに思われた。広さも十分である。問題のロープトウは、少し歩いて登ったところに乗場の小屋がある。下から乗場まで歩く距離と滑走距離はほぼ同じではないかと思えるほど。いずれにしても、少子化やライフスタイルの多様化、スキー人口の減少などにより、ゲレンデの必要性は低くなったということなのだろう。(写真は2014年4月)

2017年07月14日

武尊牧場スキー場(その2)(群馬県片品村)

前回に引き続き武尊牧場スキー場のレポート。
武尊牧場スキー場について「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」では、「夏季に放牧場になる傾斜地を利用したスキー場。天然雪に恵まれた高原エリアに加えて、下が草なので雪が少なくとも滑れる好条件をもっている。上部の二合平ゲレンデが広大なオープンバーンで見晴らしが素晴らしい。全体的にゆるやかな斜面。子供用ゲレンデも充実していて、ファミリースキーヤーにも好評」と紹介されている。

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(左)栃の木コースから下部を見おろす。(右)第5ロマンス沿いのスラロームコースを見上げる。

首都圏からは近いスキー場であったが、沼田ICからは意外と距離があり、オグナほたかなども手前にあった。リフトはペア4基・シングル2基。いっぽう「首都圏発 スキー場と宿2003」では、スノボ比率90%となっている。各種アイテムを二合平ゲレンデに設置したことが紹介されていて、スノボ集客に舵を切ったことがわかる。

以前、武尊山登山の折に最上部の第6リフトを利用した。スキー場がクローズしても夏山リフトは運行されるのだろうか。それを確認したくて、ゲレンデ内を登っていく車道を進んで第6リフトの下まで行ってみた。

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(右)前方に第2リフト終点、手前に第3ロマンス乗場。(右)第3ロマンスから見た武尊山。前方の谷状に下るのは馬立コース。

最上部まで、ゲレンデを縫うように上るので、リフトや斜面の様子を見ることができた。第1ロマンス降り場からはゲレンデ下部を見おろし、第2・第3乗継点はゲレンデ中間部でもあり、上下を見渡してこのスキー場の規模を再確認することとなった。

以前、手こずった記憶がある馬立コースをのぞき込み、柳沢コースを見上げる。第6リフトは稼働しておらず、脇の登山者用駐車場にも車はなかった。あとでネットで確認したら夏山リフトは運行しないとなっていた。ここからは緩やかで広い二合平ゲレンデを見上げることができた。

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(左)第6リフト。上部に2合平ゲレンデを見上げる。(右)第3ロマンス沿い。白樺のある風景も美しい。

西方にはまだ稜線部に雪を残す武尊山の姿が美しい。周囲には白樺の木立もあり、華やかさには欠けるものの雰囲気のよいスキー場だった。スノボ中心となってから関心がなくなっていたが、こうしてみるとクローズがなんとも惜しまれるゲレンデに思えた。(現地訪問:2017年5月)

こちらもご覧ください → 武尊牧場スキー場(その1)