2009年10月06日

美ヶ原白樺平スキー場(上田市/旧武石村)

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(左)ゲレンデ跡の斜面を下部から見上げる。(右)リフト乗場の注意書き看板。

1973年が最終営業年というから、もう営業を休止してから35年以上の年月が流れている。私は滑ったことがないけれど、美ヶ原・霧ケ峰周辺に行こうかと地図を広げた時に、比較的最近の地形図でもまだ牛伏山の北東斜面にリフト記号が描かれていた。それがずっと気になっていた。

白樺平とは、旧武石村(現在は上田市に合併)から美ヶ原に上っていく途中、急坂が一瞬緩み、白樺の美しい樹林帯があらわれるところ。季節には白樺の樹林の中にレンゲツツジが咲き、ことのほか美しい。その道が大きく左にカーブを切る場所に、やや広い駐車スペースが谷側にあらわれる。そこから山側に進む道をたどれば、リフト乗場と思われる残骸が散乱している場所に出る。コンクリートの基礎部分が出ているので、リフト乗場であろうと、打ち捨ててある看板をひっくり返せば、「リフトに乗るときは……」という表記があるので確証を得ることができた。しかし、リフトがあった場所にも、山頂に向かってその左にあったと思われるゲレンデにも草木が茂り、往時のゲレンデの雰囲気を感じることは難しい。リフト1本(660m)とロープトウ(150m)があったとの記録もあるが、ロープトウは美ヶ原美術館に近い山頂部にあったようだ。

ゲレンデ上部の様子も知りたくて、美ヶ原まで車で上り山本小屋から牛伏山に登り北東斜面を少し下ってみる。右は美ヶ原美術館の敷地、左は放牧地であるので、両側に柵がある中をゆるゆるとくだっていくと、リフトの痕跡は見つけられなかったが、ゲレンデらしい斜面が草地となってくだっている。その先には遠く白樺平の建物の屋根も見いだすことができた。リフト最上部は今は美術館の敷地の中になってしまったらしい。ゲレンデ下部に向かって右手には美ヶ原美術館のオブジェが見えるけれど、自然の美しさの前では人間の創り出すものなど到底及ばないことを、はからずも示しているような気がする。(現地訪問:2009年6月、8月)

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(左)ゲレンデ上部から見おろす。右側に見られるのは美ヶ原美術館のオブジェ。
ラベル:白樺平

2009年07月31日

美しの国スキー場(上田市/旧武石村)

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(左)草生した駐車場の奥にセンターハウス。(右)センターハウスの脇にあったリフト最上部。

美ヶ原の近くという感じはわかるが、長野県内にいながら地理感がいまひとつはっきりしない。旧武石村の奥のほう、という感じなのだけれど、番所ヶ原などからはもうひとつ南側の谷にあたる。岳の湯温泉を過ぎてどんどん上っていくと、美しの国リゾートという別荘地にはいる。その一角に美しの国スキー場はあったのだが、1998年を最後に営業を休止した。

別荘地のメインルートから右折するアクセス道路のゲートが閉まっていたので、歩いていくと右下に赤い屋根のセンターハウスが見えた。道をくだると、背の高い草に覆われた駐車場の向こうにセンターハウスの建物が残っている。脇を通り過ぎると、その先に木々に覆われて、1本だけあったシングル・リフトの残骸。このゲレンデはセンターハウスがあるこの場所が最上部で、そこから下に向かって3コースのゲレンデが広がっていた。だから、ここはリフト降り場になる。リフトの横にゲレンデの雰囲気は感じられるが、草木が茂りゲレンデの跡形は消え去ろうとしている。

「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」には「美ヶ原高原東山麓の唐松の樹氷帯に今シーズン(1986シーズン)オープンしたスキー場で、コースはリフト西側に上中級者用、初中級者用の2コースがある。ゲレンデは美ヶ原高原特有のパウダースノーに加え、スノーマシンが設置されているので、常にベストの状態で滑ることができる」と紹介されている。最大斜度36度。リフト455m。

営業当時に訪れたことはないのだが、センターハウスなどは山腹のやや窮屈な所に位置している。近隣市町村や別荘地の人々が利用する程度だったのだろうか。同じくらいのアクセスを要すならば、もっと規模の大きいスキー場もあるのだが、それだけでははかれない魅力がこうしたゲレンデにはあったのだろうと思う。(現地訪問:2009年7月)

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(左)草木が生い茂るかつてのゲレンデ。

2009年07月24日

浅間温泉スキー場(松本市)

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(左)リフト降り場。林道のすぐ下にある。(右)椅子もそのままの状態で、カラマツ林の中をリフトが走っている。

美ヶ原高原まで車で乗りつけることを可能にしたのは、ビーナスラインと美ヶ原林道。その美ヶ原林道は、松本の奥座敷である浅間温泉から急坂と急カーブを繰り返しながら上っていく。その途中に、浅間温泉スキー場があった。袴越山の北斜面にあり、リフト1基(450m)とロープトウ1基があったとの記録があるから、それなりの規模ではあったのだろう。当時のスキー場ガイドを見るとリフトに沿って、初級ファミリーゲレンデ・富士見台ゲレンデ・ダイレクトコース・中央ゲレンデ・林間コースなどが平行してあることが記されている。

浅間温泉から美鈴湖を経て、武石峠がもうすぐかと思われる地点。袴越山の北側あたりに、左手の視界が開ける場所がある。北側に向かって、かつてのゲレンデ跡がくだっている。林道に接している場所がゲレンデの一番上部のようだ。北斜面のため、それなりの積雪もあったのではないか。林道すぐ下にリフト降場の跡が残っている。シングルリフトの椅子までもがそのまま残っている。リフト下に続く踏み跡をたどって、リフト乗場までくだってみると、ヤブの中から鹿が3匹飛び出していった。リフト乗場には、つぶれた小屋と支柱があり、リフトを動かしていた機器がむき出しになっていた。リフトの経路はおもにカラマツの林の中にあるが、そこから、東西に何本かのコースがあった様子がうかがえる。そのあたりは白樺の木が点在し草に覆われているが、そこかしこにウツボグサが咲き、草地に彩を添えていた。

1972年を最後に営業を休止したとのことなので、私は営業中に訪れたことはなかった。やはり松本あたりの人が多く訪れたゲレンデだったのだろうか。「長野県スキー史」によれば、「松本から美ヶ原頂上行バス道路の途中にあり、袴越山の斜面、標高1,800m、乾燥粉雪2mの積雪があり、初級から上級者に親しまれ、北アルプスの展望の良さは魅力的である」と記されている。また、「冬の信州(1977版)」には「初心者向き、女性向きのスキー場」との記述も見られる。雲が多い今日は北アルプスは望めず、正面には戸谷峰をはじめとする筑摩山地の山々の重なりが見えるだけである。(参考資料:小山泰弘「長野県における休廃止スキー場の実態とその後の植生変化」)(現地訪問:2009年7月)

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(左)リフト乗場と機器類。(右)ゲレンデ最上部から下部を見おろす。正面の山は戸谷峰。

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(左)「冬の信州」を参考に作図。

2009年07月11日

和田峠スキー場(その1)(長和町)

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(左)レストハウス (右)残っていたリフトの基礎コンクリート部分

国道142号は和田峠のはるか下の深いところを、長い新和田トンネルで貫いてしまっている。旧道の和田トンネル北側から分岐してビーナスラインに上りつき、合流した目の前にこの和田峠スキー場のゲレンデが広がる。このゲレンデの上部を旧中山道は越えていて、中山道の道中では最大の難所だったようだ。以前、八島湿原から鷲ヶ峰を越えてこの和田峠に至り、三峰山、そして美ヶ原までを歩きとおす山行をしたことがあったが、スキー場は1998年の営業を最後に営業を休止していて、営業期間に訪れたことはなかった。

ゲレンデ上部に向かって、右下にレストハウスやスキー学校が入っていた建物が残っている。左側にシングルリフトが一本あり、そのリフト乗場のコンクリートの残骸が見られるが、途中の鉄塔などは撤去されている。このリフト沿いは見上げるような斜面で、ここに最大28度の上級コース(Aコース)があったのだろう。そこから右にB・C・Dの各コースがあり、少しずつ斜度はゆるやかになっているようだ。ちなみに、古くはゲレンデ右側にもリフトがあったようだ。

「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」には「和田峠(標高1,531m)に連なる丘陵の北東斜面に5.3haと小規模ながら、初級者から上級者までの4コースが設定されている。家族ぐるみで楽しめるスキー場をモットーに、コースは独立分離した安全設計となっており、ゲレンデ下部にミニリフトを架設し、ファミリー向きに2コースがレイアウトされている。交通の便は良いのだが、周囲に大きなスキー場があるせいか、休日でもすいており、リフト待ち10分の穴場でもある」と紹介されている。現在ではリフト待ちのあるスキー場など、ほとんどなくなっているが。開設は1977年。最大斜度27度。第1リフト392m。

訪れたのは6月下旬で、ちょうどレンゲツツジが満開の季節。往時、中山道を行く旅人も、花に彩られた風景を見ながら歩を進めたのだろうか。(現地訪問:2009年6月)

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こちらもご覧ください → 「和田峠スキー場(その2)」
ラベル:和田峠 スキー

2009年06月21日

霧ケ峰沢渡スキー場(諏訪市)

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ゲレンデ下部から斜面を見上げる。リフト乗場には、発券所の建物も残っている。

霧ケ峰沢渡スキー場は車山肩の西側、「ヴィーナスの丘」と称される丘陵から北側にくだる斜面に開かれていたスキー場。霧ケ峰高原の素晴らしい景観に恵まれたゲレンデだったが、残念ながら営業中に訪れる機会はなかった。今日、訪れてみると、ちょうど霧ケ峰はレンゲツツジの最盛期。このゲレンデ跡周辺にもレンゲツツジが咲き乱れていた。

ビーナスラインを霧ケ峰スキー場に近い霧ケ峰インターで北に折れる。そのまま進めばやがて八島湿原だが、そこまでの途中の大きな左カーブに右手に入る道があり、ヒュッテジャヴェルの入口に通じている。そこから右に、歩いて少し上ったところに1本だけあったシングルリフトの乗場がそのまま残されていた。

リフトの鉄柱や発券所などもそのまま残っている。すぐ脇にはユートピア山荘という看板を掲げたレストハウスが廃墟となって残されている。見上げるゲレンデはさわやかな草原。さまざまな植物が群生して、雪のない今の季節には足を置くのもためらわれる。

「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」によれば、「八ヶ岳中信高原国定公園に属する霧ケ峰高原の西斜面に、霧ケ峰高原の草原地帯をそっくり利用した見わたす限り白い色のゲレンデが広がる。ゲレンデは高原特有のアスピリンスノーに恵まれ、草原のゆるやかなスロープとなって伸び、雪質の良い安心して楽しめるスキー場として、チビッコ連れのファミリーには人気がある。頂上からは南アルプス・北アルプス・中央アルプス・富士山を一望にでき、警官も素晴らしい」と案内されている。開設は1980年。リフト474m。

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レンゲツツジ咲く稜線の先に、シングルリフトの降り場があった。

一方、ゲレンデ上部はどうなっているのか知りたくて、車山の肩から、西の方向に少し歩く。花々に向けてカメラを構えている人々とすれ違いながら。その先のレンゲツツジ満開の稜線上にリフトの降り場がある。今日はあいにく雲が多くて、ゼブラ山や八島湿原までしか見えないが、晴れた日の四周の展望は素晴らしい。

霧ケ峰沢渡スキー場は、私の持っている2000シーズンのスキー場ガイドには「2000シーズン営業未定」として掲載されているが、実際には1997年を最後に営業を休止したと思われる。素晴らしい景観の中、たおやかな霧ケ峰の自然の中に溶け込み、戻っていこうとしている。

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(左)ヒュッテジャヴェルの入口付近に掲示されている地図。
ラベル:スキー 霧ケ峰