(左)残っている案内板。(右)百瀬川の対岸から見たスキー場全体。
一昨年7月に南砺市が廃止方針を打ち出したスノーバレー利賀。その後の動向が注目されていた。昨シーズンの営業最終日(2013年3月24日)について新聞各紙は「市は今季限りで閉鎖する方針で、事実上最後となる滑りを楽しんだ利用客や周辺施設からは、惜しむ声や今後の地域振興を心配する意見が聞かれた」と報じていた。スキー場側は正式に閉鎖が決まったわけではないため、例年通りの営業終了という認識で特別な式典なども行われなかったという。
しかし、同スキー場の公式ホームページ上に11月になって「【ご案内】この度、南砺市の方針により閉鎖することとなりました。長きに渡りスノーバレー利賀にご愛好いただき、誠にありがとうございます。」とtwitterによる書き込みがあり、最終的に営業を断念したことが判明した。
バブル崩壊後の1997年の開業で、北陸随一の1,330mとなる標高や雪質の良さが売りであった。オープン当初は年間5万人ほどの利用があったというが、その後来場者は低迷し直近では年間約12,000人ほどにとどまっていた。南砺市は現在、代わりの地域活性化策を検討している。「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」によれば、「フード付クワッド、リゾート感覚のレストハウス、3kmのロングコース、モーグルコース常設、コブ斜面とそろう。最大斜度39度、コース11本。ナイター有。クワッド1基、ペア2基。アクセスは砺波ICからR156湯谷温泉経由35km」と案内されている。
(左)センターハウスのゲレンデ側には広いデッキ。レストラン内のテーブル・椅子などは整然と並べられていた。(右)センターハウス前から見上げたゲレンデ。
晩秋の休日、あらためて旧利賀村を訪ねてみる。利賀へは南砺側からも八尾側からも急カーブの連続する国道471号をたどらなければならない。しかし、登りついた百瀬川に沿う小盆地はほのぼのとした雰囲気を感じるところである。現地までの間、「スノーバレー利賀」の掲示は残ったままで、スキー場前にも営業休止などの掲示はない。センターハウスもリフトも今シーズンの営業を待っているかのようである。センターハウスのゲレンデ側には広いウッドテラスがあり、そこから内部をのぞくと、レストランのテーブル・イスは綺麗に並べられたまま。ゲレンデを見上げると、意外と奥行きの深いゲレンデの上部はうっすらと雪を被っていた。
リフトの支柱に地滑りによるずれが生じていることが分かったため2010シーズンの営業を休止したことが記憶に新しいが、そんなことも暗い影を落としていたのだろうか。リフト券をセットにした近くの天竺温泉の宿泊プランなどもあり、落ち着いた冬の休日を過ごすのにはいいところだったと思う。問題はやはりアクセスだろうか。急カーブが連続する道は、山道に慣れない人にはちょっと厳しいと思った。(現地訪問:2013年11月)
(左)下部ゲレンデの中腹から見下ろす。
【追記】
2017年1月16日~の地滑りで被害を受けたのは、スノーバレー利賀ではなく、旧「利賀スキー場」です。「利賀スキー場」については→こちらをご覧ください。