(左)ゲレンデ下部から見上げる幅広の一枚バーン。(右)最近塗装しなおされた様子のリフト乗場。
秋も深まり、そろそろスキー場オープンの情報も聞かれるこの頃。しかし、ついに今年はゲレンデ・オープンの日を迎えないスキー場もある。ゲレンデ一番乗りよりも、そんな廃スキー場に関心を持つようになるのもどうかと思うが。
富山市の中心市街地から国道41号をまっすぐ南下していく。15kmほど走ると旧大沢野町(現在は富山市に合併)となるが、ちょうど飛騨の山間部をぬって流れてきた神通川が、富山平野に流れ出す場所にあたる。旧大沢野町の東側にある小丘陵には猿倉城址公園があり、球技場・パターゴルフ・展望台などの施設が整備されている。この公園の一角にあったのが、猿倉城址公園スキー場。幅広い緩斜面のゲレンデに、シングルリフト1本(300m)の施設があった。
国道41号から案内標識に従って小丘陵にクルマで上っていけば、ゲレンデ下部に出る。といっても公園の一角という雰囲気で、最下部は野球場のようになっているし、隣接してコミュニティセンターやパターゴルフ場があり、上部には展望台などの施設がある。休日とあって、多くの人がさまざまに楽しんでいる。ゲレンデ下部に隣接する畑地で農作業をしている奥さんに聞けば、「今度の冬(2011シーズン)からスキー場は営業しないそうですよ」とのことだった。老朽化したシングルリフトの架け替えのための資金が問題となったのだろうと推測される。
「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には「富山市からクルマで30分以内の日帰りスキー場。ゲレンデ全体が緩斜面だけのまったくのファミリー向き。春日温泉が近い。木・金・土にナイター営業をおこなっている。頂上からは富山平野や神通渓谷を一望でき景観がよい。レンタルあり。子供用ソリ・スキーゲレンデあり」と案内されている。1965年(昭和40)、旧大沢野町直営のスキー場として開業し、最近は富山市が運営していた。休日の昼は完全なファミリーゲレンデ、しかし平日のナイター営業時には仕事帰りにまじめに技術向上に取組むスキーヤーの練習場になっていたようだ。
(左)ゲレンデ上部からゲレンデと富山平野を見下ろす。(右)公園の案内図。
ゲレンデ下部の右手にあるリフト券売場の建物などリフト乗場の施設は、最近ペンキを塗りなおしたらしく鮮やかな色。その隣の木造の建物は古い食堂のようだが、最近は使われていなかったのだろう。リフトは椅子を撤去されてはいるが、鉄塔やワイヤーなどはそのままの状態で、今度の冬の営業を待っているようにも見受けられる。一面の草地となっているゲレンデ上部からは、富山平野の広い展望をほしいままにすることができた。(現地訪問:2010年9月)
ラベル:猿倉城址公園スキー場