2011年11月18日

吉川六角山スキー場(新潟県上越市)

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(左)吉川中学校の校門付近から、校庭の向こうにゲレンデが見える。(右)ゲレンデ下部から見上げる。右手にロープトウ乗場。

上越市の一部となった旧吉川町。米山に近く、頸城の平野も東に尽きる直前あたりの穀倉地帯で、地区の東にある尾神岳はパラグライダーのメッカだという。いくつかのサイトで「吉川六角山スキー場」についての記載をみつけ、出かけてみることにした。吉川区総合事務所や診療所などがある地区中心地の一角にある吉川中学校。その校門の前からは、校庭をはさんだ向こう側の山腹にゲレンデが開かれているのが見て取れる。別の道から校内を通らずにゲレンデ直下にアクセスすることもできる。

それにしても六角山とは珍しい名前だが、幹線道路からの入口には立札があり「南北朝期古戦場 六角峰城址登り口」の文字があり、この地が歴史の舞台に立ったことを知ることができた。さらに「文和4年3月 南朝上杉憲将この地に拠り、北朝軍と大いに戦う」と記されている。「観応の擾乱」で足利尊氏と直義の兄弟抗争が起きた時に上杉憲顕は直義側に味方した。その子、上杉憲将は宇佐美一族と顕法寺城で挙兵。しかし風間長頼に攻められ、顕法寺城を捨てて六角峰(六角城)、さらに柿崎城へと逃れたという。

校庭のすぐ脇からはじまるようなゲレンデ。トイレだった思われる建物の入口には板が打ちつけられている。その向こうにはリフト乗場の建物。といっても、リフトではなくツタが絡みついたロープトウの機器が小屋の下にあった。隣接する蜘蛛の巣に覆われたリフト券売場の小屋には「リフト使用料金表」という色あせた貼り紙が残っていた。それによれば、「大人(高校生以上)半日500円一日700円、子供(小・中学生)半日300円一日500円」となっている。見上げるゲレンデは、草に覆われた緩やかな斜面。滑走距離はごく短く、300mくらいだろうか。最上部にも小屋に覆われたロープトウの機器が残っている。雲が多い天候で、ゲレンデ最上部からの展望ははかばかしいものではなかったが、晴れていれば日本海や米山の展望が素晴らしいのだろう。

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(左)ゲレンデ最上部から見おろす。(右)ゲレンデ上部にも小屋の中にロープトウの機器がある。

近くの商店で聞いてみると「スキー場はいまはもうやってないんですよ」という言葉が返ってきた。上越市の資料によると平成17年度(=2006シーズン)には、361人の入場者があったが、「2007年には降雪がなかったため開設できなかった」となっている。リフト券売場の小屋の中には、2006年3月のカレンダーが放置されていたので、それが最終の営業時期だったと思われる。カレンダーの3月12日(日)の箇所には「終」の文字が記入され、最終営業日を物語っていた。(現地訪問:2011年10月)

2011年08月10日

ARAI MOUNTAIN & SPA(その3)(新潟県妙高市)

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(左)大毛無メインステージの斜面。クワッドリフトの支柱・ワイヤーは現存している。(左)大毛無メインステージの斜面から見おろす。左はクワッド乗場、右に膳棚フードガーデン、ゴンドラ山頂駅。

前回に引き続き、今回はARAIの山頂付近のレポート。
ARAIで滑って一番楽しかったのは、最上部の大毛無メインステージだったと思う。そのあたりの様子を知るには、県道をたどって大毛無山の山頂付近まで行ってみる必要がある。

通常はゲレンデの脇を上がって行く林道をたどれば、山頂部まで到達できそうだが、途中工事中で先には進めなくなっていた。地図を見て、スキー場の北側に位置する西野谷の集落から西に上がって行く林道に目をつけた。その林道をたどれば、大毛無山の山頂付近に達する様子なので、膳棚付近の様子もわかりそうだ。途中から結構厳しいダートとなる林道は、結局、あと少しのところで木の幹が道をふさいでいる箇所があり、そこにクルマを乗り捨てて残り2kmほどを歩くことになった。日陰の沢沿いにはまだ残雪が見られ、ここが豪雪地であることを再認識することとなった。

山腹を行く林道がいくつかの尾根を巻いた後、正面には大毛無メインステージの斜面と膳棚クワッドがあらわれた。クワッドリフトは支柱やワイヤーもしっかりしていて、少し整備すれば今年の冬にだって営業できそうに見える。

少し下って、ゴンドラの膳棚山頂駅などがある平地まで行ってみる。ゴンドラの山頂駅、レストラン膳棚フードガーデン、そしてクワッドリフトの乗場の建物もすっかり残っている。一部壁が剥げ落ちているところはあるものの、営業休止後5年を経たにしてはしっかりした状態だ。クワット乗場は、いまにも4人乗りのチェアが滑り込んできそうな錯覚におそわれるほどだ。あいにくと霧のため視界が悪く、ゲレンデ全体を見渡すことはできなかったが、大毛無メインステージの斜面はいまもその痕跡を残し、われわれを誘っているように見えた。(現地訪問:2011年7月)

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(左)手前がゴンドラ山頂駅、奥に膳棚クワッド乗場。(右)クワッド乗場は今すぐにでも使えそう。

こちらもご覧ください→「ARAI MOUNTAIN & SPA(2009年3月15日)」 「ARAI MOUNTAIN & SPA(その2)(2011年7月30日)」「ARAI MOUNTAIN & SPA(その4)(2015年10月13日)」
ラベル:Arai

2011年07月30日

ARAI MOUNTAIN & SPA(その2)(新潟県妙高市)

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(左)スキー場までの案内標識はすべてそのまま残されている。(右)施設敷地への立入を禁止する標識がある。ホテル・ショップの建物などはそのままのように見える。

ARAIの復活は、多くのスキーヤー・スノーボーダーが抱いている夢ではないだろうか。聞くところによれば、多くの施設は営業時ほぼそのままの状態で残されているという。そんなことから、ARAIの復活に向けての動きが水面下で進められているというような憶測が一部では流れていると聞いたことがある。しかし妙高付近の他のスキー場も苦戦を強いられている状況の中で、これだけの施設を復活させるのはそんなに簡単な話ではないだろうと思う。そういえば、以前ARAIを取り上げたときには、山麓部付近を訪れたに過ぎなかった。もう一度、現地を訪れてみる必要があると考えていた。

雲がたれこめた7月の休日、国道18号を妙高方面から北上する。国道18号から左折する場所には「ARAI 5km」という案内標識が残されていたし、その先いたるところに「ARAI」を示す案内標識が残されていて、自然にスキー場まで導かれる。知らなければ、現在も営業しているスキー場だと思うだろう。ホテル・ショップなどが建ち並ぶ敷地を黄色いテープが囲むように張ってあり、「立入禁止」の表示も以前よりも物々しい感じに見える。その脇を走る林道から、ゲレンデや建物のだいたいの状況を確認することができたが、営業時とほとんど変わらない様子に見えた。

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(左)山麓第2ペア乗場。(右)山麓第2ペア乗場付近からゴンドラ中間駅の六本木平ステーション、そして山頂部の膳棚方面を見上げる。

ゲレンデ下の施設の北側から上って行く林道を少したどれば、左手にホテル・レストラン前の山麓第1ペア乗場。さらに行けば、左手に山麓第2ペアリフト乗場。いずれのリフトも搬器をつければすぐにでも運行できそうに思える。見上げる斜面にはゴンドラの支柱やワイヤーがしっかり続いている。そのゴンドラの下を林道は上がって行く。上方にはゴンドラ中間駅であった六本木平ステーションが大きな姿を見せている。

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(左)ゴンドラ中間駅・六本木平ステーションの姿もそのまま残っている。(右)六本木平ステーション付近から山麓部を見おろす。

六本木平ステーションの建物は一部破損はしているようだが、そのまましっかりした姿をとどめているし、そこから架けられていた小毛無第1クワッドの施設もしっかり残っている。梅雨空の中、山麓部を見おろそうとするが、草木が高く繁ってなかなか視界が開ける場所が探せなかった。多くの施設はしっかり残っているものの、ゲレンデは草木に少しずつ飲み込まれていくように感じられた。(現地訪問:2011年7月)

→次回、ARAI MOUNTAIN & SPA の山頂部をレポートします。

こちらもご覧ください→「ARAI MOUNTAIN & SPA(2009年3月15日)」 「ARAI MOUNTAIN & SPA(その3)(2011年8月10日)」「ARAI MOUNTAIN & SPA(その4)(2015年10月13日)」
ラベル:Arai

2010年01月16日

妙高パインバレースキー場(その1) (新潟県妙高市)

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(左)「アパリゾート」への案内看板。(右)メインゲレンデへのアプローチ道路から。

何年か前から妙高付近の国道18号沿いに、あの女社長の看板が目立つようになった。例の耐震偽装問題の報道で女社長の顔が全国に知られたホテル・マンショングループが、2005年に妙高パインバレーを買収。「アパリゾート妙高パインバレー」として再出発した。ホテル・ゴルフ場などもあわせて買収したのだが、2010シーズンからはスキー場の営業から撤退することが昨年夏に発表された。「スキー人口の減少により、事業を維持することができなくなった」としている。2005年度25,000人だった入込客数は2008年度には22,000人に減少したという。妙高市長は「スキー場は冬季観光の目玉であり、撤退は痛い」というコメントを出している。ホテルとゴルフ場は引き続き営業を継続している。妙高付近の他のスキー場とは一線を画したリゾート的な雰囲気を持っていたが、それでも必ずしもプラスには働かなかったようだ。

妙高パインバレーはバブル期の1988年にオープン。当初からホテル・リゾートマンション・ゴルフ場も備えた総合リゾート施設として計画されていた。最盛期にはゴンドラ1基・ペアリフト3基の規模を誇っていた。最大斜度30度、最長滑走距離2000m。緩中斜面が多いため、家族向けゲレンデとして親しまれていた。北斜面にあり積雪や雪質には問題なかったはずだ。キッズパークもあり、子どもを連れて行くには安心できるスキー場だったと思うけれど、がんがん滑りたい向きにはちょっともの足りないスキー場だったのかもしれない。私は2001年の正月休みに出かけたが、そのときは正月休みだったからかそこそこ混みあっていたと記憶している。ホテル前まで滑り込めるようではあったが、少し離れていて便利とはいい難いと感じた。

長野から国道18号で妙高山麓を過ぎ、少し北へ下りはじめたところに関山の交差点がある。西へ入れば関・燕方面だが、東へ曲がるのは少々違和感がある。しかし「アパリゾート」の看板を見ながら道をたどれば、かたわらに何棟かのホテル群を見ながらスキー場直下まで導かれる。ゴンドラ・リフト・センターハウスなどの施設はまだ現役そのままで、ふかふかの新雪に埋もれている。圧雪さえ行えば(新雪フリークにはこのままでも)快適に滑れそうな斜面。右手を見ると、端正な姿の妙高山が白く輝いていた。(現地訪問:2010年1月)

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(左)メインゲレンデ下部から見上げる。

こちらもご覧ください→「妙高パインバレースキー場(その2)」
ラベル:妙高

2009年11月15日

松ヶ峯スキー場(新潟県上越市)

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(左)左は妙高サンシャインランドのジェットコースター。右のゴルフ場内にゲレンデがあったようだ。(右)「スキー天国にいがた」を参考に作図。

上信越道を北に向かい豊田飯山からいくつかトンネルを抜けると、正面に妙高山の秀麗な姿が広がる。その先、妙高高原を過ぎて頸城の平野に向かってくだり始める頃、左手に観覧車やジェットコースターなど遊園地の施設が見える。こんなところに?と訝しく思われるが、これは冬期には営業を取りやめる妙高サンシャインランドという遊園地。この季節はすでに営業期間を終えている。隣接して松ヶ峯の温泉街やゴルフ場、さらに自衛隊関山演習場もあり、いろいろなものが混在している感じを受ける。この一角に松ヶ峯スキー場があった。いままで調べた資料では営業終了の年月ははっきりわからない。

「スキー天国にいがた(新潟県全スキー場ガイド・1975年12月)」に掲載されていた地図を頼りに、松ヶ峯温泉のあたりに行ってみる。地形から推測すると、遊園地から細い道を挟んで北東側に広がるゴルフ場の一角にゲレンデがあったようだ。すぐ下の松ヶ峯温泉の一軒の小母さんに聞いてみると、ほぼその場所で間違いないようで、営業休止となったのはこの10年以内のようだった。ゴルフ場に立ち入ることはもちろんできないので詳細はわからないが、リフトなどの施設が残っているようには思えない。ゴルフ場になっているくらいだから緩やかな斜面で、ここに長さ300mのリフトがあったようだ。

「'86 SKI GUIDE(山と渓谷社)」によれば、「なだらかな裾野をひく妙高山の北麓に開かれた30haのスキー場で、信越の山々、米山を見渡す雄大な眺めと、高原特有の広々としてゲレンデ、疲労回復に効果のある松ヶ峯温泉を特徴とする。ゲレンデは全体的になだらかで、チビッコや初心者の講習用ゲレンデとして利用される。また、春から秋にかけては遊園地として親しまれているところなので、家族連れのスキーヤーが多い」と紹介されている。スキー場開設1969年(昭和44)。標高310~380m。最長滑走距離350m。

「スキー天国にいがた」には「関山駅より最も近く国道からも近距離にあって、周囲の眺めは素晴らしく近くには松ヶ峯温泉がある。なだらかなスロープは初心者・家族連れ・婦人層に好適である。」と記されている。国道18号線よりゲレンデまで徒歩15分、関山駅より徒歩30分と案内されている。
ラベル:中郷 松ヶ峯温泉