2023年02月28日

飛騨舟山スノーリゾート アルコピア 【ラストシーズン】(岐阜県高山市)

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(左)アクセス道にある看板。(右)第1ゲレンデ下から見上げる。

岐阜県高山市内には現在、3箇所のスキー場がある。飛騨高山スキー場・モンデウス飛騨位山・飛騨舟山アルコピア。このうち、モンデウスとアルコピアのいずれかを廃止するという高山市の方向性が示されたのが2020年3月のこと。「スキー人口の減少や近年の雪不足による営業日の短縮で、厳しい経営が続いたため」と報じられた(岐阜新聞)。

両スキー場とも過去に1回しか滑ったことがなかったけれど、個人的にはアルコピアの方が楽しかった記憶があった。上部のペアリフト沿いの斜面が気持ちよかった。しかし期待は裏切られ、2022年4月には「岐阜県高山市は市営スキー場のひだ舟山スノーリゾートアルコピアを来期限りで廃止する方針を明らかにした」と報じられた(岐阜新聞)。

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(左)時間がたつとピーチライナーにリフト待ちが。(右)第1ゲレンデ上部から見おろす。

「アルコピアの方が相対的にゲレンデなどが狭く、施設が古いため廃止とした」また「(モンデウスは)全てが市有地であることや、耐用年数が24年残るセンターハウス機能が中長期的に使用が可能である」ということである。

スキー場ガイドには以下のように紹介されていた。「飛騨地区のスキー場の中では中京地方からはもっとも近い。飛騨の中心にある久々野を舞台に広大なスロープが展開。『アルコピア』はイタリア語のアルク:箱舟とユートピア:理想郷からの造語。別名・飛騨の桃源郷と呼ばれ、自然休養村としての設備も万全だ(オールスキー場完全ガイド2000、立風書房)」最大斜度38度、最長滑走距離2,900m、最盛期にはリフト6本。

2022-23のラストシーズンにアルコピアに滑りにいかなければと思っていたが、安房峠を越えて飛騨まで出かけるのが億劫だった。しかし、本ブログでよくお世話になっている西濃にお住いのKさんから「早く行かないと雪がなくなっちゃいますよ あそこは…」といわれ、あわてて出かけた。

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(左)第1ゲレンデ上部から見たリーゼンコース。(右)ペアライナー乗場。

飛騨高山からはすぐ先だという記憶があったが、かなりの距離を南下せねばならず、モンデウスの方が位置的にも有利だったことを知らされる。アクセス道路の入口には派手な看板があり、ラストシーズンの平日1日券1,000円をアピールとしていた。訪れたのは休日だったけれど、リフト運転開始直後にもかかわらず、駐車場に多くの車があるのに驚いた。シニアの午前券(1,880円)で滑りはじめる。

朝のうちはまずまずの人出だったが、だんだん下部のピーチライナーはリフト待ちが出るほどの賑わいになった。緩斜面の第1ゲレンデは家族連れも多く、とても今シーズンが最後のスキー場とは思えない。それからはもっぱら上部のペアライナーを使って滑った。きょう稼働しているリフトはこの2本のみ。上部もチャンピオンコースは滑ることができず、もっぱらリーゼンコースで楽しんだ。

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(左)ペアライナー上部からジャイアントコース(本日滑走不可)を見おろす。

残念ながら雪質は良いとはいえない。固い人工雪がベースにあって、その上にやや重い新雪が数センチのっている感じ。足を取られたり、何本か滑っていると脚に疲れがくる雪質である。しかし、リーゼンコースはなかなか楽しく滑ることができた。今日の賑わいを見ると、これがラストシーズンとは思えなかった。(現地訪問:2023年2月)

【追記】2023年3月12日(日)が最終営業日とのことである。

2022年01月01日

白川郷平瀬温泉 白弓スキー場(岐阜県白川村)

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(左)ゲレンデを見上げる。(右)リフトからセンターハウスを見る。

動向が気になっていた白弓スキー場。2021年1月に指定管理者の募集が開始され、応募者があれば今後5年間は営業をおこなうとのことだった。しかし、12月28日にホームページで「白川郷平瀬温泉 白弓スキー場は、施設の維持管理上の理由により、昨シーズン(2020-2021シーズン)の営業をもって閉鎖となりました。長年、多くの皆様にご利用いただきまして誠にありがとうございました」と告げられた。やはり残念な結果となってしまった。

いつも本ブログに協力してもらっている岐阜県のKさんから、白弓スキー場についての新聞掲載を教えられたのは4年前の2017年12月。岐阜新聞の記事によれば「岐阜県大野郡白川村は21日、同村木谷の村営白川郷平瀬温泉白弓スキー場を、リフトが耐用年数を迎える2020年をめどに閉鎖する方針を明らかにした。成原茂村長が村議会一般質問で方針を示した。」とのこと。

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(左)センターハウス内。(右)リフト券は自販機で購入。

「同スキー場は1969年に開場し、企業に委託運営している。ピークの94年度は1万6千人が訪れたが、近年はスキー人口の減少や設備の更新の遅れから利用客が減少し、2016年度は1715人、1180万円の赤字だった。15年4月から、近隣住民らでつくる白弓スキー場検討委員会で存続について検討してきた。」村長は「リフトの耐用年数も考慮し、閉鎖の方向で進めていきたい」と述べていた。

いつ閉鎖になるかわからないと思い、2018年3月に遠路、滑りに出かけた。予想より(といったら失礼だが)立派なスキー場で驚いた。きれいなセンターハウスにレストラン・レンタル・スクールなども完備。ゲレンデ下にいくつか広い駐車場がある。リフト券は自動販売機で購入。1本だけのペアリフトもそれなりの距離(790m)があり、ゲレンデもしっかり整備されて気持ちよく滑ることができた。

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(左)ゲレンデ上部から。(右)リフト降場付近。

リフト中間駅から下は緩斜面だが、上部は上級向きでけっこう滑りごたえもある。この規模ながら、さまざまなレベルのスキーヤーに対応できそうだ。ただ、土曜日にも関わらず滑っているのは、ポール練習の少年たちを含めても10人ほどと寂しかった。白川郷のついでにスキー体験という感じの中国人女性が2人。スノーボーダーがひとりもいなかったのも珍しかった。

大雪への警戒も呼び掛けられる中、当面、あらためて現地を訪れることは難しそうなので、今回は2018年訪問時の写真で振り返ることにしたい。あらためて機会を見つけて、現在の現地の様子をレポートしたいと思う。

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(左)アクセス道からセンターハウスとゲレンデを見る。(右)ゲレンデマップ。

スキー場ガイドには以下のように紹介されている。「世界文化遺産登録で世界中にアピールした白川郷の平瀬温泉がベース。センターハウス『白真弓』(170席)オープン。『カモシカ落とし』なる38度のカベがあり、白樺ゲレンデはポールセットも可能。(オールスキー場完全ガイド2000:立風書房)」当時のリフトはペア1基、シングル1基で、現在の中間駅あたりまでのペアリフトとその上にシングルリフトがあったようである(コメント欄に情報をお寄せいただきました。詳細はコメント欄をご覧ください)。

アクセスとしては東海北陸道・白川郷ICから車で20分、荘川ICからは30分。中京・北陸方面からのスキー客が主体となろうが、その手前に数多くの大規模スキー場があることを考えるとアクセスが悪すぎる。しかも、ペアリフト1本の規模である。白川郷の知名度はあるにせよ、集客は難しかったのだろうと思う。(現地訪問:2018年3月)
posted by 急行野沢 at 09:35| Comment(4) | 岐阜県 飛騨 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする

2019年01月06日

チャオ御岳マウントリゾート(岐阜県高山市)

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(左)ゲレンデ下から正面に御嶽山が見える。右はゴンドラ、左は第1リフト。

12月10日になって、「チャオ御岳マウントリゾート冬季営業延期のお知らせ」が同スキー場のホームページに掲示された。「チャオ御岳マウントリゾート(岐阜県高山市)は、運営体制の再構築および施設の復旧が完了するまで、2018-19冬季シーズンのスキー場営業を延期いたします」とのこと。

延期の理由としては「昨シーズンまでの収益の減少に加えて冬季営業を平日休業したことによりお客様の入込数が大幅に減少し、さらに収益の悪化が進む中、新たな経営体制として運営してまいりましたが、本年7月から10月に発生した集中豪雨や大型台風災害でスキー場施設に損傷が生じ、復旧工事に時間と費用を要しております」と述べられている。

「今後は運営体制の見直しを行い、3月以降の春季営業と夏季の高地トレーニング事業を軸として経営体制を再構築し営業再開に向けて努めてまいります」という。2018年5月、経営不振から旅館のプロデュース業などを行う会社に筆頭株主が変わり、新たな経営体制を敷こうとしていた。同社はスキー場経営を行うのは初めてであった。

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(左)駐車場とセンターハウスへの通路。(右)センターハウス。

収益の悪化はわかっていたはずだから、なぜいまさらといいたいところだけれど、諸々の事情があったのだろう。12月1日営業開始の予定を延期するといったんは発表され、早割パス購入者には払い戻しの案内がおこなわれていたので、今シーズンの営業は厳しいのではないかと憶測を呼んでいた。3月以降営業再開とのことだが、そこにスキーシーズンが含まれるのかもいまひとつわからない。

同スキー場について「ニッポンのデレンデ2013(実業之日本社)」では「御嶽山の北斜面に展開し、トップの標高は2000mオーバー。眺望はもちろん、雪の質・量ともに上々で、ゴンドラを使ってロングコースが3本もとれるとあって人気が高い」と紹介されている。ゴンドラ1基、ペアリフト2基(以前は3基)の施設があった。近年はスノーボーダーの比率が高いゲレンデという印象だった。

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(左)第1リフト前。多くの車両があった。(右)第3リフト下。

岐阜方面への所用のついでに、12月中旬に現地を訪れてみる。アクセスはお世辞にもいいとはいえない。木曽路から国道361号で長峰峠を越えて岐阜県に入り、すぐの分岐を左に向かう。途中にあるチャオの案内板には、営業延期などの表示は見られなかった。チャオまではよい道が続く。広い駐車場の上にセンターハウスやゴンドラ乗場などが位置している。センターハウスの横には多くの車両がとめられていて、人が出入りしていた。営業再開に向けて進められている様子に、何となくほっとする。

見上げるゲレンデにはまだ雪が少ないけれど、人工降雪機や圧雪車も稼働せず手持ち無沙汰の様子。リフトは搬器を取り付けられた状態である。今シーズンがどうなるのか解らないけれど、遅くとも来シーズンには復活するのではないかと思っている。ゲレンデの向こうには、雲の中から御嶽山が姿を見せてくれた。(現地訪問:2018年12月)

【追記】
3月に入っても動きはなく、今シーズンはやはり冬季営業はしないように感じられる。(2019年3月8日)
【追記】
2020シーズンに向けてもスキー場営業の案内がおこなわれていない。2020シーズンも営業休止か。(2019年12月)

2018年06月07日

西霧野スキー場(岐阜県飛騨市)

本ブログで何回もお世話になっているKさんから、黒内にあるスキー場のことを聞いていた。飛騨市古川町の「桃源郷温泉すぱーふる」のすぐ近く。現在は黒内果樹園になっている場所だという。温泉スタッフのおばさんに聞いたところ、小さい頃行ったことがあるけれど、リフトもなくスキー場というよりスキーができる場所だったとのこと。

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(左)桃源郷温泉の案内板と黒内果樹園の建物。(左)黒内果樹園内の小道から斜面上部を見る。

調べてみたところ「西霧野スキー場」と呼ばれていて、昭和初期にはスキー大会が開かれていたようだ。飛騨市の広報紙「広報ひだ」(2013年12月号)に古川町史編纂室による記事「飛騨市歴史探訪 西霧野スキー場から黒内果樹園へ」が掲載されている。それによれば、昭和17年(1942)の小鷹利村々勢要覧の添付地図で、現在の黒内果樹園の位置に西霧野スキー場を確認することができるという。

この要覧には「約1キロメートルのスロープにヒュッテが二棟あり、雪質は良好で冬季は大変賑わっており、定期自動車の便がある」と記されている。その後、同地では果樹園開墾の計画が進められ、昭和34年(1959)、西霧野スキー場は果樹園と桑園に開墾されてスキー場としての歴史を閉じたようだ。

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(左)黒内果樹園内の小道から下部を見おろす。

飛騨方面に出かけた際に立ち寄ってみた。桃源郷温泉の案内標識に従って進み、その手前左手にあるフルーツパーク黒内果樹園の建物手前を左折、川を渡れば果樹園内の小道に入り込む。一面の果樹園は雪に埋もれている。見たところ果樹園は緩やかな斜面に立地していて、スキーで滑るのにはちょうどよい傾斜のように思えた。当然ながらスキーに関係する痕跡は見られなかった。

訪問時には果樹園は一面の雪に覆われていたが、季節がよければ、果樹狩りと温泉施設が隣接していて休日を楽しむのによい場所ではないだろうか。しかし、いまとなっては、ここでスキーが行われていた頃を想像するのは難しかった。(現地訪問:2018年3月)
posted by 急行野沢 at 10:10| Comment(0) | 岐阜県 飛騨 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする

2015年08月09日

尾上平スキー場(岐阜県高山市)

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(左)蛭ヶ野林道の途中から見たゲレンデ全景。かすかに樹林の少ないゲレンデ跡がわかる。(右)ゲレンデには赤錆びたリフトの鉄柱やナイター設備が残っている。

はじめてこのスキー場のことを知ったとき、地図上でその場所を確認して驚いた。こんな山奥にほんとうにスキー場があったのだろうか。郡上市ひるがの高原から山をひとつ越えた北側。ゲレンデの所在地は高山市(旧荘川村)にあたる。ネット上で調べると、MTBなどのツーリストによってロッジやリフトの写真がアップされている。いつかは足を運ばなければと思っていた。

「熱中症に注意」といわれる真夏の休日、ひるがの高原を目指す。ひるがの高原スキー場の少し南を、国道156号から西に入る。別荘地の中を北西に向かって登っていくと、やがて道はダートな林道となる。峠状の場所にたどり着くと、左へ進む蛭ヶ野林道も右の大黒谷林道もゲートが閉まっている。冬期にはゲートが開いていることもあるようだが、この季節、ゲートが閉まっていることは計算済み。準備してきた登山の支度を整えて、蛭ヶ野林道を歩いて進むことにする。

林道は概ね山腹を左に見て巻いていく。40分ほど歩くと前方が開け、谷の向こうにリフトの鉄塔やナイター照明の立つ斜面が望める。うっすらと樹木の少ない東向きのゲレンデの形跡も見て取れる。そこから林道を7~8分も下れば赤い金属屋根のロッジの前に出る。ここで林道は二分していて、右はゲレンデ下に、左に進めばゲレンデ中腹に出る。

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(左)廃屋と化したロッジは意外と大きな建物でしっかりした造り。(右)リフト券もこんな値段の時代。

右にたどればすぐにロッジへの踏み跡が左にある。ロッジはガラスが割れ廃墟と化しているが、思ったよりも大きな建物で構造はしっかりしていた。1階は宿泊用、2階は広い食堂だったようだ。食堂にはシングルリフトのチェアが置かれていた。このロッジから考えると、思っていたよりも規模の大きなスキー場だったようだ。

リフト乗場はゲレンデトップに向かって右手にあって、左手にあるロッジとは少し離れている。そのリフト乗場までは夏草を掻き分けて進まなければならなかった。乗場まで行ってみると、リフトは並列に2基あったことがわかった。草木に覆われ、リフトの遺構である錆びた鉄柱とワイヤーが斜面を駆け上っていた。

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(左)リフト乗場。2基が並列だったようだ。(右)2基のリフト乗場と傍らには機械の操作室。

ロッジの前までもどり、ゲレンデ中腹まで登っている林道をたどる。ほんの10分ほど歩けば、この林道をリフトのワイヤーが横切っている場所に出た。乗場でリフトは並列2基であることがわかったが、1本(左側)はここが終点、もう1本はさらに上部まで通じている。しかし、上部はまったく樹林の中に飲み込まれていた。傍らにはナイター照明が立っていたが、その姿は何となく所在なさげに見えた。

このスキー場についてはいろいろと資料を探したけれど、あまり情報が得られなかった。大垣市の企業が経営していたが、1987年頃に閉鎖したという。この立地条件になぜスキー場をつくったのか、そしてアクセスはどうだったのか、大いに気になるところ。みんな車でこの山道をアクセスしたのか、白鳥あたりからバスでもあったのか……。さすがに周囲は自然が豊かで、ゲレンデ周辺の渓流には清冽な水が流れていた。(現地訪問:2015年8月)

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(左)ゲレンデ中腹。左側のリフトはさらに上部までワイヤーがのびている。右手のリフトはここが終点。(右)現地のようすから想像してつくったゲレンデマップ。