(左)駐車場前からゲレンデを見上げる。
濁河温泉は御岳山の西北側にあたり、長野市方面からはアプローチがやっかいなところ。いったん木曽福島に出てR361で開田高原を越え、岐阜県側の日和田高原にクルマを進める。チャオ御岳の少し先までは立派な2車線道路が続くが、その先は行き違いもままならない細い道となる。小さな峠を越えて高山市域から下呂市域へ入れば、まもなく飛騨小坂からの道と合流する、その交差点の脇から広がるのが濁河温泉スキー場の跡地。ちなみに温泉街はこの先2kmほど進んだところにある。
「'92全国スキー場ガイド」(山と渓谷社)によれば、「御岳山の岐阜県側六合目に位置するスキー場。雪質が良いので、降雪時には新雪・深雪滑走が可能だ。リフト待ちはほとんどなく、思う存分すべることができる。アフタースキーは温泉で」と紹介されている。ペアリフト1基があり、5コースを備え、最長滑走距離2.5km、最大斜度28度。クルマでのアクセスは「中央道中津川ICからR257とR41経由で112km」という案内もあるが、R19木曽福島からR361開田高原・チャオ御岳経由の方が、現在では走りやすいのではないだろうか。
2010年2月の新聞報道によると「下呂市は22日、利用客減などにより市立濁河温泉スキー場を今季限りで閉鎖する方針を発表した」という。濁河温泉スキー場は1963年に開設。近年の利用客は年2700人前後で、半数以上は付近にある御嶽少年自然の家利用者だった。施設の老朽化や利用客の減少と、岐阜県が自然の家を廃止することから、このスキー場の閉鎖を決めたらしい。濁河温泉スキー場のホームページにも「永年のご愛顧ありがとうございました」とあるから、閉鎖は本決まりのようだ。
(左)ペアリフト乗場から斜面を見上げる。(右)ペアリフト乗場からレストハウス付近を見おろす。
濁河温泉への道路に面した駐車場のすぐ上にゲレンデが広がっている。1基だけあったペアリフトは少々上がったところにあるため、そこまでは連絡用のロープトゥがあった。正面のコースは結構な急斜面だが、左右に迂回するコースがいくつかあったようで、思っていたよりも広がりを感じさせる。先シーズンまで稼動していたのだから、当然リフトやロープトゥの施設はそのまま残っていて、人待ち顔のように思えた。どの方面からもアクセスが厳しいけれど、雪質が良かったことは想像に難くない。山間の温泉とともに一度、営業中に訪ね、しみじみとした雰囲気のゲレンデを楽しみたかったと後悔の念にかられた。(現地訪問:2010年10月)
ラベル:濁河温泉スキー場