(左)クワッドリフトの下から中央ゲレンデを見上げる。(右)センターハウスとホテルの向こうに御岳を望む。
ゲレンデの横に立てば、センターハウスとホテルの向こうに、雪をいただく乗鞍と御岳の雄姿が望まれる。素晴らしい景観のゲレンデだ。1996年には冬季国体の会場にもなり、ジャンプ台も残っている。岐阜県内では、選手の育成や各種大会など重要な位置づけのスキー場だったようだ。
「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には、「鈴蘭高原(標高1475m)に位置し、北アルプスや白山連峰が一望にできる。中央ゲレンデと北山ゲレンデに分かれ、オープンは12月上旬からと、シーズンの長さが自慢で、オープンと同時に雪上滑走可能。全コースに降雪機を設置し、早朝からリフト運行する。ベースの『リゾートインすずらん』には仮眠施設もあり日帰りスキーに便利」と紹介されている。リフトは、クワッド1・トリプル1・ペア6・シングル1と記載されている。
鈴蘭高原スキー場は、1969年に営業開始。東海地区の放送局の系列会社が運営していたが、2006シーズンを最後に営業休止となった。ピーク時にはシーズン約23万人の利用者があったが、2005年度には35,000人にまで落ち込んだという。高速道路から離れているアクセスの悪さが弱点だったと見る向きが多い。高速道路を使うとなると中津川ICからということになろうが、そこから2時間はかかる。運営会社の社長は「スキー場を何とか存続させようと努力を続けたが、状況は好転しなかった。このままでは他事業に悪影響を及ぼしかねないと判断し、休止を決定した」とのコメントを残している。
(左)北山ゲレンデ。(右)「オールスキー場完全ガイド2000」を参考に作図。
国道41号の飛騨小坂から「すずらんスカイライン」を上っていく。鈴蘭高原一帯はゴルフ場やペンションなどもあり、別荘地として開発されてきたようだ。スキー場へのゲートは閉ざされていたが、隣り合う林道からゲレンデの様子を見ることができる。ゲレンデ下には立派なセンターハウスとホテルがいまも建っている。リフトは綺麗に撤去されているが、クワッドリフト乗場の上屋だけは残されている。見上げる東向きのゲレンデは、幅広で適度な斜度の初中級バーン。ここに並列に何本ものリフトが架けられていたのだろう。山頂部にあるレストランの建物はそのまま残っているようだ。また、林道を辿って丘陵の北側に回り込めば、北山ゲレンデの様子を見ることができる。こちらもリフトはきれいに撤去されているが、最大38度の上級コースはゲレンデ跡をしっかり残している。(現地訪問:2010年5月)
ラベル:鈴蘭高原スキー場