2010年05月11日

鈴蘭高原スキー場(岐阜県高山市)

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(左)クワッドリフトの下から中央ゲレンデを見上げる。(右)センターハウスとホテルの向こうに御岳を望む。

ゲレンデの横に立てば、センターハウスとホテルの向こうに、雪をいただく乗鞍と御岳の雄姿が望まれる。素晴らしい景観のゲレンデだ。1996年には冬季国体の会場にもなり、ジャンプ台も残っている。岐阜県内では、選手の育成や各種大会など重要な位置づけのスキー場だったようだ。

「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には、「鈴蘭高原(標高1475m)に位置し、北アルプスや白山連峰が一望にできる。中央ゲレンデと北山ゲレンデに分かれ、オープンは12月上旬からと、シーズンの長さが自慢で、オープンと同時に雪上滑走可能。全コースに降雪機を設置し、早朝からリフト運行する。ベースの『リゾートインすずらん』には仮眠施設もあり日帰りスキーに便利」と紹介されている。リフトは、クワッド1・トリプル1・ペア6・シングル1と記載されている。

鈴蘭高原スキー場は、1969年に営業開始。東海地区の放送局の系列会社が運営していたが、2006シーズンを最後に営業休止となった。ピーク時にはシーズン約23万人の利用者があったが、2005年度には35,000人にまで落ち込んだという。高速道路から離れているアクセスの悪さが弱点だったと見る向きが多い。高速道路を使うとなると中津川ICからということになろうが、そこから2時間はかかる。運営会社の社長は「スキー場を何とか存続させようと努力を続けたが、状況は好転しなかった。このままでは他事業に悪影響を及ぼしかねないと判断し、休止を決定した」とのコメントを残している。

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(左)北山ゲレンデ。(右)「オールスキー場完全ガイド2000」を参考に作図。

国道41号の飛騨小坂から「すずらんスカイライン」を上っていく。鈴蘭高原一帯はゴルフ場やペンションなどもあり、別荘地として開発されてきたようだ。スキー場へのゲートは閉ざされていたが、隣り合う林道からゲレンデの様子を見ることができる。ゲレンデ下には立派なセンターハウスとホテルがいまも建っている。リフトは綺麗に撤去されているが、クワッドリフト乗場の上屋だけは残されている。見上げる東向きのゲレンデは、幅広で適度な斜度の初中級バーン。ここに並列に何本ものリフトが架けられていたのだろう。山頂部にあるレストランの建物はそのまま残っているようだ。また、林道を辿って丘陵の北側に回り込めば、北山ゲレンデの様子を見ることができる。こちらもリフトはきれいに撤去されているが、最大38度の上級コースはゲレンデ跡をしっかり残している。(現地訪問:2010年5月)

2010年03月26日

ひだ乗鞍ペンタピアスノーワールド(岐阜県高山市)

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(左)国道158号に面した立地。(右)ゲレンデ下、センターハウス前から見上げるゲレンデ。

春は寂しい季節だと思う。真っ白に輝いていた山々に、斑な雪解け跡があらわれ、風景はなんとなく埃っぽくなる。そしてわが身を春の日差しにさらせば、冬の間に着々と準備していた人たちには、スキーにうつつを抜かしていたことを見透かされそうな気がする。そのうえスキーシーズンも終わりに近づき、このブログのアクセス数もさすがに減少気味……。

国道158号の安房トンネルができてから、飛騨方面が近くなった。松本から梓川を遡り長い安房トンネルを通って、平湯温泉スキー場の傍らから平湯トンネルに入る。トンネル出口から少し下った左手に立派な建物が見えるのが、かつての「ひだ乗鞍ペンタピアスノーワールド」のセンターハウス。前方の山腹には営業を続けている「ほおのき平」のゲレンデが見える。

90年代に開設されたという雰囲気を漂わせるつくり。国道に面した駐車場。そして、センターハウスへの階段通路。立派なセンターハウスは、いまはトレッキングの基地としての役割を果たしているため「五色ヶ原入山口」と掲示されている。その脇を通り過ぎてゲレンデに出ると、やや不釣合いのようにゲレンデはコンパクトだ。最大斜度28度のバーンからはリフト施設はすでに撤去され、リフト券売場の建物が左手に所在なげに建っていた。

ひだ乗鞍ペンタピアスノーワールドは1997年(平成9)、旧丹生川村の村営スキー場として、ペアリフト2基を備えてオープン。第三セクターや指定管理者による公設民営方式で運営した。しかし1998年度の18,500人をピークに2003年度は10,700人にまで客数が減少。年間約2,000万円の赤字が続いたため、2004年度(2005シーズン)から営業を休止し、2007年1月に廃止となった(岐阜新聞(2006.11.29)による)。

「オールスキー場完全ガイド2000(立風書房)」には「乗鞍岳山麓の北西斜面にあり、安定した積雪量とサラサラのパウダースノーがウリ。通年型山岳リゾートをめざして今後も拡張が続く」と記載されているが、結局「今後の拡張」はないままに終わってしまった。スキーヤーオンリーだったのでファミリーにも安心して利用できて、接客やレストランのメニューにも工夫が凝らされていたようだ。ほおのき平のエスケープゲレンデのような存在でもあったらしい。(現地訪問:2010年3月)

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(左)センターハウス前。前方に見える建物はリフト券売場。
ラベル:ペンタピア