2023年07月14日

輪島市営三井スキー場(石川県輪島市)[営業休止中]

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(左)県道の駐車スペース。(右)細い舗装道をのぼる。

輪島市の市街地から山間部に入ったところにある三井(みい)スキー場。5年ほど前から営業を休止しているらしい。「奥能登唯一のスキー場である輪島市営三井スキー場(同市三井町小泉)は6日までに今季の営業を見送ることを決めた。リフトが故障した上、管理を担う市スキー協会員の高齢化で人員確保がままならなかった。」(北國新聞2022年1月7日)

営業休止は2018年度から5期連続。雪不足が続き、新型コロナの影響もあったという。1980年開設のゲレンデは全長300mのコースがひとつだけ。市スキー協会のボランティアで運営されていて、平日はナイターもあったらしい。最盛期には学校の授業や家族連れでにぎわい、シーズン3,000人を超える利用者がいた。

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(左)細道を登るとゲレンデがあらわれる。(右)ゲレンデ脇の小屋。

近くの黒川温泉スキー場を訪れた足で、こちらも訪問してみた。能越自動車道の「のと里山空港IC」を出て、県道1号線(七尾輪島線)で輪島の市街地に下って行く途中にある。比較的交通量の多い幹線道路の右(東)側の一段高い崖の上のような場所にある。どこから上がればわからないまま、しばらくあたりをうろうろしてしまった。

県道脇の駐車スペースのある場所から細い舗装道を上って行くとスキー場の建物とロープトウの機械があらわれた。見上げる斜面にはごく短い緩斜面があるだけ。トップに向かってゲレンデ右端にロープトウが設置されていた。その右側の小屋は営業時には休憩場所になるのだろうが、いまは草に覆われはじめていた。規模からすると、地元の子どもたちの練習やソリ遊びの場であるような印象を受けた。

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(左)ゲレンデ全体を見上げる。(右)カバーで覆われたロープトウの機械。

地元の地理感に乏しいものにとってはわかりにくい場所にあるが、輪島市街地からは10kmほど、車なら15分ほどの距離である。輪島やその周辺の人々にとっては手近なゲレンデだったのだろうと思う。能登方面も近年は積雪が非常に少なくなっているようなので、このスキー場の営業も今後どうなって行くのか、予断を許さない。(現地訪問:2023年6月)

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(左)ゲレンデ中腹から見おろす。
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2023年06月28日

黒川温泉スキー場(石川県能登町)

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(左)県道から曲がる地点の案内板。(右)ゲレンデ入口。

能登半島のかなり先の方にあるこのスキー場のことは知ってはいたけれど、なかなか遠くて足を運ぶのを躊躇していた。今回、富山に出かけなければならない用があり、そのついでに能登半島まで足をのばした。のと里山海道や能越自動車道が整備されているとはいえ、富山からもかなりの距離があった。能登空港の入口を通過し、県道26号(珠洲穴水線)を進む。

町野川に沿う道が大きく左にカーブする箇所に「セミナーハウス山びこ 100m→」の案内板がある。以前はスキー場への案内看板も掲げられていたようだ。ここで右折すれば温泉のあるセミナーハウスの前を通る。「黒川温泉」という名から想像していたような温泉地の雰囲気はまったく感じられない。田園風景の中に民家が点在しているだけである。

この先あたりにスキー場があったはずだが、どこかよくわからない。道端で草刈りをしていた小父さんに声をかけてみると、親切にスキー場のあった場所まで案内してくれるとのこと。どこかのTV番組で見たような感じだが、小父さんの軽トラの後を追って山際の道を進む。

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(左)右手の平坦地にロッジがあったという。(右)斜面の上部。

セミナーハウスから2.1kmほど南に行った地点に左斜面に上がる舗装された坂道があり、その上部がスキー場の跡地であった。ただ、いまは一面の草に覆われ、スキー場らしい斜面が感じられる程度である。斜面右手の平坦地に以前はロッジがあったと小父さんは教えてくれた。ロープトウがあったということだが、その痕跡もわからない。「昔は旧・柳田村の小学校のスキー授業なども行われていた」という。

廃止された年月もわからないが、15年程前だろうか。その後一時期は、マウンテンバイクのフィールドになっていたようだ。最上部まで歩いてみても、その滑走距離は300mほどだろうか。最上部には、反対側から舗装林道が達していた。振り返ると、前方には青々とした小丘陵が連なっている。いまとなっては、かつてスキーとして賑わっていた様子を想像するのは難しかった。(現地訪問:2023年6月)

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(左)斜面中間部から下部を望む。
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2022年09月01日

緑の村御前荘スキー場(石川県白山市)

このスキー場のことを知ったのはスキー場ガイドに載っていたから(全国スキー場ガイド'92(山と渓谷社))。そこには「シングル1基(172m)、1コース、最大20度。白峰温泉の御前荘の前に位置するプライベートゲレンデ。リフトは1基と小規模ながら、じっくり滑りたいスキーヤーにはうってつけだ。1周7.5kmのクロスカントリーコースもある」と記載されていた。ナイター設備もあったようだ。開業・休業時期はわからない。

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(左)緑の村案内板。右上あたりに「リフト」の文字。(右)休業中の御前荘。

白山市の中心部から手取川沿いに遡った山奥の白峰にあり、以前本ブログで取り上げた白山白峰温泉スキー場とは至近距離。しかし、あらためこのスキー場のために出かけるには遠すぎる。と思っていたら白山に登山する機会があり、その帰路に立ち寄ることができた。

国道157号の白峰信号から県道33号に分岐。しばらく進むと、右手に「御前荘」「天望の湯」の入口を示す看板がある。いったんそれを通り過ぎた道の右側に「白峰村緑の村案内板」があった。よく見るとその地図の中に「リフト」の文字を発見。御前荘の奥あたりの斜面がスキー場だったことがわかった。

先程の分岐に戻り、一段上の各施設へと上って行く。しかし天望の湯の入口には「営業を終了させていただきました」という掲示があり、その上の御前荘も使われている様子がない。調べてみると御前荘、展望の湯、緑の村キャンプ場とも2019年4月より休業となってしまったようだ。かつてはこの地域を担う集客の中心地だったのではなかろうか。

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(左)放置されていた圧雪車。(右)ゲレンデと思われる斜面を見上げる。前方左にナイター照明が見える。

御前荘の上部(南側)の斜面がどうやらゲレンデだったらしい。脇の空地には「白峰高原上原スキー場」という文字のある壊れかけた圧雪車が放置されていた。斜面にはナイター照明もそびえていた。リフトが正確にどこにあったか、痕跡はよくわからなかった。各施設とも休業になっていて寂しい限り。この小さなゲレンデが賑わっていた時代を想像するのは、いまではなかなか難しかった。
posted by 急行野沢 at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 石川県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする

2017年11月29日

山中温泉スキー場(石川県加賀市)

いつも参考にさせていただいている「失われたロープウェイ」に、石川県山中温泉ロープウェイについての記載があった。そのロープウェイで上った山頂部に、かつて山中温泉スキー場が開かれていたらしい。いつか訪れなくてはならないとずっと思っていた。

山中温泉は歴史ある温泉地である。その西側の裏山のような水無山に、1959年山中町(当時)により山中温泉ロープウェイが架設され、同時にスキー場も開設されたようだ。山頂部には遊園地・展望台・レストランなどの施設もあり昭和30年代にはかなりの賑わいを見せていたという。

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(左)医王寺の前から水無山を見上げる。(右)医王寺境内にある水無山登山口。

スキー場も比較的早い年代の開業であり、当初の集客は順調だったようだ。しかし、周辺に新たな観光施設やスキー場ができるとそちらに利用者が流れ、1978年10月にロープウェイは運休、スキー場も休業となった。

水無山についてはネット上で登山の記録をいくつか探ることができた。山頂まで1時間もかからないようだが、一応登山の準備をして出かける。山際の医王寺の前に車をとめ、境内から「水無山登山口」の案内標に従って登りはじめる。道脇の岩には穴が穿たれ、石仏が祀られている。

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(左)山頂部に登りつくと草原が広がっている。左前方に展望台がある。(右)廃墟と化しつつある展望台。

大きく九十九折りを繰り返すと鉄塔のある尾根上に出て、あとは北側から樹林帯の尾根を登っていく。適度に登山者用の案内板もある。右手から別の道を合わせるとほどなく山頂台地の一角に到達し、樹林が切れて草原状になる。登りはじめて40分弱である。

前方左手には廃墟と化しつつある展望台が見える。数日間続いた雨のせいだろうか、水の滴る音が絶え間なく響き、別に廃墟マニアではないので薄気味悪くてちょっと立ち入る気にならない。展望台から下る階段があって、それはロープウェイの駅に通じていたようだが、深いやぶに覆われていて往時の様子はよくわからない。

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(左)展望台からかつてのロープウェイ乗場へと階段が続いていたと思われる。(右)木の間からは加賀平野が見下ろせる。

展望台の右手の草原の中を道はさらに続いている。左手にコンクリート製の何かの遺構があったが、スキー関係のものだろうか。さらに進んだアンテナ施設のあるあたりが、山頂(349m標高点)と思われるが何の表示もない。ここから展望台の少し下あたりまで、現在は草原が続いていて、その間がゲレンデだったのだろうか。

「'76オールスキー場完全ガイド(立風書房)」には以下のように紹介されている。「標高300mの薬師寺山頂(=水無山)までは、ロープウェイで登れる。最大斜度25度とそれほどきびしい斜面はないので、上級者には少しものたりない。しかし、初中級者なら白山・加賀平野・加賀温泉郷を眼下にしながらの滑降は、このうえなく楽しい。観光気分で訪れ、ついでにスキーをという人には絶好。リフト1基(220m)。ローブウェイもある。ナイター、スキー学校なし」

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(左)最高地点(349m標高点)にはアンテナ施設がある。(右)アンテナ施設から展望台方面を見る。こちらの方向にゲレンデが広がっていたのではないか。

この間の斜度はごく緩やかなので、初級者向けのスキー場といった感じではなかったか。リフトが220mなので滑走距離もごく短かったようだ。リフトは斜面の西側に付けられていたようだが、その痕跡はまったく見出すことができなかった。今日は白山も加賀平野も木の間越し程度にしか見えないけれど、スキー場だった時には雄大な展望が開けていたことが想像できた。

温泉街にさらに魅力を加えるためのスキー場だったのだろう。いまとなっては身近な里山に戻ったというべきだろうか。(現地訪問:2017年11月)

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(左)山麓の医王寺近くにある石段。ロープウェイ乗場に通じていたものか。
posted by 急行野沢 at 22:00| Comment(4) | 石川県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする

2016年01月01日

獅子吼高原スキー場[北沢ゲレンデ](石川県白山市/金沢市)

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(左)案内図に「石川県第1号リフト跡」。(右)第1リフト降場跡。

獅子吼高原についてのレポート3回め(=最終回)は、山頂部の北側にあった北沢ゲレンデについて取り上げたい。なお、地図は前回掲載のものを参照してほしい。

センターハウス前から旧南沢ゲレンデ(ペアリフト)と反対側に歩くと「獅子吼遊歩道案内図」という案内看板があった。そこには「石川県第1号リフト跡」の記入がある。その図に従って直進すると、右手の藪の中に錆びついたリフト降場の施設が残っていた。北沢ゲレンデの第1リフト(シングルリフトか?)のものだろう。そこから北東方向に向けて草地のゲレンデの痕跡が下っていて、リフトの支柱が点々と続いている。ワイヤーやチェアは残っていない。目を上げると遠く剣岳・立山方面の真っ白な山並みが見えた。

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(左)第1リフトの支柱とゲレンデ。遠く剣岳・立山方面の眺望。(右)第1リフト中間部では林道とリフトが並行している。

稜線の東側直下の林道を北東方向に下っていくと、やがてリフトの支柱と平行するようになる。しかし、その先は固く施錠されたフェンスで行き止まり。どうやら、林道経由で山頂部には行けないようにする措置のようだ。そこで山麓部までゴンドラで降り、車で大きく北側を迂回してこの林道を山麓部から上がっていくことにした。舗装林道を10kmほど走れば「日本海スピードウェイ」と書かれたサーキットの傍らに到着。このあたりが北沢ゲレンデの中心部だったと思われる。レストハウスや駐車場もあったのだろうか。営業当時、ここまで車で来られたのかもわからないが。

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(左)第2リフトの降場跡。すぐ横はサーキットになっている。(右)第2リフト上部から下部を見下ろす。前方は内川ダム。

サーキットの横に下部の第2リフト(シングルと思われる)の降場が、樹木が巻き付き錆びついて立っていた。草の生い茂るゲレンデの痕跡とリフトの支柱が北東側に向かって下っている。こちらもワイヤーとチェアは残っていない。支柱には「獅子吼の森、よみがえれ」という文字が書かれていて、ゲレンデ廃止後に植林の取り組みが進められたことを物語っていた。斜面の先には内川ダムと金沢市南部の丘陵地域が見える。中級クラスの程よい斜面に思えた。

そこから少し離れて、南西方向の樹林の中にリフト乗場が残っている。先ほど山頂部で見た第1リフトの最下部である。林道を閉鎖しているフェンス越しにリフトの支柱が点々と山頂部まで続いているのが見て取れる。北沢ゲレンデについては、ゲレンデ・リフトの痕跡が予想以上に残っていた。尾根上をたどるような展望のよいコースであり、こちちも営業中に滑ってみたかったという思いに駆られた。(現地訪問:2015年12月)

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(左)第1リフト乗場跡。(右)左の樹林の中に第1リフト乗場。そこから山頂部にリフト支柱が続いている。

こちらもご覧ください → 「獅子吼高原スキー場[スカイ獅子吼 南沢ゲレンデ]」
                「獅子吼高原スキー場[日本海コース]」
posted by 急行野沢 at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 石川県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする