2011年04月16日

白山白峰温泉スキー場(石川県白山市)

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(左)キャニオンゲレンデ下部からゲレンデを見上げる。

金沢市街から国道157号を南下し手取川の上流に入れば、トンネルが連続した末に旧白峰村(現在は白山市に合併)の中心部へと入っていく。以前、白山麓の昔の暮らしぶりについて話を聞く機会があったが、白峰では山の作物にも恵まれ経済的にも豊かであったという話を聞いた。都会的な意味での豊かさとは少し違うものかもしれないが、「山間地は貧しいもの」という認識が、さまざまな時代の中では必ずしも正しくないないことを思い知らされた。

白峰村中心部から手取川を挟んだ東岸の青柳山。その西斜面に開かれていたのが、白峰温泉スキー場。扇状のゲレンデで、下部には入口が二箇所あった。右側のキャニオンゲレンデのクワッド乗場に行ってみる。駐車場があり、レストハウスの脇には椅子をはずしたクワッドの乗場がそのままの状態。除雪車も置かれたまま。ゲレンデの中心部はクワッド1本上ったあたりのようだが、かなり背の高い草が生い茂っているように思えた。左側のヤングバレーのリフト乗場に行ってみると、意外なことにリフト施設が綺麗に整備されている。近くにいた人に話を聞けば、こちら側だけは各種大会や練習競技用に会員制として引き続き使われているとのこと。

「オールスキー場完全ガイド2000」によれば、「白山連峰を背に、標高1,032mの青柳山に展開する雪質のよいスキー場。どちらかというと中上級者以上に向けたコースづくりだが、変化に富んだゲレンデはビギナーからベテランまで充分に満足できる。ガラス張りの明るくおしゃれなセンターハウスやクアハウス等も若者の支持を集めている」と記載されている。リフトは最盛期にはクワッド1基・ペア6基、最大斜度37度=ゲレンデ最上部のジャイアントゲレンデ、最長滑走距離2,500m。周囲には温泉施設も豊富だ。

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(左)遠景からゲレンデ上部を見上げる。(右)現在も大会や競技用に会員制として使われているヤングバレー側のゲレンデ。

1971年12月の開設。石川県内唯一の全日本スキー連盟公認・大回転コースがあり、各種のスキー大会が開催されてきた名門スキー場だった。2008シーズンを最後に一般スキー場としては営業休止となっている。ヤングバレーゲレンデの下で話を聞いた小父さんは「一般向けのスキー場としては、もうとても成り立たない」と話していた。辛うじて競技用として公認コースが維持されているのが救いということになろうか。(現地訪問:2010年8月)
ラベル:白峰温泉
posted by 急行野沢 at 01:00| Comment(7) | TrackBack(0) | 石川県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする

2010年07月09日

白山中宮温泉スキー場(石川県白山市)

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(左)ファミリーペアリフトの下からゲレンデ全体を見上げる。(右)レストハウス前にある案内図。

金沢市街から国道157号を走り、白山の山麓に向かう。以前は石川郡の吉野谷村・尾口村・白峰村などがこの国道に沿っていたが、現在は白山市に合併となっている。道筋に「白山麓スキー場群」とひとまとめにしたような案内表記があるのは、それほど多くのスキー場が林立しているということか、あるいは最近はスキー場の改廃が激しいということか。尾添川の深い谷に沿う国道360号に入れば、スノーシェッドが連続する。国道360号から新中宮温泉に左折する荒谷の分岐には「中宮温泉スキー場」の表記があるが、その上に「CLOSED」と貼られている。道標に従って進めば、広い駐車場に導かれる。駐車場の向こうには、新中宮温泉センターの建物も見える。温泉も隣接し金沢市街からも適度な距離だったと思うが、現在のスキー人口に対してはこの近辺にはスキー場が多すぎたということなのだろうか。

「オールスキー場ガイド2000(立風書房)」には、「山頂からは雄大な白山の全貌が眺められる。ゲレンデも整備の行き届いたコンディションを誇るスキー場。祝前日と土曜日に行われるオールナイト営業がファンをひきつける要因のひとつ。スノーボード全日滑走可能なのもボーダーに人気がある。ファミリーには託児所『キンダーランド』がある」と紹介されている。最大斜度37度(ダイナミックコース)、最長滑走距離3,000m。8基のリフトを備えた大規模といっていいスキー場だった。

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(左)ゲレンデ中腹から最下部を見下ろす。(右)第3ペアリフト乗場から上部を見上げる。

広い駐車場の奥に何軒ものロッジ・レストランなどの建物があるが、それほど荒れ果てた感じはしない。ゲレンデを見上げれば右手には何軒かの食堂や民家が建っている。念のためにゲレンデ傍にいた小父さんに声を掛ければ、「何年か前にスキー場は営業をやめた」という返事がかえってきた。リフトは椅子をはずされた状態でそのまま残っている。圧雪車も車庫に置かれたまま。目の前に見上げるのが、斜度37度のダイナミックコースなのだろう。右手最下部のリフト沿いのファミリーコースやその上のロマンスコースは初級コースのようだが、全体には中上級が楽しいゲレンデ構成に思える。林道をたどってゲレンデ上部(第3リフト乗場付近)から見おろせば、草木が生い茂りはじめてはいるが、かなりの高度が感じられる本格的なコースに見える。遠く白山が霞んで見えた。

経営が困難となり2008シーズンより休業している。最後の頃はスノーボーダーが多いゲレンデで、食堂やリフト券(1日券2,500円)が安いことも評判だったらしい。1985シーズンに開設。バブル期におおいに人気を集めたであろうことは、オールナイト営業をしていたということからもわかる。しかしそんな繁栄ぶりは、いまではとても信じられない。施設は多少手を加えれば再稼動が可能と思えるが、その可能性はきわめて低いのだろう。斜面には一部重機が入って作業をしていた。(現地訪問:2010年6月)

【追記】
10年以上、営業休止の状態が続いているが、営業休止から廃止に向けて検討が進められていることが報道された。(2022年4月、北國新聞)
posted by 急行野沢 at 01:00| Comment(12) | TrackBack(0) | 石川県 営業休止のスキー場 | 更新情報をチェックする