(左)県道からのアクセス中にあった案内標識。(右)遠景から見たゲレンデ全体。
会津盆地や只見方面の水を集めた阿賀川(新潟県にはいると阿賀野川と呼ばれる)は、盆地の西端あたりから大きく蛇行を繰り返しながら山間を縫うように流れ、越後の平野を目指す。そんな大きな蛇行の見られる箇所のひとつが磐越西線荻野駅周辺。現在は喜多方市に合併されているが、以前は高郷村だった地域だ。U字を描く流れの、そのUの文字の中側にあたる場所に荻野駅があり、その背後の丘陵に雷神山スキー場があった。
雷神山スキー場には雷神様の祠があり、古くから信仰を集めている。雷神様に祈って、落雷の恐ろしさから逃れ、またその年の豊作を祈り、干天の年には雷神山に登り鐘を鳴らして雨乞いの祈りをしたという。そして、雷神様の雨乞いの効果はてきめんということだ。廃スキー場巡りなどという不埒な動機で訪れたことが雷神様の怒りをかったのだろうか、帰路には激しい雷雨に見舞われた。
(左)駐車場から見たゲレンデ最下部。(右)ゲレンデ跡には植樹が施されている。
荻野駅周辺の県道には「雷神山スキー場」を示す案内板はまだ残されていた。それに従って坂道を上れば、ゲレンデ下の100台ほども駐められようかという広い駐車場に出る。その上に、レストハウスの建物と圧雪車を格納する車庫を併設した建物が残されている。ロープトウが設置されていたらしいが、見上げるゲレンデにはその設備の痕跡は残されていない。また、斜面に立てられた掲示板などにより、地元の中学生などにより植樹が進められた様子がわかる。ゲレンデの最下部が急な斜面になっているようだが、その上部は比較的なだらかな斜面に見えた。
私の手許にあるスキー場ガイドで「雷神山スキー場」の案内が掲載されているものは残念ながら見あたらなかった。ただ、2010年1月6日付け「雷神山スキー場既設構造物撤去工事の公告(喜多方市)」によれば、「簡易リフト撤去工事2基」となっているし、その他の資料からもロープトウが直列に2基あったことがわかった。ゲレンデ左端の直線に整地された部分にロープトウがあったのだろう。また、「おすすめすいてるスキー場 会津若松市周辺のスキー場マップ」というサイトには、「阿賀川のほとりにあるファミリースキー場。ロープリフトやナイター料金等は、村営だけにとにかく格安!(中略)スキー場からの会津の父なる磐梯山、母なる阿賀川を望みながら、ウインターライフをたっぷりとエンジョイしてみてはいかがでしょうか」と書かれている。ナイター施設もあったようだ。
ゲレンデにたって周囲を見回すと、大きく蛇行する阿賀川とその河岸段丘に広がる田園風景、そして遠景には南会津の山並がどこまでも続いているのが見えた。(現地訪問:2011年8月)
(左)ゲレンデ中腹から下部を見おろす。最下部はかなりの急斜面。
ラベル:雷神山スキー場